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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2019年11月28日
  • リハビリ病院の悩み

伝え方が重要!リハビリ専門職のためのプレゼンテクニック

医療系以外の企業に勤めている社員にとって、企画のプレゼンは重要な業務ですが、若手のリハビリ専門職では実施する機会が少ないのではないでしょうか。
中堅スタッフになると新事業の立案や予算獲得など、他部署の上司を相手に自身の意見を述べる必要がでてきます。
相手や場面によってアプローチ方法が異なるため、本記事では伝え方のコツをご紹介したいと思います。

伝え方が重要!リハビリ専門職のためのプレゼンテクニック

リハビリ専門職がプレゼン下手な理由とは?

リハビリ専門職がプレゼン下手な理由とは?

ここではまず、リハビリ専門職がプレゼン下手な理由について考えてみたいと思います。

リハビリ専門職は職人気質?頭で考えることが得意

臨床場面においては、病態や障害像を把握し、適切な評価の基に治療方法を考えていくことが求められます。
そのため、考えを内側で巡らせることには慣れてきますが、それを他人に対してうまく伝えることが苦手な方もいるでしょう。
また、患者さんに対して説明をする際は、医療職という立場から話をするため、患者さんには聞く耳を持ってもらえます。
しかし、自分の意見に興味を持っていない、または肯定的ではない方に対して話をする機会は少ないかもしれません。
他職種が集まるカンファレンスにおいて、専門用語を連発して見解を述べた結果、場の雰囲気が重くなったという経験はないでしょうか?
この場合、専門的な立場から述べる=プレゼン上手というわけではなく、ただの自己満足であることを忘れてはいけません
患者さんやご家族が「医療はよくわからない」、「聞いたら嫌な顔をされる」と考えていたとしたら、自分の意見は正しくてわかりやすいという思い込みは錯覚かもしれません。

勉強会や学会での発表はプレゼンの練習になるか?

リハビリ専門職が人前で話す場面といえば、部門での勉強会や学会での演題発表などが挙げられます。
発表経験を積んでいくとプレゼンスキルは高まりますが、これらの発表場面には1つの問題点があり、経験値としては不十分といえるでしょう。
その問題点とは、聞く側がある程度自分の話に賛同できる聴衆であるということです。
たとえば、勉強会の場合は参加スタッフが自分の身内であることが多く、学会でもそのセッションに興味があるから聴きに来た参加者がほとんどでしょう。
つまり、「人前で意見を述べる」というスキルは身につきますが、プレゼンに必要な「自分の意見をわかりやすく伝え、納得してもらう」というスキルを高めることは難しいでしょう
言うならば、アウェーな環境で自分のことをよく知らない相手に、相手がよくわからないことをうまく伝えて納得させる経験が必要となります。

「企画立案編」共有できる思想が大切

「企画立案編」共有できる思想が大切

プレゼンと一言で言っても、その対象や目的によって伝え方が異なります。
また、いかに素晴らしい内容でも、参加者に不快な気持ちをあたえないなど、配慮するべきポイントもあります。
ここでは、自分の企画を医療関係スタッフに伝える場合を考えてみます。

企画の背景や目的をしっかり伝えることが重要

プレゼン相手が医療関係者であれば、患者さん(または地域の住民)に対してプラスになることには賛同が得られやすいです。
しかし、自分がなぜその企画を立案しようと考えたのか、またその企画のゴール(なにが達成できれば成功なのか)をしっかり伝えることが重要です。
「考えはいいんだけど具体性がないよね」という意見や、「現実的に考えて厳しいんじゃない?」などツッコミがこないように、企画の詳細まで考えておきましょう。
押さえておきたいポイントは以下の内容になります。
◯企画の概要
◯企画の対象
◯必要な費用と人員
◯目的(なにを達成したいのか)
◯いつまでに誰がなにをするか

たとえば、市民講座を企画したい場合などは、実施することでどのようなメリットがあるかや、対象の年齢層を考慮した内容となっているかなども忘れてはいけません。
「医療に関する知識を知ってもらいたい」という漠然とした思いではなく、その後の集患につなげるためにはどうすればいいのかなどの案を練っておくことが重要です。

一人よがりのプレゼンはNG!参加者への配慮が大切

同じ志を持っているとはいえ、自身にメリットがないと動きたくないと考える人たちもいます。
あと、興味はあるけど時間外や休日を返上して行うことに反対する方もいるでしょう。
特に、初回のプレゼンから企画検討の段階まで入ってくると、それぞれが案を出し合っていくことが必要になります。
しかし、一堂に会するということは、相手の時間を拘留していることを忘れてはいけません。
職種が違う場合、仕事のゴールデンタイムも異なるため、ダラダラと長い話し合いをすることはNGです。
そのプレゼンでは、企画を紹介したいのか、企画を参加者で検討したいのか、会の目的をはっきりとさせておくことが重要です。
連絡や報告など伝えるだけで済むことであれば、事前にメールやSNSなどで周知することもよいでしょう。
タイムマネジメントは企画内容と並ぶくらい重要なポイントであり、いかに短い時間で要点を伝えるかを常に考えておくことが大切です。

「予算獲得編」思想よりも現実、客観的な数値で示す

「予算獲得編」思想よりも現実、客観的な数値で示す

医療関係者を対象としたプレゼンでは、企画の詳細やタイムマネジメントが重要であると述べましたが、事務職の方が対象の場合は少し異なります。

着眼点の違いを理解したプレゼンを心がけよう

たとえば、筋力トレーニング機器であるレッグプレスを購入する際、相手がリハビリ専門職であれば機器の必要性を以下のように伝えるでしょう。
◯座位で安全に行える
◯負荷量を調整できる
◯複合的な下肢運動である

しかし、相手が事務職の場合、「セラピストがすればいいんじゃないの?」「その機器はほかで代用できないの?」などの疑問がでるかもしれません。
また、「臨床的に◯◯」や「ガイドラインに準じて〜」などの理由には興味を示してもらえないかもしれません。
「臨床で培った知識で説明できない」と落ち込むほかのメディカルスタッフを対象にするプレゼンよりはハードルが高いともいえるでしょう。

そのため、有用性についてはほかの切り口で伝えていくことが重要であり、具体的には収支や業務効率化の観点になります。

思想だけではダメ!収益性を伝えることが大切

医療機器の購入理由を例に挙げると、医療関係者は「患者さんのADLが改善するから」や、「早期リハビリに必要な機器だから」と考えることが多いでしょう。
たしかに、われわれの視点は患者ファーストとでも言うべきでしょうか、医療者としての立場を全面に押し出した内容であり、職種間での意見の相違は少ないでしょう。
しかし、事務職の方に対してプレゼンを行う場合、それだけでは不十分です。
実際、「その費用はどれだけでペイ(償却)できるの?」、「ランニングコストはどのくらいかかるの?」など、現実的な話になることがあります。
「お金の話じゃない!」と憤慨するかもしれませんが、相手側は貴重な財源からお金を割り当てるわけですので、その点は理解しておきましょう。
たとえるなら、銀行で高らかな思想だけを掲げても融資が得られないのと同じでしょう。
予算を獲得したい場合、以下のような内容を伝えることが重要です。
◯使用頻度と単価(診療報酬など)
◯償却期間
◯その機器を使用するためのコスト(人件費やメンテナンス費用など)
◯年間の収益性
◯収益性以外の購入メリット

予算獲得においては、いかに相手が欲しい情報を押さえているかがプレゼンの肝と考えておきましょう。
それを押さえた上で、患者さんへのメリットや地域社会への貢献などの思想を組み込むと、相手側にも共感をしてもらえるでしょう。

プレゼンスキル上達への近道は経験を積むこと

医療職を相手としたプレゼンでは思想を伝えること、事務職が相手なら収益性を絡めることなど、相手や目的によって伝え方が異なります。
良質なプレゼン=凝ったスライドではなく、なるべくシンプルにまとめることや、相手が欲しい情報を含んでいるかを意識することが大切です。
しかし、「実際に人前で話すと緊張する」、「質問に答えられなかった」など失敗することも多いでしょう。
カンファレンスの司会やグループワークの発表者など、プレゼンが行われる場面を活用し、経験値を積んでいくことが上達への近道です。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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