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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年07月31日
  • リハビリ病院の悩み

失語症とは?種類や構音障害との違いをわかりやすく解説

失語症には、大きく分けて4つの種類があります。
ひと言で失語症といっても、理解力や発話力には違いがあり、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
今回は、失語症の種類や構音障害との違いについてもお伝えします。

失語症と構音障害の違い

失語症とは?

失語症とは、「話す」「読む」「聞いたことを理解する」「書く」という、言葉を扱う機能が障害される症状を指します。
人によって、物品の名前が言えなくなったり、言われたことが理解できなくなったりします。
失語症は脳血管障害が原因となるケースが多く、脳梗塞や脳出血のあとで、脳の中の言語を司る部位が損傷を受けた場合に生じやすいです。
特に、脳の左側に言語中枢があるため、この部位で損傷があった場合に症状が出やすくなります。
脳の左側が損傷されると、対側の右半身に麻痺が出現するため、右麻痺の人には症状が出る人が多いです。
また、てんかんや交通事故にともなう脳損傷などが原因となって症状が出現する場合もあります。

失語症の種類

失語症にはいくつかの種類があり、脳のどこが損傷されるかによって、状態にも違いが生じます。
どのようなタイプがあるかわかっていると、患者さんのケアやリハビリのアプローチに生かせるため、種類を知っておきましょう。

非流暢性失語 全失語、ブローカ失語
流暢性失語 ウェルニッケ失語、健忘失語

発語がない、発語がぎこちない「非流暢性失語」と、比較的スムーズに話すことができる「流暢性失語」に分類されます。
全部で4つの種類に分類されることが一般的であるため、それぞれの特徴についてご紹介します。

●全失語

失語症の中では、障害の程度が重いといわれています。
発話がまったくみられないか、強く働きかけたときに限られた数の語を発するか、意味の通らない発話をするパターンが多いです。
「あー…あー…。うー…」といったように、発声レベルにとどまる場合もあります。
そして、理解障害の程度が重く、身の回りの物品から、名称を聞いて正しく選択できないなどの反応が見受けられます。

●ブローカ失語

全失語と同様に、発話がぎこちないですが、単語や短文を使える患者さんもいます。
そして、全失語よりも理解障害の程度が軽くなり、軽度から中度の障害となります。
「はい」か「いいえ」で応答できたり、身の回りの物品からひとつを選択できたりしますが、複雑な指示は理解が困難となる場合が多いです。
「AをしてからBをする」のように、指示が二段階になれば、理解が難しくなる傾向にあります。
言葉数は少ないですが、全失語にくらべると、理解が比較的保たれていることが特徴です。
したがって、「み…ず…。の…のみたい」のように、たどたどしくはありますが、意味が通ることも多いのです。

●ウェルニッケ失語

比較的すらすらと発話ができるものの、単語・文章を理解する能力が障害されています。
ジェスチャーなどを交えながら、ゆっくりと話しかけると、理解できる場合もあります。
ただ、よく話すものの、意味のない音や言い間違いが多く含まれるため、支離滅裂な印象となってしまう場合があります。
たとえば、「きょうはあの、まだいてもいいかですか?あれはまだそうかだけど、あの、これならにしますか」のように、意味をなさない話になってしまいやすいです。

●健忘失語

理解障害がない(または軽微)であることが特徴で、比較的スムーズに発話も可能です。
しかし、喚語困難(言いたい言葉が出てこない)、迂言(回りくどい言い方)などが見受けられます。
たとえば、「お茶」という言葉が出てこない場合は、「あの、あれがほしいのですが…。水じゃなくて、いつもお食事のあとに飲む…あの…」のような言い方になります。
こちらの例にあるように、「あれ」や「それ」など指示代名詞の多用が目立つことも特徴的です。

失語症と構音障害の違い

失語症と混同されやすい障害に「構音障害」があります。
いずれも脳血管障害などが原因となることが多い点は共通していますが、構音障害では、言葉を発するための筋肉の機能に障害が現れます。
言葉を発するには、唇や舌を動かす必要がありますが、この運動がうまくいかないことが原因となります。
構音障害の場合は、発音が不明瞭になる、声が小さくなる、話すリズムが乱れるなどの症状が出現します。
構音障害だけがあるときは、「話す」ことだけに影響があり、理解する力や読み書きをする力は障害されません。
一方、失語症の場合は言語中枢に障害があるため、仕組みや症状に違いがあるのです。
ただ、どちらも共通していえるのは、見た目からわかりにくい障害であるため、他人から誤解を受ける可能性があることです。
看護師、介護士、リハビリのスタッフとして患者さんと関わるときには、その人が抱えるストレスを理解する姿勢を持ちましょう。

失語症の患者さんに対応するときの心がまえ

失語症では、簡単な言葉でも理解が難しい場合はあるものの、基本的にはわかりやすい表現で話しかけることが大切になります。
失語症の種類にかかわらず、患者さんと接するときに心がけたい点についてお伝えします。

  • ●ゆっくりとシンプルな言葉で話す
  • ●伝わりにくいときは、別の言葉や表現を使う
  • ●イラストや図、絵カード、ジェスチャー、カレンダー、時計など、ほかの手がかりを交えて話す
  • ●実物を指で示しながら話す
  • ●「はい」「いいえ」で応答できるように話す
  • ●言い間違いを何度も訂正させない
  • ●反応がないときは急かさない
  • ●言葉を予測して「◯◯のことですか」と補う(先回りはしすぎない)

このように、話しかけた内容が少しでも理解しやすい、反応しやすいものとなるように、関わり方を工夫してみましょう。
言葉が出ないときには待つ姿勢も大切ですが、あまりに時間がかかるとご本人にとってもストレスになるため、頃合いをみて言葉を補うようにしてみてください。

失語症の分類から関わり方のヒントを探る

病院や介護施設などで、失語症の患者さんを担当する機会は少なくありません。
種類によって理解力に違いがあり、同じタイプであっても人によって症状の程度には差があります。
種類について知っておくと、障害像をある程度予測した上で接することができます
種類によって特徴が異なるため、まずはどのパターンに分類されるのかを考えてみるようにしましょう。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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