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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年11月29日
  • リハビリ病院の悩み

学際的研究とは?研究の始め方や実施のポイントについて解説

研究者であれば知っておきたい「学際的研究」という言葉があります。
今回は、学際的研究とは何を指すのか、どのように始めるのかお伝えします。
また、実際に研究を進める上では何がポイントになるのか捉えていきましょう。

学際研究とは分野を超えた協業研究

学際的研究とは?

学際的研究とは?

かつての研究は、単一の分野だけで行われてきた経緯があり、医学、心理学、工学、社会学、哲学、生物学などの領域別に実施されてきました。
基礎研究であれば、そのようなスタイルで問題ありませんでしたが、何か課題を解決しようと思ったときには、領域を超えて知恵を集める必要があります。
たとえば、医療従事者の知識だけでは解決できない事柄でも、異なる分野の研究者の力を借りることで、うまく推進できることもあります。
「学際的研究」とは、学問の分野を超えて協力しながら研究を推し進めることです。
ちなみに、「国際」という言葉は日常生活においてもなじみが深いですが、これは複数の国に関係しているときに使います。
「学際」の場合は、国ではなく、学問が複数の分野にまたがっており、新しい価値を生み出すような視点といえます。

学際的研究の始め方

学際的研究の始め方

学際的研究をスタートさせるには、「何を行うか」だけでなく、「誰と研究を行うか」が重要となります。
なかなか身近なところでは、異分野の研究者と出会う機会もないものです。
そんなとき、どのようにして研究のパートナーを見つけるのか、いくつか選択肢をお伝えします。

●人のつて、人脈を頼る

研究を行う上では、人のつてや人脈も大切です。
「こんな研究をしたいのですが、この分野に精通した研究者はいないでしょうか?」といった具合に知人を当たると、研究者を紹介してもらえることもあります
若手研究者では、そういったネットワークが少ないですが、ベテランになると人脈も多くなります。
思い当たる人がいない場合、まずは身近な年長者に相談してみることも方法です。

●論文を見てコンタクトを取る

特定の分野やテーマに明るい研究者を探したい場合、論文を見て、著者にコンタクトを取ってみることもできます。
論文を見ることで、その研究者の能力もある程度は測ることができます。
人のつてでつながるわけではないため、相手がどのような考え方をする人かはわかりません。
従って、共に研究を行う仲間としての、相性の良し悪しはあるかもしれません。
いきなり学際的研究のオファーをするよりも、まずはお話を伺ったり、アドバイスをいただくというスタンスが無難です。

●異分野の研究会や学会に足を運ぶ

工学系の人が医療系の研究会や学会に足を運ぶと、現場のニーズを捉えやすくなります。
逆に、医療系の人が工学系のフィールドに足を運ぶと、「こんなことをお願いできるかもしれない」という着想が得られます。
そのように、ヒントを得られるだけでも価値は感じられるでしょう
そして、学際的研究を行うことによって、双方の実績にもなるため、ウィンウィンの関係が構築できるのならば、研究の良いパートナーが見つかる可能性もあります。

学際的研究を行うときのポイント

学際的研究を行うときのポイント

学際的研究では、専門が異なる人が集まって協働するため、特有の苦労もあります
どんなことがポイントとなるのか、お伝えしていきます。

●学問領域による着眼点の違いを理解する

研究者は自身の学問領域について深い知見を有していますが、専門外のことになると、何が課題なのか、何が求められるのかがわかりません。
たとえば、医学と工学で学際的研究を行う際、医療の人間は現場のニーズを踏まえて、「こんな機器やソフトウェアがほしい」と要求するとします。
しかし、工学分野の人は、「技術」に焦点を当てるため、実際にそれを使う現場のことは捉えきれません。
ある機器を開発していて、「手を動かしたら正確に測定できない」という状況になれば、技術者はそれを改善することだけを考えます。
しかし、医療分野の人からすれば、患者さんに一言「手を動かさないようにしてください」と教示を加えれば済むことだと気がつくでしょう。
学際的研究では、目指す方向が同じでも、着眼点がまったく異なる場合があるため、まずはそれを理解しておくことが大切です。

●鍵を握るのはプロジェクトリーダー

研究に割ける時間やエネルギーには限界があるため、プロジェクトの中心になる人が、どのようにコーディネートしていくかが重要となります。
研究の中で直面する課題に対して、ディスカッションを行い、双方の見解を把握した上で、適切な判断をすることが求められます。
時には、「ここはこの方法に置き換えよう」「この工程はここでやめよう」と、折り合いをつけていくことも必要です。
医学と工学の例でいうと、技術者が一生懸命に課題を解決しようとしていたところ、急にストップがかかると困惑してしまう可能性もあります。
従って、なぜその方向性に決めたのか、納得できるように丁寧に説明していく姿勢も欠かせません。

学際的研究で新しい価値を生み出そう

学際的研究では、さまざまな学問の立場から、新しい価値を創造することができます。
ただ、ある分野に特化したジャーナルでは、学際的研究に懐疑的である節もあり、若手はまず従来のスタイルで実績を築くことが無難と考える立場もあります。
学際的研究では、研究費を取得しやすいという側面もあるため、研究者としてのキャリアを広げていきたい人は計画してみると良いでしょう。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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