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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年12月27日
  • リハビリ病院の悩み

パーキンソン病のすくみ足対策って?リハビリですぐに役立つ方法をご紹介

パーキンソン病の患者さんでは、姿勢保持や運動に関してさまざまな症状が見受けられますが、その中でもしばしば出現するのが「すくみ足」です。
今回は、リハビリに携わる人が知っておきたいすくみ足対策の必要性、具体的な方法についてお伝えしていきます。
臨床でパーキンソン病の患者さんを担当する機会のある理学療法士、作業療法士はぜひ理解を深めておきましょう。

パーキンソン病の具体的なリハビリ

パーキンソン病のすくみ足に対策する必要性

パーキンソン病の患者さんでは、姿勢保持の障害、加速歩行などが認められるため、転倒のリスクがある状態となります。
そして、すくみ足があることによっても、上半身から前に向かって突っ込むような形になり、転倒の可能性は高まります。
パーキンソン病の方では、前方に転倒するケースが多いですが、場合によっては、後方に尻もちをつくようにして転倒するケースも存在します。
また、パーキンソン病の患者さんには「on-off」があり、薬が効いている時間は「on」、効いていない時間は「off」となります。
次に服薬するまで薬の効果がみられなくなるwearing offもあり、そのときにもすくみ足が出現することが増えます。
もともと転倒のリスクがあり、さらにon-off現象やwearing offによってすくみ足の出現が増えると、転倒による骨折の危険性は高くなります
そもそも歩行や方向転換という日常生活でも重要な運動が障害されていることもありますが、転倒につながる要因をひとつでも減らすという観点でも、すくみ足への対応は不可欠といえます。

パーキンソン病のすくみ足対策としてできること

パーキンソン病のすくみ足対策

すくみ足では、「逆説的歩行」や「逆説性歩行」と呼ばれる反応が認められます。
たとえば、平らな道では一歩が踏み出せずにすくんでしまうのに、階段であればすんなり上ることができるなどです。
視覚や聴覚による手掛かりがあれば、すくみ足を解消できることがあるため、これらのフィードバックを対策に役立てる機会も少なくありません。

1.視覚刺激

  • ●床にビニールテープを貼って用意した横線をまたぐ
  • ●床のタイルの線をまたぐ
  • ●床に足跡の印をつける
  • ●床に棒を横向きに置く(※転ばないように注意)

2.聴覚刺激

  • ●イチ、ニ、イチ、ニとリズムよく声をかける
  • ●メトロノームの音に合わせて歩く
  • ●手拍子に合わせて歩く

このように、視覚・聴覚刺激を活用して対策することによって、すくみ足を解消しながら、歩行訓練が実施可能となります。
リハビリでは、セラピストが「イチ、ニ、イチ、ニ」と声かけして訓練できますが、実際にはご自身で心の中でリズムを取ってもらわなければならないシーンもあります
心の中で号令を唱えつつ、その場で足踏みを行い、そこから前に進むようにしてもらうことも方法です。
また、姿勢保持障害がある場合には、セラピストが前から患者さんの手を引いたり、歩行器を使用したりすることもあります。
そして、これらの視覚的・聴覚的フィードバックの有効性には個人差があるため、一概にうまく作用するとは限りません。
加えて、無動などの症状が強まり、そもそも歩行という運動が困難になった場合には、これらの外的刺激を活用しても訓練が難しいことはあります。
患者さんの状態に合わせて、廃用の予防や機能向上など目標を決めながら、有効な外的刺激を探してすくみ足に対策していきましょう。

まだある!すくみ足が認められる患者さんへの対応

すくみ足がある患者さんには、視覚・聴覚刺激を活用すること以外に、次のような観点で対応することができます。
基本的な姿勢や歩き方、精神的な面まで含めて、少しでもすくみ足の出現が減るようにアプローチしていきましょう。

●まずは気持ちを落ち着ける

すくみ足は、精神的に慌てていると、より出現しやすくなる傾向があります。
パーキンソン病ではない方でも、慌てていると思った通りの動きができなくなることがあるかもしれません。
たとえば、急に電話が鳴ったときなどには、焦りからすくみが強まる可能性もあるのです。
慌てるとすくみが強くなることを患者さんと共有してみてください。
「急がば回れ」の精神を持ち、落ち着いて行動できるように促していきます。

●前傾姿勢を直す

パーキンソン病の患者さんでは、多くの場合、前傾姿勢となっています。
前かがみの姿勢をなくし、顎を引き、できるだけ背筋を伸ばすようにお伝えしてみましょう。

●歩き方を大きく

パーキンソン病の方の場合、全体的に運動・動作が小さくなりやすいです。
たとえば、小刻み歩行などもわかりやすいですが、歩行時にも動きは小さくなってしまいがちです。
腕を大きく振って、大腿を高く上げるような意識を持つように指導してみてください。

●方向転換時には工夫を

進む向きを変えるなど、方向転換の際には、まず先に顔を進みたいほうに向けるなどの対策をしてみましょう。
また、手すりなどにつかまりながらゆっくりと体の向きを変えることを習慣化するのも、ぜひ試してみてください。

パーキンソン病の方が安心・安全に歩行できるよう支援!

パーキンソン病の方では、すくみ足のように特徴的な反応が見受けられます。
それによって転倒のリスクが高まる側面もあり、骨折や寝たきりを引き起こさないよう、リハビリでもできる対策をしていく必要があります。
必要があれば杖や歩行器、シルバーカー、保護帽を使うなど、安心・安全に暮らせるように支援していきましょう。
なお、パーキンソン病の患者さんですくみ足が生じやすいシチュエーションについては、こちらの記事(パーキンソン病のすくみ足はどんなときに現れる?パターンやwearing offとの関係は?)でも解説しています。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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