整形外科・リハビリ病院が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2019年02月28日
  • リハビリ病院の悩み

アメリカにおける歩行支援ロボット(ロボットスーツ)の普及。価格や今後の展望は?

高齢化社会を迎える日本では、歩行支援ロボットが注目されていますが、アメリカにおいても歩行支援ロボット(ロボットスーツ)が話題になっています。
アメリカにおけるロボットスーツの普及やその対象、日本のものとの違いなどについて詳しく見てみることにしましょう。

アメリカにおける歩行支援ロボット(ロボットスーツ)の普及

歩行支援ロボットの適応は?大きく違うアメリカと日本

日本とアメリカは生活様式も異なり、アメリカではさまざまな施設、家屋などでバリアフリーが整備されているのにくらべて、日本ではバリアフリーが導入されていないことも事実です。
日本とアメリカの歩行支援ロボットの適応も大きく異なります。

●歩行支援ロボットの適応は?

日本では脳血管疾患や脊髄疾患などの中枢神経疾患も対象となっています。
しかし、アメリカでは若干異なり、対麻痺が主な対象となっています。
アメリカではバリアフリーも整備されているため、車いすでの生活も日本ほど大きく生活様式を変える必要がありません
そのため、脳血管疾患で歩行に多少困難が生じても、車いすでの移動も可能となります。

●アメリカでのロボットスーツの普及度合いは?

アメリカでのロボットスーツの普及度合いは?

アメリカにおいてロボットスーツはRewalkが2014年にFDA(アメリカ食品医薬品局)から認可を受けました。
アメリカリハビリテーション領域でのロボットスーツの主な適応が脊髄損傷であることから退役軍人の病院や大規模な病院、時には個人が所有している場合もありますが、装置は大変高額です。
しかし、FDA認可後はさまざまな会社が装置開発に進出し、脊髄損傷患者に対してロボットスーツの使用を推奨する研究結果などが提示されており、少しずつ認知度は高まっています。
実際、筆者が住むテネシー州の地方ニュースでも、近隣病院におけるロボットスーツの導入について話題にしています。

日本の歩行支援ロボットとアメリカのロボットスーツの違い

日本の歩行支援ロボットとアメリカのロボットスーツは値段やその装備の大きさなども違います。

●日本とアメリカの歩行支援ロボットの装備の大きさはどう違う?

日本とアメリカの歩行支援ロボットの意味合いは若干異なるようです。
日本における歩行支援ロボットは前述のように中枢神経疾患の補助を対象としているため、下肢のふりだしや尖足予防のために足首に装着するなど、関節ごとの機能をサポートするものを多く見かけます。
それと比較して、アメリカのロボットスーツ対麻痺により車いす生活を余儀なくされている人々が対象であり、自立支援用下肢タイプ(HAL、SuitX、ReWalkなど)のような下半身全体をサポートするものが主流です。
ReWalkの場合、腰と足に装着し膝と股関節にモーターを含んだセンサーが装備され、2本のロフストランド杖を使用して、完全な対麻痺の方でも歩くことが可能です。
機材の大きさには疾患、リハビリ室や自宅の広さなどさまざまな要素が関わっていると思われます。

●アメリカのロボットスーツは1着40,000ドル(約442万円)!

アメリカのロボットスーツは1着40,000ドル(約442万円)

当然ながら、ロボットの装備や機材が大きくなるとコストも高くなります。
ロボットスーツSuitXの重量は27パウンド(約12.25キロ)で価格は40,000ドル!
他のロボットスーツReWalk(50パウンド(約22.68キロ)、70,000ドル(約774万円))と比較すると重さも価格もほぼ半分ということになります。
しかしながら、装置の費用も高額であり、実用的なツールであるとはいえないのが現状です。(為替レートは2019年2月25日現在)

アメリカのロボットスーツは労働者の負担軽減にも寄与している!

アメリカのロボットスーツは歩行補助のみではなく、他の用途への転用も期待されています。
一体どのような転用が考えられているのでしょうか。

●アメリカにおけるロボットスーツの今後の展望

アメリカにおけるロボットスーツの今後の展望

前述のように、ロボットスーツは非常に高価で、製造業者はほかにも利用できないか模索しています。
製造業などにおいて物を持ち上げる、しゃがむ、歩くなどの作業を繰り返すものには、ロボットスーツにより、事故や過労などを防ぐことができるとの意見もあります。
たとえば自動車工場内で組み立て作業を担う労働者に対して、ロボットスーツの一部の機能を長時間立位の下肢への負担軽減のために導入された例もあります。
リハビリテーションとは異なる産業における利用は、装置の発展を促すものとなるかもしれません。

アメリカのロボットスーツは規模、対象も日本のものと大きく異なる

アメリカにおけるロボットスーツは脊髄損傷患者を主な対象としており、装置も費用も大掛かりです。
しかしながら多くの研究で使用が推奨され、人々の注目を集めているのも確かです。
また、リハビリテーション分野だけでなく、全く異なる分野での転用も考えられており、今後の発展が望まれる製品の一つといえるのではないでしょうか。

参考:
株式会社ナンブ 歩行支援機アクシブ.(2019年2月25日引用)
Re Gait /Space BIo.(2019年2月25日引用)
蜂須賀研二:脳卒中リハビリテーションにおけるロボット支援訓練.脳外誌 21巻7号:2012.(2019年2月25日引用)
This $40,000 Robotic Exoskeleton Lets the Paralyzed Walk/MIT technology review.(2019年2月25日引用)
Robotic exoskeletons:Helping paraplegics walk again /CBS news.(2019年2月25日引用)
SuitX PHOENIX medical Exoskelton(2019年2月28日引用)
ReWalk.(2019年2月25日引用)
HAL自立支援用下肢タイプPro.(2019年2月25日引用)
Robotic suits may transform manufacturing .(2019年2月25日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)