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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2020年08月31日
  • リハビリ病院の悩み

経験者が解説!理学療法士・作業療法士が海外留学で得られる6つのこと

理学療法士・作業療法士の資格をお持ちで、「海外留学をしてみたい」という目標がある方もいるでしょう。
海外留学をするには時間もお金もエネルギーも必要になりますが、留学経験を通して何が得られるのでしょうか
今回は、作業療法士の資格を持ち、実際に北米に留学した経験を持つ筆者が、自身でプラスになったと感じているポイントについてご紹介します。

理学療法士・作業療法士が海外留学で得られる6つのこと

理学療法士・作業療法士にとっての海外留学

理学療法士・作業療法士にとっての海外留学

理学療法士や作業療法士の資格を有していれば、病院や施設など、働き口はたくさんあります。
さらなるスキルアップのためにリハビリ職の人ができることとしては、次のようなものが挙げられます。

  • ●認定・専門の資格を取得する
  • ●関連資格を取得する
  • ●大学院で修士号や博士号を取得する
  • ●研修会に参加する
  • ●学会や研究会に参加する
  • ●学会発表や論文発表をする
  • ●海外留学をする

身近なところでできる学会や研究会への参加といったこともありますが、やはり時間と手間がかかることほど価値は大きくなります。
研究を行って発表したり、認定や専門資格、学位などを取得したりすることも方法です。
理学療法士や作業療法士にとって、海外へ留学するとなればハードルが高く感じられます。
大学院などであれば社会人が通えるプログラムも存在しますが、留学となれば臨床での仕事を一時的にやめることになります。
すでに大学などにポストを持っていれば、籍を置いたまま一定期間留学できるケースもありますが、やはり敷居は高いものとなるでしょう。
しかし、海外留学をするからこそ磨くことのできるスキルも数多くあるため、理学療法士や作業療法士としてのスキルアップの手段として検討してみてください。

理学療法士・作業療法士が海外留学を通して得るもの

理学療法士・作業療法士が海外留学を通して得るもの

理学療法士や作業療法士が海外留学を経験することによって、何が得られるのでしょうか。
筆者が考える留学のメリットについてお伝えします。

1.海外留学の経歴が強みになる

海外留学を経験しておくと、就職や転職時の履歴書、大学教員の公募時の応募書類などに記載することができます。
特に大学教員などを志す場合には、キャリアとして留学経験があると有利になります。
筆者の場合は、大学院生のときに研究室の教授から「箔がつく」ということで海外留学を勧められました。

2.海外の水準で研究を行う力を養える

海外留学をすると、行き先にもよりますが多くの場合は英語でのやりとりになります。
そして、大学や研究機関によっては世界各国から研究者が集まっています。
日本国内の地方学会であれば、多くの演題が採択されますが、世界水準ではそうもいきません。
海外に身を置くことによって、一流の研究者が集まる学会、インパクトファクターの大きい学術雑誌での研究発表を目標に、国際水準で研究を行う力を養えます。
留学を経験すると、海外に行くということ自体に対して敷居が低くなるので、国際学会に参加する心理的抵抗もなくなります。

3.英語力・英会話力をブラッシュアップできる

海外留学では、単なる旅行とは異なり、さまざまな説明や指示を聞いたり、ディスカッションをしたりと、英語を使うシーンが増えます。
留学先の人から、「あなたの考えは?」「日本ではどうなの?」と質問を受ける機会が多いため、自然と英語を聞く・話す力が身についていきます。
英会話教室などに通い、理学療法や作業療法の現場で使いそうな英語表現をマスターしておくなどの準備も大切ですが、やはり海外に身を置くと英語力は高まります。
英語はあくまでもツールではありますが、研究をする上である程度の英語力は不可欠であるため、研究者としての強みになります

4.海外の研究者とのコミュニケーション能力が高まる

海外留学をすると、海外の研究者とコミュニケーションを取る力が高まります。
たとえば、日本ではあまりなじみがないと感じられるかもしれませんが、欧米などではホームパーティーに招待してもらう機会もあります。
ホームパーティーに招待されたときには、ワインなどをお土産に持参するといった心遣いの仕方も自然に身についていきます。
また、日本人の感覚では、約束の時間に1分遅れてきただけでも「遅刻」となりますが、海外ではもっとルーズです。
時間を分単位で厳密に守ることよりも、意義のあるディスカッションをすることに重きを置くなど、文化の違いを含めて相手を理解できるようにもなります。
留学を通して、海外の研究者と上手に付き合う術を学べるでしょう。

5.海外で生活する力が身につく

どれだけ研究、臨床のスキルがあっても、海外に身を置いて生活することには別の苦労が伴います。
現地ではスーパーでの買い物の仕方に始まり、乗り物の乗り方、信号の渡り方など、さまざまな面で日本との違いがあります。
海外での生活をサポートしてくれる人がいれば心強いですが、必ずしもそうはいきません。
最初は戸惑うものですが、海外に身を置くことで次第に適応でき、ほかの国に行ったときにも経験を応用できるようになります。

6.人脈・ネットワークを構築できる

理学療法士や作業療法士が海外に留学すると、人脈やネットワークが広がります。
たとえば、学会の運営などで海外の研究者を招聘したい場合や、自身の研究に関して研究者を紹介してもらいたい場合などにも、留学先で知り合った人のネットワークが役立ちます。
逆に、日本の医療機関に見学・研修に行きたいと相談を受けることもあり、相互にとって良い人脈ができます。
また、留学先に日本人がいた場合には、関係が密になりやすく、研究者として互いに切磋琢磨できます。

理学療法士・作業療法士が海外留学する際の注意点

理学療法士・作業療法士が海外留学する際の注意点

海外留学といえば華やかなキャリアを築くことができるというイメージがありますが、留学を検討する際には次の注意点も念頭に置いておきましょう。

●物価が高い国では生活費がかさむ

一言で海外留学といっても、行き先によって物価には大きな開きがあります。
国によっても違いがありますし、都市によって家賃などにも差が出てきます。
たとえば、筆者が留学したカナダのある都市では、ワンルームのマンションでも家賃が1,000ドル以上が相場であり、エリアによっては1,300ドル以上になることもありました。
留学中は収入が途絶える方も多いため、少しでも安く済ませたいものですが、狭小マンションでもそれなりの家賃にはなってしまいます。
そのため、心理的に抵抗がなければ、ルームシェアをする研究者もいます。

●日本を長期間離れると人脈がなくなることも

海外留学をしたいと考える理学療法士、作業療法士の方の多くは、大学や研究機関などでポストを得たいという思いがあるのではないでしょうか。
日本から長く離れてしまうと、日本国内での人脈がなくなってしまうことがあります。
そのまま留学している国で就職したい場合は問題ありませんが、日本に帰りたいと考えているときは、日本の研究者との縁が全く途切れてしまうことのないように注意しましょう。

海外留学する際はビジョンを明確に

海外留学する際はビジョンを明確に

海外留学を経験することによるメリットはいくつもあります。
筆者自身は視野の広がりや海外生活への適応といったことも含め、留学して良かったと感じています。
ただ、海外留学にはどうしても時間と費用が必要になりますし、長期間日本を離れることによるデメリットもあります。
何を目的として、留学を終えた後はどうしたいのか、明確なビジョンを持っておくことがおすすめです。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。

    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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