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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2020年02月26日
  • リハビリ病院の悩み

作業療法士が一般企業で働く道もある?転職前に知っておきたいポイントについて解説

現在作業療法士の仕事をしている、あるいは、現場からは離れているけれど作業療法士の資格を持つ人が、転職をして一般企業で働くことはできるのでしょうか。
苦労して取得した資格なので、臨床を離れ、あえて一般企業で働くメリットやデメリットについてお伝えしていきます。
今後のキャリアを考えるうえで参考にしてみてください。

作業療法士 一般企業に転職すべきか、医療業界で継続すべきか

作業療法士が仕事を辞めようと考える理由

作業療法士が仕事を辞めようと考える理由

作業療法士の資格を持っていれば、それを生かして定年まで働くことができるとお考えの方も多いでしょう。
しかし、何らかの理由で転職を考え、一般企業で働く選択をする人もいますし、実際に筆者もそのような選択について考えた経験があります。
なぜ作業療法士が一般企業で働く道を視野に入れるのか、その理由について考えていきます。

●体力的にハード

リハビリの仕事では、ある程度体力を使います。
身体障害のある方に対するリハビリでは、起居動作やADLなどの訓練で体を動かします。
高齢者施設ではレクなども行うため、準備や実施の過程においてある程度の体力は必要となります。
発達障害領域では遊びを通して子供と関わるため、一緒にトランポリンを飛んだり、スクーターボードに乗ったり、運動量としては大きくなりやすいです。
また、精神障害領域では、机上で行う活動も多いですが、患者さんが高齢であれば身体機能にアプローチが必要となるケースもあります。
机上で行う評価や検査もありますが、やはり一日の業務で必要な運動量はそれなりになりますし、年齢とともにハードに感じられる方はいます
そのときは仕事をこなせていても、「定年まで続けられる自信がない」という人も珍しくありません。

●残業が多い

定時だと午後5時半〜6時には業務を終了できるところ、それまでリハビリのスケジュールが詰まっていて、終業後にカルテの記入を始める人もいます
そこから一日分のカルテ、あるいは午後のリハビリのカルテを書くとなれば、帰宅する時間は遅くなります。
翌日にカンファレンスがあったり、退院する患者さんがいたりすると、書類業務はさらに増えてしまいます
それではプライベートにも影響が出るうえに、残業代さえ支払われない環境もあるため、その点に不満を抱く方もいます。
もちろん職場や領域にもよりますが、ある程度の残業については覚悟しなければならない業種といえるでしょう。

●勉強会・症例発表・学会などが負担

作業療法士として働く上では、経験年数にかかわらず「学ぶ姿勢」が求められます。
そのときによって最新のトピックとなることは異なりますし、症例から学ぶべきことはたくさんあります。
終業後、勉強会に参加したり、症例発表や学会発表の準備をしたりすることが負担に感じられる人もいます。
業務時間外であっても書籍や論文などを読む必要があるため、この作業が苦痛になる場合もあるのです。

●精神的に疲れてしまう

患者さんとの関わりの中で、精神的に疲れてしまうこともあるでしょう。
前頭葉の障害があれば易怒性を示したり、感情を抑えられなくなったりする患者さんもいます。
そして、精神障害、認知症がある場合には、患者さんの話を傾聴し、関わり方には特に配慮が必要となります。
小児分野では保護者から、それ以外の分野ではご家族から苦情がくる場合もあり、そんなときも気持ち的にはダメージとなるでしょう。
基本的に人と関わることが好きであっても、患者さんへの対応で精神的に負担となってしまい、作業療法士を続けられないと判断する人もいます。

●人間関係に関するストレスがある

職場によっても雰囲気は異なりますが、病院や施設によっては人間関係がギスギスしていることもあります。
作業療法士の世界に限らず、どの業界でも起こり得ることではありますが、医療業界では「経験年数」による上下関係も色濃いです。
そうした関係からパワハラのようなことが起きるケースもありますし、一度見たり経験したりした人にとっては、不安の種になります。

●専門性を見失ってしまう

「作業療法士とは何か」と聞かれて、自信を持って答えることができない方もいるのではないでしょうか。
実際、あるデイサービスでは「マッサージしかしていない」、ある整形外科では「理学療法士と業務の違いがない」という作業療法士もいるほどです。
本来は患者さんの「生活」にアプローチする専門家ですが、病院や施設の方針で明確に区別されていないこともあるのです
専門性を見失ってしまうことからモチベーションが低下し、作業療法の仕事を辞めようと考える方もいるでしょう。

作業療法士が一般企業に転職するメリットとデメリット

作業療法士が一般企業に転職するメリットとデメリット

作業療法士の仕事を辞め、一般企業で働くという選択をする人もいます。
一般企業の求人を見てみると「前職はアパレル、医療職、コールセンターなど」といった文言が書かれていることがあります。
医療職から一般企業に転職する人が一定数いることがわかりますが、医療機関に勤務する場合とは違うメリット、デメリットがあります。

●メリット

作業療法士であればある程度業務は決まってきますが、対象を「一般企業」とすれば選択肢が大きく広がる利点はあります。
そして、昨今は人手不足に悩む企業も多いことから、キャリアチェンジをした人でも歓迎してくれる風潮はあります。
「定時退社」「土日祝休み」「10時始業」など、さまざまな条件の求人があるので、給与にこだわりがなければ、ワークライフバランスを保ちやすい職場も見つかるでしょう
たとえば、事務職のように、比較的体力が求められず、繰り返しの多い仕事を選ぶこともできますし、自分に合った働き方を模索できる利点はあります。

●デメリット

作業療法士を辞めた後、一般企業で働く場合には、一般ビジネスの経験がない状態で入社することになります。
医療現場では、名刺交換の仕方、敬語の使い方、メールの返信の仕方、営業や接待のやり方などを教わることはほぼないため、最初のうちは大変かもしれません。
そして、売上やノルマに関して考えることはなく過ごしてきた方も、そうした数字に追われる可能性があります
また、病院では賞与が年2回あり、住宅手当や資格手当などの各種手当が出ることが多いですが、中小企業ではそうとも限りません。
業績によっては賞与が出ないケースも存在しますし、手当や固定残業代を含めた給与で提示されることも珍しくないのです。
特別なスキルや経験がなくてもできる仕事となれば、年収に関しても低い水準となります。
加えて、医療機関でも残業は多いですが、それ以上に残業しなければならない可能性もありますし、有給休暇が取りにくい職場もあります。

作業療法士として仕事を続ける利点

作業療法士として仕事を続ける利点

作業療法士としての仕事に何らかの不満があったとしても、キャリアを継続することによって得られるメリットもあります。

  • ●長く勤めれば昇給、退職金が期待できる
  • ●人工知能やコンピューターに代替されにくいので将来性がある
  • ●苦労して取得した資格を生かして働ける
  • ●これまで習得したスキルや経験を継続して生かせる
  • ●キャリアに一貫性を持たせることができる

長くできる仕事がしたいとお考えの方にとっては、機械に取って代わられにくい職業であることは大きなメリットに感じられるでしょう。
事実、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏が発表した論文「雇用の未来」の中で、作業療法士の仕事は10年後もなくなりにくいことが示されています。
人間を相手にする仕事、コンピュータ化しにくい仕事、人がやるからこそ意義がある仕事などが選出されています。
これから10年、20年と仕事を続けていく予定があれば、そのような視点でも作業療法士という仕事を選択することができます。

自分に合ったキャリアプランを考えてみよう!

作業療法士としての仕事を継続する上で、負担になる部分もあれば、逆にメリットになる部分もあるでしょう。
作業療法士の資格を持っていても、病院や施設で働くことに固執せず、一般企業で働く道を探ることも可能です
しかし、一般企業では給与に固定残業代が含まれていたり、ノルマが課せられたりする場合もあるため、その点はよく確認しながら転職活動を進める必要があります。
いろいろな選択肢がありますが、自分にぴったりのキャリアプランを考えてみてください。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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