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「アメリカでPTとして働きたい!」 米国在住の筆者がライセンス取得条件・驚きの給与相場を教えます

自分のキャリアを生かして「アメリカでPT(理学療法士)の仕事をしたい!」と思われている方へ。
PTである筆者は渡米を機に、現地の病院で働く方法を調べたことがあります。
今回は、アメリカの気になるPTの給与も含め、その結果をお伝えしていきます。

アメリカでPT(理学療法士)になるには博士課程の修了が必要!日米教育システムの違い

今の職場を辞め、日本から数年離れてしまうと、PTとしてのキャリアが断たれブランクができてしまうのはつらいものです。
しかし、アメリカに渡ったあとでもPTとして働き続けることができれば、ブランクは生じませんし、むしろそれが強みにもなることでしょう。
「アメリカでPTとして働きたい」という方は、どうすればアメリカで理学療法士免許を得ることができるのでしょうか。
まずお伝えしたいのが、日本とアメリカではPTの教育システムに違いがあるということです。
以下では、その違いについてご紹介していきます。

1)アメリカの高校を卒業後、大学院の博士課程を修了することが必要!

アメリカでPTになるためには、大学を卒業後3年間の理学療法士養成大学院に入学・卒業する必要があります。
以前は修士課程であるMaster of Physical Therapyのプログラムもありましたが、現在はすべて博士課程に移行しており、修士課程のプログラムは学生を受け入れていません。
ほかの選択肢として、特定の大学で一般教養の大学(undergraduate)と博士課程のDoctor of Physical Therapy(以下DPT)の3+3年のプログラムを有するところもあります。
大学の学費は、APTAによりますと公立大学で年間平均14427ドル(州外からだと29157ドル)、私立大学の年間平均は31716ドルと高額です※。
※日本円に換算14427ドル=約157万円、29157ドル=約317万円、31716ドル=約345万円

2)海外の理学療法養成プログラムを経てアメリカの理学療法士免許を手に入れるには?

まずはアメリカの理学療法士の国家試験であるNPTE(National Physical Therapy Exam)の試験を受け、合格する必要があります。
そのためには日本で履修した科目を英訳して、FCCPT(Foreign Credentialing commission on Physical Therapy )などの第3機関で認めてもらう必要があります。
ここで問題となるのは、アメリカとくらべると日本の臨床実習時間は短く、また足りない履修科目もあるため補う必要があるということです。
英語力はもちろん必要で、FCCPTが示すTOEFL(Test Of English as a Foreign Language)でのテストスコア(リーディング・リスニング・ライティング)で63点以上、スピーキングで26点以上としています。
つまり、日本で3年制や4年制の専門学校を卒業して理学療法士免許を取られた方は、上述した1)のようなステップを経る必要があるといえます。
もしも、将来アメリカでPTになりたいとお考えの方は、初めから4年制大学の理学療法養成校を選択されることをお勧めします。

3)PTAとはどんな職業?PTとの違いと取得条件

アメリカでは、医療システムやそれに付随する教育システムが異なることにより、日本には存在しないPTA( Physical Therapy Assistant)という資格が存在します。
このPTAはPTの指示のもとに理学療法を行うことができる職種で、2年制の短大などにも養成校があり、免許取得にかかる時間や費用が少ない割には給与も高く、アメリカでも人気の職業となっています。
しかし、PTAとして働くにはビザの問題があり、アメリカに合法的に滞在できる方(グリーンカードなど)以外は長期間の就労が難しいという欠点があります。
アメリカ以外での理学療法養成校を卒業したあとにPTAの免許を取るためには、PTと同じくNPTEの試験を受ける必要があり、同じように自分の成績を第3機関に証明してもらう必要もあります。
英語の成績に関してもPT免許取得と同等のものが必要です。

アメリカのPTは開業できるって本当?日米の医療システムの違い

日本とアメリカでは、教育制度だけではなく医療システムそのものも異なります。
アメリカでは日本以上に医療機関ごとの役割分担が明確で、急性期を過ぎるとすぐにリハビリ病院などへ転院するか、外来通院に切り替えて理学療法が継続されます。
また、日本のPTと大きく異なる点として、アメリカのPTは医師と同じように開業、理学療法処方が行えます。

1)アメリカのPTは開業できる!街で見かけるPTのクリニック!

アメリカでのPTの仕事場は一般的な急性期病院、回復期リハビリ病院、ホスピスやナーシングホームと呼ばれる老人ホーム、ホームヘルスと呼ばれる訪問介護のようなものなど、おおよそ日本と同じような職場が多いです。
しかし日本と大きく異なるのは、プライベートプラクティスと呼ばれる、整形外科疾患や中枢神経疾患を対象としたクリニックを開業できることです。
アメリカでは、街角やモールの一角に“○○ Physical Therapy”という看板をよく見かけます。

2)小学校にリハビリ室?アメリカのPTの活躍するフィールドは多種多様!

先ほどお話ししたプライベートプラクティスのほかにも、アメリカのPTならではの職場が小学校や幼稚園のリハビリ室です。
アメリカの公立小学校のなかには、“Head Start”とよばれる特別支援学級を持つ学校があり、理学療法室や作業療法室が開設されています。

アメリカのPTの給与を時給にすると?平均年収は?

日本よりも教育に費やす時間が長く専門性の高いアメリカのPTですが、得られる収入も異なるのでしょうか。
日本で見かける理学療法士の求人は平均年収が300?350万前後が一般的ですが、アメリカではどうなのでしょうか?

1)調べてみました!アメリカのPTの平均年収は?

アメリカでは20万4000人以上のPT有資格者が存在し、その平均年収は8万5千ドル(日本円で1000万弱)です。
もちろん学歴(DPTかどうかなど)、キャリア、経験年数、勤務している場所(大都市かなど)によっても大きく異なります。
時給にすると平均35ドルから40ドル(3818円~4364円※)前後となっており、日本のPTの平均給与とは大きく異なります。

2)調べてみました!パート2:PTAの平均年収は?

アメリカでは12万8700人以上の有資格PTAが存在し、その平均年収は4万5290ドル(日本円で500万強)といわれています。
PTの給与と同じく、キャリア、経験年数、勤務している場所(大都市かなど)によって異なりますが、時給にすると平均21.77ドル(237,508円※)となります。

まとめ

今回は、筆者の実体験やリサーチの結果なども含めてお話ししてきました。
実際にアメリカでPTになるのは多大な時間と労力が必要ですが、その先には経済的な安定が望めるというのが、日本のPTとの大きな違いといえるでしょう。
物価の差もありますが、それでもPTの専門性は日本よりも高く評価され、それに見合った報酬が期待できるのです。

※日本円換算は2018年1月25日現在のもの

参考:
APTA(2018年1月16日引用)
APTA foreign education for U.S . citizen(2018年1月16日引用)
TOEFL Requirements(2018年1月16日引用)
Working in the US(2018年1月16日引用)
About Physical Therapy Careers(2018年1月16日引用)
日本理学療法士協会、求人募集(2018年1月16日引用)
APTA PT careers(2018年1月16日引用)
payscale.com(2018年1月16日引用)

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