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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2019年12月23日
  • リハビリ病院の悩み

目指せ、腎臓リハビリテーション指導士!症例報告書の書き方をご紹介します

2020年2月に第2回腎臓リハビリテーション指導士(腎リハ指導士)の認定試験が行われます。
腎臓リハビリとは、慢性腎臓病(CKD)の方や透析治療を行っている方を対象に、ADLや生命予後を改善することが目的です。
今後の社会で必要とされる新たな資格ですが、実は認定試験の前に症例レポートの作成という第1の壁があります。
本記事では、対象患者さんの選定方法や、レポートの記載方法などについて解説します。

目指せ、腎臓リハビリテーション指導士!

腎リハ指導士の受験には10例の症例報告が必要

第2回の認定試験では、受験申請時に10例の症例報告書の提出が課せられています。
ここでは、対象患者さんの選定方法について述べたいと思います。

●リハビリ専門職は要注意!腎臓疾患は疾患別リハビリの対象ではない

リハビリ専門職は要注意!腎臓疾患は疾患別リハビリの対象ではない

リハビリ専門職の方はご存じですが、腎臓疾患は2019年の時点では疾患別リハビリテーションとして算定できません。
そのため、リハビリ専門職が症例報告を作成する場合、必ずほかの主病名があることになります。
臨床では、心不全や閉塞性動脈硬化症などの循環器疾患、糖尿病や下肢切断などの方にCKDを合併している方が多いのではないでしょうか?
これらの場合、心大血管リハビリや運動器リハビリで算定することが可能ですので、自分の治療経験を踏まえてレポートを書くことができます。
自身が担当した患者さんであれば、現病歴や治療経過を把握しやすいため、CKDを合併している方を対象にするとよいでしょう。
また、運動器や脳血管疾患の場合でも、透析治療を導入されている方は多いと思いますので、担当した場合はしっかりと経過を見ておきましょう。
つまり、リハビリ専門職が報告書を作成する際は、リハビリを実施している患者さんで、かつCKDを合併しているか透析治療を行っている患者さんが対象になります。

●腎臓病があり、かつ多職種が関わっていることが条件

前述したとおり、腎疾患を合併している方が報告対象になりますが、単に腎臓が悪い患者さんの経過報告をすればいいわけではありません。
この症例報告書の肝は、腎臓病患者さんに多職種で包括的なアプローチができているかになります。
そのため、単に「リハビリでADLが上がりました」、「透析患者さんのリスクを管理してリハビリを実施しました」という内容ではNGです。
医師、看護師、薬剤師、リハビリ専門職、管理栄養士など腎臓リハビリに関わる職種は多く、チームアプローチの内容を記載しなければいけません。

●詳細な経過を書くのは2症例のみ

詳細な経過を書くのは2症例のみ

「10例も無理だ」と思っている方に朗報ですが、実は10症例分の報告書の中で、細かい経過を書くのは2症例のみになります(2019年12月現在)。
疾患名や診療科など基本的な情報のみの報告書を10症例分作成し、その中から2症例取り上げて詳細に説明する必要があります。
心臓リハビリテーション指導士の場合、詳細な経過を10症例分作成しなければならないため、それにくらべるとまだ易しいといえるでしょう。

指定のフォームに沿って書くだけなのに、なぜ難しいのか?

指定のフォームに沿って書くだけなのに、なぜ難しいのか?

症例報告書のフォームは、腎臓リハビリテーション学会のホームページからダウンロードする必要があり、記入項目などはあらかじめ決まっています。
しかし、なぜ作成が難しいと感じるのか、その理由を2つのケースを例に挙げて考えてみます。

●運動処方の書き方がわからない

運動療法を専門とするリハビリ専門職でも、運動強度の決定に関しては記載に困るのではないでしょうか。
運動処方といえば、心肺運動負荷試験(CPX)の結果に基づいた処方が代表例として挙げられます。
しかし、心臓リハビリを実施している施設ならともかく、専用機器がなく実施したこともない受験者さんは多いでしょう。
その場合、よく用いられるのは6分間歩行やTUGなど歩行をベースにした評価ですが、ADLが低下している患者さんでは実施が困難です。
CPXや6分間歩行の評価ができないため、医学的根拠に基づいた運動処方ができないと悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、必ずしも何かの負荷試験をしなければならないというわけではありません
「◯◯の理由で運動強度を◯◯に設定した」、「◯◯のようなリスク管理をしてリハビリを実施した」など、医学的な理由をもとに記載されていることが重要です。

●考察に何を書いていいかわからない

レポートにおける考察といえば、病態について、生活背景について、機能障害についてなど記載する情報量が多いイメージがあるでしょう。
腎リハ指導士の症例報告書において枚数の規定はありませんが、A4サイズで1〜1枚半程度が妥当なラインであると思われます。
基本情報や評価項目などの記載を考えると、考察に割ける文量は5行程度と考えるとよいでしょう。
そのため、考察では全体像と治療経過、特に注意した点と今後の課題など、最低限のポイントを押さえて記載する必要があります。
その考察を読むだけで、リハビリ介入内容が理解できるように心がけるといいと思います。

症例報告書を書くときに押さえておきたいポイントとは

前述したように、フォームが決まっていても運動処方や考察の書き方がわからないと悩むセラピストもいるでしょう。
ここでは、どういう内容を記載すればいいか、どんな内容が求められているかについて、筆者の経験をもとに解説したいと思います。

●「運動耐容能」と「運動処方」の書き方

◯運動耐容能
心臓リハビリに携わっていない方にとって、運動耐容能とはあまり聞き慣れないワードかもしれません。
運動耐容能とは、簡単にいえば「体力」や「許容できる運動強度」などの意味だと理解していいでしょう。
CPXでは最高酸素摂取量で表すことができ、6分間歩行やTUGなどでは距離や時間にBorgスケールを加えて表すのが一般的です。
しかし、歩行能力が低下している患者さんや、治療上の安静度によってそれらの評価ができないケースもあります。
その場合、「ポータブルトイレに移乗した際に呼吸苦が出現する」や、「ベッドアップで血圧が低下するため評価が困難」など、運動に対する反応として記載するのがよいでしょう。

◯運動処方
運動処方とは、必ずしも運動強度だけを指すものではなく、強度、時間、頻度、期間、種類を総称して運動処方と呼びます
運動処方において重要な点は、「何を理由に運動の強度(または種類)を決定したか」という点です。
CPXの場合、AT時の心拍数を求めることができるので、安全な運動強度を設定することが可能です。
6分間歩行の場合、結果を10倍にして時速に換算し、トレッドミルで設定速度を決めることができます。
機能障害などが理由でこれらの評価ができない場合、心拍数やBorgスケールなどの評価法や、呼吸や循環動態などフィジカルアセスメントに基づいて決定するとよいでしょう。
記載例として、「透析後は血圧が低下するため、週2回の非透析日に20分程度の運動を実施した」や、「収縮期血圧が80mmHg以上の状態で、かつBorg 13以下の強度とした」などが挙げられます。

●「その他の注意するべき点」では栄養、薬、リスクを記載しよう

「その他の注意点」については、栄養指導や内服薬について記載することが望ましいです。
栄養指導に関しては、「塩分◯g以下」や「◯kcalまで」と一般的な制限を書くのではなく、「誰が何をどう指導したか」を記載するよう心がけましょう。
たとえば、「自宅での内服管理に不安があるため、薬剤師がお薬ポケットの購入について家族に提案した」や、「管理栄養士が面談を行い、退院後の献立について検討した」などが挙げられます。
重要なポイントは、その患者さんの病態や生活習慣を理解して指導ができているか、二次予防にむけたチームアプローチができているかという点です。
ほかには、使用している薬剤や循環動態の変化などを書いてもよいですし、その方の合併症の管理について記載してもよいでしょう。

症例報告書を書くために必要なのは「評価」できる能力

症例報告書を書くために必要なのは「評価」できる能力

腎リハ指導士における症例報告書では、さまざまな立場(職種)の観点から書く必要があります。
リハビリ専門職以外では運動処方や運動耐容能について、リハビリ専門職では薬剤や栄養についてなど、専門分野以外の記載に悩むことでしょう。
腎臓チームを担う他職種に聞いてみるのもよし、自身で勉強を進めるのもよし、自分に合った方法を探すことが大切です。
しかし、一番重要なポイントは、患者さんの病態やリスク、適切なリハビリについての評価ができているかです。
報告書作成に自信のない方は、内部障害の勉強やフィジカルアセスメントの練習など、自身の評価スキルをアップすることから始めてみてはいかがでしょうか。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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