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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年03月29日
  • リハビリ病院の悩み

医学系・リハビリ系論文の書き方とは?日本語で投稿するときの構成やポイントを解説

医学系やリハビリ系の論文を書きたいと考えるとき、初めての投稿であれば「なにから書けば良いのだろう」と迷ってしまうものです。
今回は、これから学術論文を投稿して実績を築いていきたい医師・理学療法士・作業療法士などのために、基本の構成やポイントをお伝えしていきます。
日本語で初めて論文を執筆するときには参考にしてみてください。

医学系・リハビリ系論文の書き方とは

医学系・リハビリ系の論文は「IMRAD」の構成に

医学系・リハビリ系の論文は「IMRAD」の構成に

英語、日本語を問わず、IMRAD(イムラッド)と呼ばれる構成で論文を書き進めることが基本となります。
これは「Introduction, Method, Result and Discussion」の略であり、医学・リハビリに関する論文も含み、実証分析による論文ではほとんどがこの構成となります。

  • ●Introduction:序論、緒言
  • ●Method:方法
  • ●Result:結果
  • ●Discussion:考察

多くの学術論文は、少なくともこの4つの要素を含む構成となります。
実際には、abstract(抄録)、conclusion(結論)、acknowledgements(謝辞)、参考文献(reference )などの項目も定番であるため、ジャーナルで目にすることは多いです。
なお、学会の抄録やポスターを作成する際にも、IMRADの構成を用いることができるので、このパターンは習得しておきましょう。

医学系・リハビリ系の学術論文で各パートに記載すべき内容とは?

医学系・リハビリ系の学術論文で各パートに記載すべき内容とは

IMRADの構成で医学論文を書いていくとき、各パートには具体的にどんなことを記述すれば良いのでしょうか?
実際に論文を読んでみるとイメージがわくものですが、含めるべき情報について改めて整理していきます。

1.緒言

緒言のパートでは、その研究を行う社会的な背景などについて記述します。
たとえば、「日本では高齢化が急速に進んでおり…」「寒冷積雪地では冬季間に高齢者の転倒が多発し…」「これまでは理学療法士が介入してきたが…」など、研究と関係のある背景について記述します。
そして、社会が抱える課題に対して、これまでどんな研究が行われてきたのか、なにが残された課題なのか、文献情報をもとに明記します。
残された課題に対して、なぜその研究が必要といえるのか、どこに研究のオリジナリティや必要性があるのかを伝えます。

2.目的

研究目的のパートでは、その研究でなにを明らかにしたいのかを記載します。
「…を明らかにすること」「…の効果を比較すること」など、内容にあわせて表現を検討します。
その研究によって期待できる効果について言及することもあります。

3.方法

方法を書くときには、実際にどんな手法や手順で研究を進めたのか、できるだけ具体的に記す必要があります
医学やリハビリに関する論文では、例として次のような内容について記述を行います。

  • ●被験者(人数、年齢、性別、診断名、包含基準と除外基準、説明と同意)
  • ●実験環境(使用機器、環境)
  • ●実験材料(試料、薬品)
  • ●実験手続き(実験を行う順序・フロー、試行回数)
  • ●結果の分析方法(集計・統計の手法、使用するソフトウェア)

必要に応じて項目を取捨選択する必要がありますが、大切なのはほかの研究者がこの研究を再現できるくらい詳細な情報を記述することです。

4.結果

結果に関しては、論文の中でも読者が一番興味を持つパートになります。
次の2点を意識しながら書き進めてみましょう。

●客観的な事実を記述

考察とは異なり、自分の解釈を交えて書くのではなく、単純に得られた「事実」だけを記述していきます。
したがって、実験や調査などから得られたデータを中心に提示することになります。
量的研究、質的研究など種別にかかわらず、結果のパートにはあくまでも結果だけを書くようにします。

●図表を効果的に挿入する

研究論文の中では、図表に記す内容に最も価値があるといっても過言ではありません。
「図表を見れば研究成果の核心がわかる」ということを意識してみましょう。
また、図表の挿入によって、本文の中で無駄な文章を減らすことにもつながります。
エクセルで作った図をそのまま貼るのは学術論文にはふさわしくないため、フォントや色、レイアウトなどを編集することをおすすめします。
図表のデザインについては投稿先のジャーナルに掲載されている論文を見てもよいですし、図表の作成方法を解説した書籍を参考にすることもできます。

5.考察

考察では、結果に関する自身の見解を述べていきます。
結果のように客観的な事実ではなくなるため、特に論理的に記述していく必要があります。
たとえば、次のような観点で論述を進めていきます。

  • ●結論として研究からどんなことがわかったのか。
  • ●仮説と合致した結果か、そうでなかったか。その理由はなにか。
  • ●先行研究とどんな点が共通していたか、異なっていたか。その理由はなにか。
  • ●得られた結果にどんな意義や意味があったといえるのか。
  • ●研究の限界や残された課題にはどのようなことがあげられるか。
  • ●得られた結果はどのように応用・発展させていける可能性があるのか。

このように、事実の羅列とは異なり、得られたデータについて多角的に考える作業が必要になります。
たとえ研究結果が予想と違うものであったとしても、その要因を考察することによって、次の研究につながります。

医学系・リハビリ系論文の書き方は投稿規程に合わせる

先述の通り、医学やリハビリに関連した論文の書き方・構成には、基本となるパターンがあります。
大きな流れはIMRADを意識していれば問題ありませんが、そのジャーナルの投稿規程に合わせるということが優先されます。
論文の投稿先となるジャーナルではそれぞれ投稿規程を公開しています。
たとえば、日本緩和医療学会誌の投稿規程では、原著論文として投稿する場合に次のような構成の原稿が必要となります。

表題、緒言、方法、結果、考察、結論、利益相反関係の有無、各著者の貢献内容、引用文献、謝辞、表、図の説明と図、付録

IMRADの項目が含まれていますが、それ以外にも必要な内容が指定されています。
この中で少しわかりにくいのが「利益相反関係の有無」ですが、これは研究に利害関係がある企業・関係者がいるときに、その旨を開示すべきことを意味します。
研究に企業の金銭などが絡んでいれば、報告されている内容に偏りが生まれる可能性があるためです。
開示すべき利益相反関係がないのか、研究の一部をある企業からの支援で行ったのか、示す必要があります。
その投稿規程によって作成すべき項目に一部違いが生じることがあるため、すべてクリアできているかどうかひとつずつ確認する作業は欠かせません。

基本の流れに基づいて日本語の学術論文を執筆してみよう!

学術論文では、ある程度流れが決まっているため、慣れるとなにを記述すれば良いのか頭の中で考えることができるようになるでしょう。
また、論文で書くべき項目が頭に入っていれば、日頃からそのような視点で研究を進めることができます。
最初のうちは投稿先の論文で書き方を参考にしながら、まずは日本語の論文に挑戦し、徐々にコツをつかんでいきましょう。

参考:
特定非営利活動法人 日本緩和医療学会 投稿規程.(2019年3月28日引用)

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  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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