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クリニック・治療院 OGメディック

  • yukie

    公開日: 2019年05月30日
  • リハビリ病院の悩み

ダウン症のリハビリをどう進める?乳幼児期の作業療法・理学療法で役立つ評価・介入の視点

小児のリハビリに携わるなかで、ダウン症の子供を担当する機会があったとき、どう進めていけば良いのでしょうか?
発達障害や小児の分野で活躍している作業療法士や理学療法士のために、リハビリの基本的な考え方について解説していきます。
今回は、ダウン症児の中でも、乳幼児期の子供のリハビリに焦点を当ててお伝えします。

ダウン症のリハビリをどう進める?

リハビリの前に!ダウン症の子供の発達段階を評価

リハビリの前に!ダウン症の子供の発達段階を評価

ダウン症の子供に対するリハビリを始める前には、まず患者さんの月齢や年齢に対して、何にどれくらい発達の遅れがあるのかを評価することが不可欠です。
たとえば、「歩行の獲得が遅い」といっても、具体的にどれくらいの遅れがあり、いまはどの段階にあるのかを客観的に知ることが大切です。
運動面だけでなく、社会性、言語面など、子供の発達段階をトータルでみていくようにしましょう。

●全体像を評価する

遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表を用いると、運動面・社会性・言語面について大まかな評価をすることができます。
運動面であれば、5〜6カ月頃で寝返りをする、8〜9カ月頃で物につかまって立つなど、月齢ごとに獲得できる運動について記載されています。
言語面や社会性についても各段階で獲得できる能力について記載されていますが、ダウン症の有無にかかわらず個人差はあるため、目安としてとらえていきます。
少しできないことがあるからといって即刻問題になるわけではありませんが、全体的にどんな発達段階にあるのか、機能によってばらつきはないのか確認しておきましょう。
なお、運動、探索、社会、生活習慣、言語の領域に分かれている、「津守式乳幼児精神発達検査」を使用することも可能です。

●質的な側面についても評価する

遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表などの評価は、大まかに全体像をとらえる上で役立ちます。
しかし、実際には「できる・できない」だけでなく「質的な側面」にも目を向け、変化を追っていくことが大切になります。
たとえば、運動発達の場合、1歳〜1歳2カ月頃に「2〜3歩あるく」という項目がありますが、歩けたかどうかのほかに、「どのような歩き方であったか」を記録します。
ダウン症のお子さんの場合は、歩くときに両足を開いてワイドベースになる、歩行速度が遅い、転びやすい、すぐ膝折れするなどの特徴を示すことも少なくありません。
このように、質的な側面についても記録を残しておくと、リハビリの効果や発達段階を追う上で役立ちます。

ダウン症の乳幼児に対する具体的なリハビリ方法

リハビリでダウン症の乳幼児を担当することになったとき、どんな視点でリハビリを進めていけば良いのでしょうか。
次に、具体的なリハビリの方法について交えながら、基本となる方向性について解説していきます。

●筋緊張を高めるアプローチは基本

筋緊張を高めるアプローチは基本

ダウン症の子供では、筋緊張が低く、全体的に運動発達が遅くなります。
姿勢や運動を評価してみても、腹部の筋緊張が低くて腰椎が前弯していたり、背臥位での進展位を長く保てなかったり、影響が現れることが少なくありません。
乳幼児のダウン症児では、筋緊張を高めるためのアプローチが必要になることが多いです。
バランスボールの上で座位や腹臥位をとり、理学療法士や作業療法士が骨盤を支えながら軽く揺らし、体幹の筋緊張を高めるなどの方法があります。
感覚統合の遊具がある施設であれば、子供と一緒にホーススイングなどに乗って揺らすなどの活動も選択できます。
寝返りや四つ這いなどの運動機能訓練の前に、準備体操として行い、筋緊張を高めた状態にすることも方法です。

●環境調整をしながら運動発達を支援

運動を獲得していけるよう、リハビリでは子供が興味を持てるおもちゃを使いながら環境設定を行い、理学療法士や作業療法士が徒手的にサポートしていきます。
次に、獲得したい姿勢や運動に対してどうアプローチするのか、一例をご紹介します。

獲得したい姿勢・運動 アプローチ例
寝返り 子供が興味を持つおもちゃを寝返りたい方向に提示しながら、寝返りを促す。
足を交差させ、骨盤を軽く支える・押すなどして徒手的に寝返りをサポートする。
手掌支持位 三角マットの上で腹臥位の姿勢をとり、荷重を減らした段階から始める。
手を握り込む子供もいるため、手を開いて床につけるように支援する。
頭が屈曲する場合は、前方に興味をひくおもちゃを提示する。
四つ這い ずり這いができる場合は、腹臥位で膝を床につける姿勢をセットし、四つ這い位を保てるようサポートする。
四肢で体重を支えきれない場合は、体の重みを除くように支援する。進む方向に興味をひくおもちゃを用意する。

このアプローチに共通しているのは、リハビリにスタッフが子供の動きを引き出すために環境設定を行い、徒手的なサポートをしている点です。
この考え方は、立位や歩行の獲得を目指す場合であっても同じになります。
徒手的なサポートを得ながらであっても、実際に動きを経験することによって、ダウン症の子供の運動学習につながっていきます
また、粗大運動の発達は上肢機能の発達にも関係しています。
手掌支持位を経験することで、手の尺側、橈側の分化が進み、物を把握するために必要な上肢機能の獲得にもつながっていきます。
体幹が安定すれば、上肢でのリーチ動作も安定的なものになっていきます。
なお、ダウン症の子供では心疾患を合併する場合もあるため、運動の負荷については医師に確認しましょう。

●遊びから言語や社会性の発達を促す

遊びから言語や社会性の発達を促す

赤ちゃんのうちは指しゃぶりなど感覚遊びをしますが、次第に外界に目を向けられるようになり、「見る」「模倣する」「因果関係がわかる」など認知機能が高まっていきます。
子供の遊びの発達段階に応じたおもちゃや刺激を選択することで、認知機能を高めるためのアプローチができます。
遊びや認知機能のレベルが発達してくると、車をみて「ブーブー」と声を出そうとするなど、言語発達を促すことにもつながります。
たとえば、模倣を好むようになったときに「おもちゃのチャチャチャ」の手遊びをくり返すと、「タッタッタッ」「チャーチャー」といった発声ができるようになる子供もいます。
理解力の高い大人のリハビリとは異なり、子供の場合は遊びの中で社会性や言語の発達を促していくことが基本となります。
幼児期には、音楽や描画など、活動の幅を広げていくこともできます。
すべての子供に共通して使える手法があるわけではないため、その子供の興味関心や認知発達に応じて活動を選択していきましょう。

ダウン症のリハビリでは家族のフォローも忘れずに

ダウン症のリハビリでは家族のフォローも忘れずに

ダウン症の子供は、発達がゆっくりと進んでいきます
健常児の場合は1歳〜1歳2カ月頃に独歩を獲得しますが、ダウン症児の場合は歩行の開始が遅く、子供によっては2〜3歳頃になって歩けるようになることもあります。
親御さんはどうしても「できないこと」に目を向けてしまい、子供の発達のスピードに不安や心配な気持ちを抱えてしまうことも少なくありません。
ダウン症の子供でも、経験をすればするだけ、少しずついろいろな機能を獲得していけるため、具体的に何ができるようになったのか親御さんにもお伝えしていきましょう

  • 「寝返りのときに、骨盤のところを支えるサポートが必要なくなりました」
  • 「最近、音の鳴るおもちゃで遊べるようになりましたね。これも遊びの発達が進んだということですよ」

このように情報を伝えていくと、できないことではなく、できたことに目を向けられるようになります。
ダウン症の子供の発達はとてもゆっくり進むため、小さな効果や変化を言葉でお伝えすることによって、親御さんもリハビリに対して前向きな気持ちになれるものです。

まずはリハビリの雰囲気に慣れてもらうことが第一歩

ダウン症の理学療法や作業療法についてイメージがわいても、実際には子供がなんらかの理由でリハビリを拒否してしまう場合もあります。
小さな子供では、ぐずってしまう、人見知りをするなどの理由から、思ったようにリハビリを進められないケースもあります。
まずは、リハビリ室やスタッフに慣れてもらうことが第一歩です。
リハビリのスタッフが楽しい雰囲気を作ることも大切ですが、そのときの子供のリズムに合わせて、焦らずにリハビリを行ってみてください。

  • yukie

    公開日: 2019年05月30日

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