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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2019年04月26日
  • リハビリ病院の悩み

アメリカでは他言語を話す患者さんにどう対応しているのか?日本における課題と有効ツール

日本でも以前とくらべると外国人の観光客さらには移住者も増加しており、医療機関を受診するケースも増えています。
アメリカではさまざまな国からの移民を受け入れていますが、医療機関などで英語を話せない人たちは一体どのようにコミュニケーションをとっているのでしょうか。
今回はアメリカでの例をご紹介すると同時に、日本でも増加する外国人の医療機関受診者にどう対応するべきなのかについてお話ししたいと思います。

アメリカでは他言語を話す患者さんにどう対応しているのか?日本における課題と有効ツール

アメリカの大規模病院は通訳電話の設置により外国人に対応

移民を多く受け入れるアメリカでは、さまざまな言語があふれており共通言語である英語に乏しい方たちもたくさんいます。
アメリカの医療現場では、英語を話せない外国人にどのように対応されているのでしょうか。

●アメリカの外来に設置されている“Translation Phone”はさまざまな言語に対応

アメリカの外来に設置されている“Translation Phone”はさまざまな言語に対応

アメリカの中規模から大規模の病院には、診察室にTranslation Phoneと呼ばれる電話機のようなものが設置されています。
医師の質問や説明がうまく理解できない方が受診された場合には、この電話を利用し、電話越しに通訳を依頼することができます。

●使い方は簡単!電話越しに通訳者を介して会話するだけ

Translation Phoneは受話器を上げ、オペレーターにどのような言語の通訳者が必要かを伝え、接続する仕組みとなっています。
電話越しに内容を説明し、患者に代わって通訳して伝えてもらうというものです。
しかし、マイナー言語などの場合にはTranslation Phoneで、通訳者を見つけることが難しい場合もあるという自体もよく起こります。

アプリやテレビ電話などの最新技術は医療通訳にも役立つ

診察室に設置された“Translation Phone”の受話器をとれば、通訳者にかかる仕組みとなっていますが、最近ではタブレットなどでのテレビ電話も導入されています。
具体的なサービスについてご紹介しましょう。

●テレビ電話はコストの節約、時間も選ばず利用できるツール

インターネットを利用したテレビ電話を利用すれば国を越えて通訳者や仲介者を介することができ、通話料金も節約できます。
テレビ電話ですと顔が見える通訳者がいることで安心でき、画像などの説明時も混乱を生じません。
また入院中であっても、夜間であっても、時差などがある地域からでも気軽に仲介を依頼できるため時間を気にせず、納得した説明を受けた上での治療を受けることが可能です。

●通訳機能アプリは手軽に使えるツール

ほかにも最近では通訳機能のアプリなども登場しており、無料でダウンロードも可能です。
そのいくつかをご紹介しましょう。

Google翻訳
(iTunes/Google play store対応)
Google翻訳
引用:App Store
無料でダウンロード可能
打ち込み入力により103の言語に対応
一部の言語はオフラインでも使用可能
マイクロフォンによる録音での翻訳も
医療相談トランスレーター
(iTunes/Google play store対応)
医療相談トランスレーター
引用:App Store
無料ダウンロード可能
17カ国語に対応している
持病や飲んでいる薬なども登録しておける
Exlanguage Nurse
(iTunes/Google play store対応)
Exlanguage Nurse
引用:App Store
有料ダウンロード
4言語(中国語、韓国語、英語、ポルトガル語)に対応

通訳アプリの使用は、医療受給者・提供者の双方にとってのコミュニケーション手段の一つとして有効です。
病棟や採血、検査などの状況下でもある程度のコミュニケーションがとれることで、医療の質や安全性も高まるのではないでしょうか。

現在の日本の医療機関における外国人対応と今後の課題

では現在の日本における外国人の医療機関受診においては、どのように対応されているのでしょうか。
また、アメリカ、日本の両方における課題にはどんなものがあるのでしょうか。

●現在の日本における外国人の外来患者への対応は?

現在の日本における外国人の外来患者への対応は?

緊急告示病院などの医療機関1710カ所の約80%に外国人の外来受診が記録されており、そのうち65%がコミュニケーションが十分ではなかったとの報告があります。
日本の現状としては、全国各地に設置されている外国人をサポートするNPO団体などにより、電話や人が病院へ出向き診療などの際に通訳として外国人の外来患者さんに無償提供されます。
ほかには医療受給者が医療通訳を有料で雇う、もしくはスタッフでその言語を話せる人が手伝う場合もあります。
しかし医療通訳は不足しており、認定資格を得られる通訳者の養成コースや試験も限られた言語のみなのが現状です。

●アメリカ、日本の両方に通訳者の問題は残っている

現在、日本でも外国人観光客が増え、またその受け入れに関して政府も力を入れています。
外国人の観光客や移住者がますます増えますと、需要と供給のバランスも不均衡となり、通訳者が見つからないといった不具合も出てきます。
くわえて、診療するにあたり時間がかかるが、診療報酬にも反映されず利益率が悪く、医療機関側にとっては利益がないのが現状です。
そのため、外国人の診療受け入れをしたがらないという負の要因もあります。
ほかにも日米両方において、

  1. 1)マイナーな言語などの場合には地域において通訳者が見つからない
  2. 2)有料の通訳者の場合、医療受給者が高額な通訳料金を負担する必要がある
  3. 3)外国人観光客ではなく移住者の場合、医療だけではなくソーシャルワーカーや地域医療の担当者など、医療現場以外でも通訳が必要

などの問題があります。

アメリカのさまざまな通訳サービスは日本においても有効なツール

医療を受けるにあたって、コミュニケーションは大変重要な課題です。
移民の多いアメリカでは、英語以外の言語を話す人々の診療にも電話をはじめ、さまざまなツールを使って対応しています。
今回ご紹介した通訳電話や通訳アプリなどの利用は、日本でも今後増える外国人の外来受診者の対応をスムーズに行う有効なツールとなるでしょう。

参考:
厚生労働省 医療機関における外国人旅行者及び 在留外国人受入れ体制等の実態調査.(2019年4月11日引用)
一般財団法人 日本医療教育財団 医療通訳技能認定試験.(2019年4月11日引用)
Mary C Masland et al.:Use of Communication Technologies to Cost-Effectively Increase the Availability of Interpretation Services in Healthcare Settings.(2019年4月11日引用)
New 2016 ACA Rules Significantly Affect the Law of Language Access/CM Elearning.(2019年4月11日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。
    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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