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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2019年02月26日
  • リハビリ病院の悩み

労働基準法の改正に備える!リハビリ職のための残業0、有給取得のための工夫

医療現場では、臨床や書類作成をはじめ、多職種でのカンファレンスなど多くの業務をこなす必要があります。
リハビリ専門職にとっても例外ではなく、過度な残業時間や有給取得率の低下に頭を悩ませている方もいるでしょう。
2019年の労働基準法(労基法)改正の内容をもとに、現場でできる仕事の効率化についてご紹介します。

 労働基準法の改正に備える!リハビリ職のための残業0、有給取得のための工夫

残業時間の規制と有給取得が義務化

残業時間の規制と有給取得が義務化

2019年4月から労基法が改正されますが、その具体的な内容を以下にご紹介します。

●時間外労働の規制

労基法では「1日8時間・週40時間」が原則とされ(夜勤など変則労働を除く)、それを超える勤務は時間外労働とされています。
また、時間外労働をさせるためには「36(サブロク)協定」を労使間で締結しなければいけません。
従来では、「月45時間・年360時間」を限度基準として行政指導がされてきましたが、改正後はその旨が労基法に明記(〜までとする)されます
また、特別な場合など臨時的に上記時間を超えて残業をさせる場合は、特別条項に記載する必要があります。
この特別条項においても、従来の「年6回・6カ月まで」という要件に、「年720時間以内」、「複数月平均が80時間以内・単月100時間未満」が追加されています。

●正社員では5日以上の有給取得が義務化

従来では、使用者側は有給取得を推進する程度でよかったのですが、改正後は取得させることが義務化されます。
具体的には、年間10日以上の有給休暇を取得できる職員において、5日以上取得させることが必要になります。
自主的に5日以上とっている職員は問題ないですが、5日未満の職員には使用者側が指定してもいいので、有給休暇を取得させなければいけません。
あくまでも代休や特別休暇を除いた有給休暇であるため、現状で取得率の低い職場においては早急な対策が必要になります。
また、前述した時間外労働と有給休暇に関しては、違反すると最悪の場合は刑事罰(罰金30万円または懲役6カ月)になることがあるので注意です。

●インターバル制度の導入

インターバル制度とは、退社と翌日の出社までに一定の時間を設けようという制度で、EU諸国の例に倣って11時間が基準とされています。
例として、22時まで残業した場合、翌日は9時から出社するということになります。
しっかりと休息時間をとって労働者の負担を軽減しようという制度ですが、この制度に関しては努力義務であり、罰則もありません。
しかし、変則労働制の場合では、日勤・夜勤という過酷なシフトとなるケースもあり、健康管理の面からも労使間で対策を話し合うことが必要です。

多忙な急性期病院の悩み

多忙な急性期病院の悩み

ここでは急性期病院を例に挙げて、その業務内容と問題点について触れてみます。

●新規患者さんが多いため、情報収集に時間がかかる

急性期病院(特に救急指定の病院)では、1日に数十人が入退院するため、リハビリでも1日あたりの新規患者さんが10人以上になることも多いです。
リハビリスタッフが20人の場合、2日に1人は新規患者さんを担当することになるため、カルテ閲覧や情報収集だけでも多大な時間が必要です。
仮に臨床業務に従事できる時間が6時間とすると、セラピスト1人あたり1日18単位が限度となり、一人ひとりの患者さんにかける時間が少なくなります。
さらにリスク管理の面からも日々の情報収集は綿密に行う必要があるため、実際には上記の計算どおりにはならないでしょう。
また、手術直後の患者さんなどでは、リハビリ時間が短くても30〜40分程度は必要となるため、受け持ち人数によっては業務時間内に仕事が終わらないこともあります。

●退院時のサマリー作成に追われている

急性期の場合、平均在院日数が10〜14日と退院が早く、リハビリを開始したと思ったらすぐに終了になることが多いです。
また、回復期病院や介護施設へ転院する場合、リハビリサマリーを作成して情報提供しなければなりません
受け持ち患者さんが多くなるなかで、サマリー作成に追われるとなると、どうしても時間外に作成することになります。
「時間内に臨床業務を終わらせて、時間外に書類作成」というスタイルで働いているセラピストも多いのではないでしょうか。

●多職種カンファレンスが多い

前述したように、急性期病院では早期退院が求められますが、そのためには早期に治療方針や退院先について決定する必要があります。
退院支援を行うソーシャルワーカーさんをはじめ、医師・看護師・リハビリ専門職が方針について情報共有することが求められます
また、病棟カンファレンスだけでなく、患者さんの担当ケアマネジャーや転院先のスタッフなどが集まる退院前カンファレンスも頻回に行われます。
開催日時を決定する際は、多忙な医師をはじめ、院外スタッフの来院時間などが優先されるケースが多く、セラピストの負担が大きくなります。

これらの理由に加え、各種委員会やチーム会などで時間を取られることも多く、急性期病院のセラピストは残業時間が多くなりがちです。

残業0と有給取得のためのポイント

残業0と有給取得のためのポイント

ここでは前項で挙げた問題点に対して、臨床業務と会議の効率化について具体的な解決策をご紹介します。

●週あたりのリハビリ実施日を見極めよう

「リハビリは毎日しなければならない」という誤解をしている方が多いかもしれませんが、医師から具体的な指示がない場合は、その限りではありません。
医師や患者さん本人が望むことは、「機能改善・ADL改善」や「廃用症候群の予防」であり、毎日リハビリをすることではないでしょう
自身でトイレに行くことができるなど、ある程度ADLが向上してきた場合や、活動量の維持が目的な場合は、介入頻度を低くすることを検討するとよいでしょう。
ただし、経験の浅いセラピストは上席のセラピストと相談するなどして決定しましょう。
誤った判断で介入を少なくすると、ますます廃用が進行したり、ADLが低下することが懸念されます。
自身の業務効率化と患者さんの早期退院が両立できてこそ、一人前のセラピストといえるでしょう。

●患者さんのリハビリは病棟看護師と連携しよう

前述した介入回数の制限とも関係しますが、セラピストが介入しない日は病棟での自主練習を指導することや、離床機会を設けることが重要です。
そのなかでも、「毎日トイレまで歩く」、「体重測定まで歩いていく」など、日常的な活動に関しては、病棟看護師に依頼するとよいでしょう。
しかし、単に依頼するのではなく、「◯◯の場面で△△の介助が必要」、「転倒予防のために見守りが必要」など、注意点をしっかりと伝えておくことが重要です。

●会議はSNSやクラウドなどのオンラインを活用しよう

部門内での会議や多職種参加の会議などに時間を費やしているセラピストも多いです。
もし自身が主催する立場であるのなら、以下のような会議にならないように注意しましょう。

  • ◯ほかのスタッフから意見が出ない
  • ◯単なる報告会になっている
  • ◯規定時間に終わらない
  • ◯議論はするが決定事項がない

上記のような会議では、参加者のストレスがたまるばかりで、時間を有効活用できないでしょう。
効率化を図るために、以下のツールを活用するのがおすすめです。

  • ◯LINEやFacebookなどSNS
  • ◯Googleドキュメント

SNSグループを作成するメリットとしては、時間や場所に縛られずに意見交換ができることでしょう。
Googleドキュメントの場合は、リーダーが検討議題を書いておき、ほかの参加者が自身の意見を書いたり、グラフや参考リンクを貼ることができます
また、参加者がスマホを所持しているとリアルタイムで会議録を閲覧でき、議論した内容をリアルタイムで記載することで、その後の会議録作成の手間も省けます。
これらのツールを使用すると、「会議があるから休めない」、「長い会議のせいで臨床業務ができない」などのストレスも解消されるでしょう。

固定観念に縛られず、創意工夫を!

2019年の労基法改正では、残業時間の規制・有給取得の義務化がメインテーマとなるため、各企業ごとに職員の労務管理を見直す必要があります。
そのなかでも、急性期病院はリハビリスタッフの業務量が多く、業務効率を改善する取り組みが必須となるでしょう。
「リハビリは毎日!」、「会議は長くて当たり前」などの固定観念にとらわれることなく、働きやすい職場にするために、スタッフ全員で創意工夫をしてみてはいかがでしょうか。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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