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リハビリ職は残業が当たり前?3人のPT・OTに調査して浮かび上がった実態とは

現場で働いているリハビリ職(理学療法士・作業療法士)のなかには、残業の多さに不満を抱いている方も多いことでしょう。
今回は、「安定している職業」と認識されているリハビリ職の残業について、3名の理学療法士・作業療法士に聞いて浮かび上がった実態をご紹介していきます。
理学療法士(PT),作業療法士(OT)

リハビリ業界の残業…その実態に迫る!

筆者がこれまでに臨床実習や実際の勤務を通して見てきた病院・施設は10件ほどになります。
病院・施設によっても雰囲気は大きく異なりますが、リハビリ職の働き方について筆者が気になっていたのは「残業の有無」です。
多くの病院や施設ではリハビリ職の残業があり、業務後にカルテや添書を書いているスタッフの姿を見かけます。

ほかの職種は記録を書く時間も業務のなかに組み込まれていることが多いですが、リハビリ職に関しては患者さんの訓練を行う時間が長いためか、書類業務に費やせる時間が足りないのです。
昼休みや空き時間をうまく使ってカルテや添書の作成にあたる方もいますが、残業して対応している方も非常に多い印象を受けます。
一方、病院・施設によってはすべてのリハビリ職が残業することなく、のんびりと自分のペースで働いている場合もあります。
残業の有無は、リハビリ職の働きやすさを左右するものといっても過言ではありません。

現役の理学療法士・作業療法士3名に聞いた!残業の有無と働き方

今回、筆者は実際に理学療法士・作業療法士として働いている方3名を対象に、「リハビリ職の残業」について聞いてみました。

●ケース1「サービス残業はあたりまえ」で苦悩する市原さん

市原さん(仮名・20代女性)は、総合病院の回復期病棟で作業療法士として働いています。
業務は9時から17時30分までと決められていますが、実際には日中にカルテを書く時間がとれないため、業務後に記入を行っているのだそうです。
「仕事は17時半までとなっていますが、どんなに早くても職場を出発するのは18時半になります。カルテなど書類業務の量によっては、20時をすぎることも珍しくありません。この業務に残業代が支払われることはなく、これがあたりまえになっています」

本来の業務終了時間をすぎても、多くのリハビリスタッフが残って書類業務にあたっているというのです。
入職したばかりのころは、先輩スタッフからの指導もあったため、さらに帰宅が遅くなることも多かったそうです。
リハビリ職の方にとってはよく見る光景かもしれませんが、本来ならばこれらの業務にも残業代が支払われなくてはなりません。
場合によっては労働基準監督署から指導が入ることもありますが、現場の雰囲気からすると「サービス残業」を完全にゼロにすることは難しい現状にあるのかもしれません。

●ケース2「残業は多いけど収入になる」という山口さん

山口さん(仮名・30代男性)は、理学療法士として整形外科に勤務しています。
整形外科クリニックが診療を行う時間帯は病院によって異なりますが、仕事や学校の前後に通うことを希望する患者さんがいるため、早朝や夜間にリハビリを行うケースもあります。
山口さんが働く整形外科でも7時?20時すぎまでリハビリを行っており、スタッフはシフト制で勤務にあたっています。
シフト制とはいえ、職場の雰囲気から業務の始まりと終わりの境界がわかりにくいため、「定時に帰る」という意識を持たない方もいるのだそうです。

山口さんの場合、朝出勤しても20時までリハビリ業務にあたり、そのあとカルテの記入などを行います。
そのため、自宅に帰ると23時近くになることもあるといいます。
「私は独身ということもあり、家に早く帰る必要がありません。

それよりは、若いうちからたくさんの患者さんと接し、さまざまな経験をしながら収入アップを狙っていきたいと考えています。
自分のような人にはおすすめの働き方だと思います」
もちろん体力と相談しながらではありますが、適切に残業代が支払われる場合は、このような働き方を望む理学療法士や作業療法士もいるのでしょう。
山口さんのように、経験や収入を重視する方にとっては、このような働き方にもニーズがあるのです。

●ケース3「残業が一切ないからプライベートと両立できる」という葛西さん

特別養護老人ホームで作業療法士として働く葛西さん(仮名・30代女性)は、残業が一切ないため職場や働き方に大変満足しているのだそうです。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設といった介護施設で働く場合は、残業が少ない傾向にあります。
病院とくらべて利用者さんの入れ替わりが少ないため、ゆったりとしたテンポで働けることも多いです。
「以前、総合病院で働いていたときは残業が多く、家に帰ると20時近くになっていました。

今の職場では残業は一切なく定時に仕事が終わります。
休暇を取得しやすく、プライベートが充実するので現状に満足しています」

特に病院で外来のリハビリを行う場合には、1日休むだけでも影響がでるというスタッフも多いことでしょう。
施設の場合は、入居者さんがずっと施設内で過ごしているため、リハビリができなかったときも振替などの調整がききやすいという利点があります。
もちろん介護施設ならではの大変さもありますが、もっと自分の時間をもちたいと考える方には向いているかもしれません。

残業としてカウントされない!負担が大きいリハビリ職の「勉強会」

病院や施設によって「勉強会」の有無や頻度にはばらつきがあります。
理学療法士や作業療法士は専門職といっても、一度資格をとれば終わりというわけではなく、新たな知見を学び続けなければならない職業です。
病院・施設のリハビリ部門で行う勉強会は、学ぶ環境が整えられているという意味ではありがたいと感じる方もいるでしょう。
実際、筆者も新卒のころは定期的に開催される「勉強会」に助けられることが多くありました。

しかし、病院や施設によっては勉強会の参加が任意ではなく必須という雰囲気になっていることもあり、なかには負担を感じるスタッフもいます。
業務後の勉強会に参加するだけでも拘束時間は長くなりますが、勉強会でテーマを提供する役割を与えられると、資料作成には休日を返上しなければならないこともあります。
熱意があって勉強会に参加したいと思うスタッフもいれば、早く帰りたいと感じるスタッフもおり、全員の足並みをそろえることは難しいです。
しかし、病院や患者さんに良いリハビリを提供するために、勉強会が欠かせないものであるのなら、業務のなかに組み込んでしまうことが理想的でしょう。

まとめ

多くの理学療法士・作業療法士にとって、「できるだけ残業が少ないところで働きたい」という共通の思いがあるのではないでしょうか。
仮に残業があったとしても、残業代は支払ってもらいたいと思うのが当然です。
職場によっても就労のスタイルに違いがあるため、自分のライフスタイルに合った職場を見つけたいところです。

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