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リハビリ病院の悩み

  • yukie

    公開日: 2019年01月31日

作業療法で陶芸を行う目的とは?作業の特徴から準備まで解説!

作業療法では、古くから陶芸が用いられてきましたが、どのような目的や意義があるのでしょうか?
今回は、陶芸という作業にはどんな要素が含まれているのか分析し、心と体の機能に期待できる効果を探っていきます
陶芸の治療的意義が気になる方や、これからリハビリに陶芸を導入したいとお考えの方は、この記事を参考にしてみてください。

作業療法で陶芸を行う目的とは

陶芸は子どもから高齢者まで楽しめる作業活動

陶芸は子どもから高齢者まで楽しめる作業活動

作業療法では、陶芸、革細工、マクラメ、木工などの手工芸をリハビリの手段として用いることがあります。
作業療法の養成校で、こうしてアクティビティを経験したことのある方も多いでしょう。
このうち、陶芸は子どもから高齢者まで楽しめる作業であり、作品づくりを通して心身機能にアプローチできます。
実際に、陶芸に取り組んだ患者さんはポジティブな感想を持つことが多く、次のような発言をする方もいます。

  • 「土に触れている時間が好き」
  • 「無心になれて、ストレス解消になる」
  • 「作品が焼きあがるとうれしい」

作品が上手にできるかどうかは問題ではなく、陶芸という作業をいかに治療的に活用するかが大切な視点となります。
そして、陶芸を単なる「楽しみ」や「余暇」で終わらせず、心身のリハビリに役立てていくためには、この作業に含まれる要素について細かく分析しておく必要があります。
作業療法士は、ADL・IADLや趣味活動などあらゆる「作業」を扱う職業ですが、各手工芸の特徴や治療的意義については十分に理解しておきたいところです。

陶芸の作業工程から考えるリハビリの目的・効果

陶芸を作業療法に応用する前に、まずはどんな治療的意義があるのか確認していきましょう。
基本の工程をまとめ、その工程からどんな機能にアプローチできるのか、陶芸の目的をお伝えしていきます。

●陶芸の作業工程

陶芸の作業工程

陶芸の基本的な作業工程は次の7つです。
どんな作品を作るか決定するところから、本焼きまでのプロセスをまとめているので、まずは大まかな流れを確認してみてください。

工程 内容
1 作品をイメージする 皿・湯のみなど、何をどれくらいの大きさで作るかイメージする。両手動作や注意の持続が難しい場合は、箸置き、小皿などから始める。
2 練り 材料となる粘土を練る。荒練り、菊練りがある。荒練りは片手でも行える。
3 成形 粘土で形を作る。玉作り、紐作り、たたら作りなどがある。粘土の玉を作って成形する玉作りは工程が少なく、導入しやすい。模様をつけることも可能
4 乾燥 1〜2週間ほどかけて乾燥させる。乾燥が不十分だと焼くときに割れるため完全に乾かす。
5 素焼き 窯で素焼きを行う。窯の温度が下がってから取り出す。
6 下絵付け・施釉 素焼きした作品の表面を整え、釉薬をかける。釉薬に沈める、霧吹きを使うなど簡単な手法もあるが、絵柄を描くことも可能。
7 本焼き 窯で本焼きを行う。

この工程表からもわかるように、陶芸を行うためにはさまざまな機能が求められます。
上肢機能の訓練という側面だけでなく、認知・精神面でプラスになる要素も多く含まれています。

●作業療法で陶芸を使う目的とは?

陶芸はリハビリテーション科、精神科、脳神経外科など、さまざまな診療科で導入されていますが、何を目的としているのでしょうか。
作業療法で陶芸を利用することによってアプローチできる要素について、例をご紹介します。

身体面 ●筋力(上肢・手指)
●巧緻動作
●両手動作
●座位保持
●目と手の協調運動
●固有受容感覚・触覚
認知面 ●視空間認知
●注意・集中
●記憶
●指示の理解
●問題解決能力
精神面 ●自信の回復
●達成感を得る
●趣味活動の機会
●共同作業の経験
●他者とのコミュニケーション

粘土を練ったり、成形したりする過程では、上肢の筋力や巧緻性、両手動作など、さまざまな要素が必要になります。
粘土を力強く練ったり、そっと模様をつけたりする過程で、固有受容感覚や触覚といった感覚機能にも働きかけることができます。
陶芸は工程が複数あるため、スタッフの指示を理解し、記憶にとどめ、集中して作業にあたるため、これが認知面でのリハビリに寄与します。
そして、精神科の患者さんでは「自信のなさ」が自立を阻害するケースも少なくありませんが、簡単な作品づくりから始め、徐々に自信の回復を促すことができます
陶芸ではひとつの作品が完成するまでに時間がかかりますが、その分達成感にもつながりやすくなります。
このように、心身機能に対するさまざまな効果を期待して、陶芸という手法が導入されています。

作業療法に陶芸を導入!実現に向けた準備の方法

作業療法で陶芸のプログラムを取り入れたくても、実施経験が十分でなければ、何から始めて良いかわからないのは当然のことです。
リハビリに陶芸を導入したいときは、次の点を参考にして準備を進めてみてください。

●陶芸教室から講師を派遣してもらう

「過去に作業療法で使っていた窯はあるけれど、使えるスタッフがいない」という場合は、陶芸教室の講師を派遣してもらう方法も検討してみましょう。
病院や介護施設への派遣実績のある窯元もありますが、そうでない場合でも、相談してみる価値はあります。
患者さんのリハビリでは成功体験を積んでもらう必要があるため、うまくできるか自信がないときは専門家の力を借りることがおすすめです。
頼める講師が見つからないときは、インターネットなどで情報を集めながら、有志で小さな陶芸サークルを作って練習してみるのも良いでしょう。

●陶芸療法士の資格を取る

すべての作業療法士が陶芸に関する知識や経験を持っているとは限らないので、現実的にアクティビティとしての導入が難しいケースもあります。
そんなときは、民間資格ではありますが「陶芸療法士」の資格を取るという選択肢もあります。
研修は日曜日に行い、研修の総時間数は45時間となります。
場所は愛知県常滑市と大阪府大阪市の2カ所であるため、通えるエリアにお住まいであれば、受講を検討してみても良いでしょう。
陶芸に詳しくなれると作業療法士としてのスキルやキャリアに付加価値がもたらされますし、病院・施設のPRにもつながります。

●陶芸セットで道具を用意する

陶芸セットで道具を用意する

陶芸に必要な道具は、リハビリ機器を多数扱うオージーウエルネスでも販売しています。
基本の陶芸セットから、釉がけや染色に必要な用具のセットまでラインナップされています。

SN-陶芸用具セット5人用
254-256
ろくろ、たたら板、たたき板(模様入)、粘土のべ棒、木ぐし、成形こて、他
SN-絵つけ・釉がけセット
14種組254-790
ステンレスひしゃく、ステンレス製霧吹き、スポイト、梅ざら、平刷毛、他
染色用具一式
291-051
ホーロー染色がま、電子ろう容器、絞り器、ろうけつ筆、他

陶芸に必要な道具は何かと多くなりますが、一式で購入すると便利です。
最近ではオーブンで使える簡単な陶芸キットも販売されていますが、本格的な陶芸を作業活動として使っていきたいときは、用意してみてはいかがでしょうか?

作業療法では工程の多い作業・少ない作業を使い分けよう!

同じアクティビティでも、塗り絵という活動なら紙と色鉛筆があればすぐにできますが、陶芸は時間と手間がかかる作業です。
その分だけ、集中力が鍛えられたり、達成感が得られたりと、良い作用も生じます。
工程の多い作業と少ない作業では得られる効果が異なるため、患者さんの状態やリハビリの目的に応じて、プログラムを使い分けていきましょう。

参考:
一般社団法人 日本陶芸療法士協会 陶芸療法士の資格取得について(2019年1月30日引用)

  • yukie

    公開日: 2019年01月31日

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