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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村高弘

    公開日: 2019年02月26日
  • リハビリ病院の悩み

キャリアデザインを考える。臨床経験5年目のセラピストに読書が必要な理由とは?

リハビリ専門職に関しては、医療・介護といった縦割り制度のなかで育ってきた経緯もあり、専門知識や技術の習得が重要視されてきました。
しかし今後は、少子高齢化やAIの普及をはじめ、大きく変化する社会のなかで活躍していく必要があります。
本記事では、リハビリ専門職に読書が必要な理由と、筆者がおすすめする5つの必読書についてご紹介します。

リハビリ専門職に読書が必要な理由と、筆者がおすすめする5つの必読書

専門スキルは5年で習得できる

自身の経験年数と知識・技術は相関している部分もありますが、ただ長く働けばよいということではありません。
ここでは、臨床経験5年目を機に、他ジャンルの知識を吸収する必要性について解説します。

●専門スキル習得には10000時間が必要

専門スキル習得には10000時間が必要

フロリダ州立大学の心理学者、アンダース・エリクソン博士が提唱した「10000時間の法則」をご存じでしょうか?
10000時間の法則とは、どんな分野でも10000時間の努力でエキスパートになれるという理論です。
1日8時間で月に20日働くとすれば5年と2カ月、毎週末に3時間の自己研さんを加えると4年と8カ月で到達します
ただし、漫然と働けばいいというものではなく、しっかりと日々の目標設定をして業務に臨む必要があります。
臨床5年目ともなると、治療技術や知識をはじめ、他職種との連携や新人の指導などさまざまな業務を手がけることになります。
セラピストとしてそのレベルまで到達できると、専門家としての立ち位置を獲得したといえるでしょう。

●その他大勢でなく自分だけの価値を得よう

その他大勢でなく自分だけの価値を得よう

臨床経験を積むと、「自分の専門性を高めたい」、「ほかのセラピストと差別化をはかりたい」と思う方も多いでしょう。
セラピストが取得できる資格には、心臓リハビリテーション指導士や認定理学療法士・作業療法士など、それぞれの専門分野に特化した資格があります。
これらの専門資格を取得して臨床経験に生かすことは大切ですが、これからの社会では医療・介護など縦割りの分野だけでなく、地域への貢献や他産業との連携が求められます
具体的には、介護予防事業への参入や障害者の就労支援サポート、少子高齢化社会における社会保障費の削減などです。
しかし、日々の臨床業務にのみ携わっていては、これらの問題に触れる機会も少なく、自身の視座を高めることは難しいでしょう。
そのため、臨床5年目に入るころには、時事問題や社会福祉などの問題に目を向けて、今までとは違うフィールドの知識を身に付けていくことが必要です。

専門分野以外の書籍を読む理由とは

異なるフィールドで活躍していくためには、新たな知識や見解をもつことが重要です。
ここでは、読書をする重要性について具体的な取り組み例をもとにご紹介します。

●Aさんの例「地域住民との交流イベントを開催したい」

臨床経験も十分に積んだAさんは、医療スタッフ同伴でのウォーキングイベントを企画することにしました。
しかし、職場で提案しても「忙しいから無理です」、「企画だけで半年もかかってしまうのでは?」などネガティブな意見しか返ってきませんでした。
しかし、どうしても地域貢献がしたいAさんは、少数の仲間と企画立案して案内文を作成し、職場のエントランスに掲載しました。
しかしイベント当日、集まった参加者はたったの5名であり、無事に終了したのはいいものの、あまり地域住民との交流ははかれませんでした。
Aさんに足りなかったスキルを以下に挙げてみます。

  • ◯チームを結成してまとめる能力
  • ◯プレゼン能力(周囲に自分の考えを理解してもらう)
  • ◯市場のニーズ(参加者が求めるもの)
  • ◯広報能力(目をひくポスターデザインやSNSの活用)

これらの能力があれば、最高のチームでさまざまなアイデアを出し合い、多くの参加者を集めることに成功したでしょう。

●リハビリ専門職に足りないものとは

Aさんの例からもわかるように、リハビリ専門職は医療に関する知識を習得していますが、前述したようなスキルを習得する機会がほとんどありません。
養成校で教えられることはなく、就職してからも必要とされる機会が少ないかもしれません。
また、「健康に関することだから、多くの人が興味をもつはず」という、医療者側の観点だけでは、多くの人の共感を得ることは難しいでしょう。
マーケティングやプレゼンスキルに関しては、色々な企業がセミナーを開催していますが、まずは自分自身で知識を深めることが大切です。
そのためにも、臨床中心の学習から大きく舵をきって、さまざまな分野の書籍を読んで、自身の見識を広げていくことが重要です。
5年間真面目に仕事を続けてきたセラピストなら、専門知識+αを習得することによって活躍できるフィールドが広がるでしょう。

筆者がおすすめする書籍5タイトルをご紹介

ここでは、自身の見聞を広げるため、また実臨床でも生かせるような書籍をご紹介します。

虹色のチョーク

虹色のチョーク

日本理化学工業株式会社は、ダストレスチョーク(粉がでないチョーク)やキットパス(ガラスなどにもお絵かきできるクレヨン)の製造販売で有名になりました。
しかし、驚くべきことに、従業員の70%以上が知的障害者であり、まさに障害者雇用の最先端をいく企業といえるでしょう。
「どうすればうまく作業ができるか?」、「どうすれば長所を伸ばすことができるか」など、セラピストにはない視点で考えられています
障害者の就労支援を考えた場合、非常に参考になる1冊です。

未来の年表&未来の年表2

未来の年表&未来の年表2

人口政策・社会保障政策を専門とする著者の観点から、今後日本がどうなるかを予想しています。
都心部の衰退や各地域における空き家問題など、少子高齢化による影響についてさまざまな問題提起がされています。
また、介護職の離職や家庭介護による管理職の退職などは、われわれにとっても直面する問題でしょう
「2」ではユニークな具体例なども記載されており、今後リハビリ専門職としてどう働くべきかを示唆する1冊です。

世界最高のチーム

世界最高のチーム

世界的大企業のグーグルにおいて、「どうすれば結果を出せるチームをつくれるか」、「チームの結束を強くするにはどうするか」などが考えられています。
旧来のヒエラルキー型組織ではなく、メンバー一人ひとりが活躍できるチームづくりのノウハウは、中堅セラピストたちにとって目から鱗が落ちる内容です。
チームをうまく導く能力は、職場内だけでなく、地域で多職種が協働する際にも必要となります。
リーダー論について学びたいと思っているのであれば、ぜひおすすめしたい1冊です。

革命のファンファーレ

革命のファンファーレ

キングコングの西野亮廣さんが絵本作家であることや、さまざまな事業を展開していることを知っている方は多いでしょう。
しかし、成功する理由は彼が有名人だからではなく、彼のビジネスに対する考え方が秀逸だからです。
まずは他者から「信用」を得ること、どうすればサポーターが自分についてくれるかなど、新たな事業を展開するにあたって参考になること間違いなしです。

WHYから始めよ!

WHYから始めよ!

「Apple社の製品はなぜ売れるのか?」について疑問をもつ方もいるでしょう。
Apple社の例をはじめ、ほかの企業や偉人たちが成功をおさめてきた理由について書かれています。
考えの異なる相手の心を動かすには「WHY」が重要であり、この概念はすべての事業や組織に共通します
前述のAさんの例では、イベント(WHAT)をしたいときには、その内容や方法を力説するのではなく、なぜその行動を起こすのか(WHY)を明確にすることによって共感が得られたかもしれません。

知識・分析・行動力で勝負!

臨床経験が5年目にもなると、今後自分がどうあるべきか悩むことも多いでしょう。
同じ分野で専門スキルを磨き続けることも重要ですが、今後多様化する社会でリハビリ専門職が生きていくためには、新たな分野を切り開くことが必要です。
社会保障費削減や労働人口減少など社会全体の問題に関しても、今後はリハビリ専門職が活躍するフィールドとなります。
将来のキャリアデザインを構築するためにも、読書を通じて異なるジャンルの知識を得てみてはいかがでしょうか?

参考:
小松成美:虹色のチョーク〜働く幸せを実現した町工場の奇跡〜.幻冬舎,東京,2017.
河合雅司:未来の年表〜人口減少日本でこれから起きること〜.講談社,東京,2017.
河合雅司:未来の年表2〜人口減少日本であなたに起きること〜.講談社,東京,2018.
ピョートル・フェリクス・グジバチ:世界最高のチーム グーグル流「最小の人数」で「最大の成果」を生み出す方法.朝日新聞出版,東京,2018.
西野亮廣:革命のファンファーレ〜現代のお金と広告〜.幻冬舎,東京,2017.
サイモン・シネック(栗木さつき・訳):WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う.日本経済新聞出版社,東京,2012.

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