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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2020年03月30日
  • リハビリ病院の悩み

臨床実習のバイザー必見!臨床実習指導者講習会を経て、見えてきた課題とは

リハビリ専門職の臨床実習を巡っては、指導者のハラスメントや実習指導の在り方などについて言及されています。
また、令和2年の入学生以降の実習においては、実習生を担当する指導者の要件が変更となるため、各スタッフがその要件を満たしておく必要があります。
上記要件の1つに臨床実習指導者講習会への参加が挙げられますが、筆者の参加経験を基に、臨床実習に関する今後の課題についてまとめたいと思います。

指導者は臨床実習指導者講習会への参加を

臨床実習指導者講習会は結構ハード?その概要をご紹介します

臨床実習指導者講習会は結構ハード?その概要をご紹介します

まずは、臨床実習指導者講習会について、その内容や特徴についてご紹介します。
また、意外と知られていない適用年度についても確認しておきます。

●指導者要件の変更は、令和2年の入学生以降に適用される

「今後は講習会を修了しないと実習指導ができない」と周知されていますが、具体的には令和2年の入学生以降の実習が対象になります。
つまり、令和3年4月以降の評価実習と臨床実習において指導(ケースバイザー含む)ができなくなります
現在、複数の養成校から実習受け入れをされている施設であれば、実習担当者は全員受講しておく必要があります。
しかし、応募人数が多い関係上、1つの講習会に同施設から2名以上の参加が不可となることもあるため、できるだけ早く受講しておくことをおすすめします
各都道府県において、都道府県士会と養成校が協力して開催していることが多いため、士会のホームページなどで予定を確認するとよいでしょう。

●意外とハードな講習会、修了証を受け取るためには16時間の受講が必要

臨床実習指導者講習会は、その講習内容や講習時間は全国共通であり、16時間もの講習を終える必要があります
そのため、開催日は土曜日曜の2日間としているケースが多く、2日連続で8時間の講習が続くため大変です。
また、時間的な余裕もなく、昼食休憩以外はほぼ休みなしで進行するため、体力的につらいと感じる方も多いでしょう。
しかし、近年問題視されているハラスメント関連の事例検討や、各協会や国の動向などについて知ることができるため、非常に有意義な時間です。

●1つのテーマについての講義、演習の流れで進んでいく

基本的な流れとして、たとえばテーマが「ハラスメント」の場合、90分の講義の後に90分のグループワークという流れになります。
グループワークでは、ハラスメントの事例検討を各チームで実施し、検討内容のまとめや発表などが行われます。
かなりのハードスケジュールになりますが、1つひとつのテーマが現状の課題に即したものとなっているため、自分自身に置き換えて考えることができます。

実習生が学ぶべきものは?今後は3つの水準を基に指導する

実習生が学ぶべきものは?今後は3つの水準を基に指導する

指導や見学内容は、受け入れ施設や指導者の経験などによっても異なります。
今後は指導内容を統一化することが大切であり、実習生に経験させる項目も見直していく必要があります。

●指導者の経験論から安全性に配慮した水準づくりへ

関節可動域測定や筋力評価などの基本手技に関しては、養成校での実技練習などである程度は習得しています。
しかし、学生同士の場合と、手術直後の患者さんや、併存症が多くリスクの高い患者さんを評価する場合とでは大きく異なります。
そのため、どのような患者さんなら評価と治療を安全に行えるかを判断しなければなりません。
厚生労働省では、理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善委員会が開催されており、実施できる項目やその安全性が検討されています
従来のように、指導者の主観や経験論で評価と治療を行うのではなく、安全性が担保された行為を監視下で行えることが重視されています。
また、同じ疾患によっても病期の違いによってリスクが異なるため、その点も考慮して指導していく必要があります。

●実習生が学ぶべき3つの水準について

前述したカリキュラム検討委員会では、実習生が実践する評価や治療の水準が設けられており、それらは3つに分かれています。

水準1 指導者の監視下で行うことができる行為

水準1の評価では、関節可動域測定、バランス検査、基本動作分析など、比較的安全でリスクの少ない行為が該当します。
治療においては、上記の評価項目に加え、筋力トレーニングや持久力運動、ホットパックやバイオフィードバック療法など物理療法などが該当します。
これらの行為は、患者さんに対して直接的な侵襲が少なく、養成校でも必ず学ぶ内容であるため、指導者側としてもわかりやすいのではないでしょうか。

水準2 指導者の補助として行うことが望ましい行為

水準2の評価項目としては、水準1の行為にリスクが伴う場合とされており、手術直後や発症早期など急性期の患者さんが該当します
治療に関しては、評価と同様にリスクが伴う水準1の行為に加え、排痰介助や発達促通手技などが挙げられています。
また、電気刺激療法や超音波療法などの物理療法も水準2に該当するため、「ちょっと代わりに超音波当てといて」という指示はNGになります。
水準2は、生体に対して侵襲的な刺激が加わること、事故が起こった場合重篤な合併症を呈する可能性があるものと理解しておくとよいでしょう。

水準3 見学にとどめておくことが望ましい行為

水準3の評価では、障害像や予後の説明や心理検査などの項目が挙げられており、治療としては吸引法や生活指導などの項目が挙げられます。
また、がんの疼痛に対する物理療法や痰の吸引などの行為も含まれているため、これらは基本的に学生に実施させるべきではない(安全性が担保されない)とされています。

ほかの施設に出遅れるな!新臨床実習プログラムの作成をしよう

ほかの施設に出遅れるな!新臨床実習プログラムの作成をしよう

ここでは、各施設において臨床実習プログラムの見直しをするべき理由と、その具体例についてご紹介します。

●患者担当性から診療参加型実習への変遷

従来の患者担当型実習では、担当患者さんを評価して治療プログラムを実施する、経過をレポートにまとめるという流れで進行していました。
しかし、ほかの時間が見学時間になること、レポート作成が第一になり課題量も多くなることなどが問題となっていました。
近年、クリニカルクラークシップというワードを耳にした方も多いと思いますが、診療チームの一員として臨床に参加するという形態が増えてきています。
簡単にいえば、指導者の補助として評価や治療を経験し、チーム医療や他職種との交流などにより臨床的な側面を学ぶ体系を指します。
誤解してはいけないのは、患者を担当しない、レポートを作成しない実習体系ではないことです。
しかし、旧来の実習に慣れた指導者(ベテラン勢)が多い施設ほど、この実習形態を導入するのが難しいと感じることが多いでしょう。
前述した委員会の調査によると、受け入れ施設が導入していると回答している反面、患者担当性の形態であったと答えている学生が多く、双方での乖離が生じているようです。

●実習生や指導者による差が生まれないようなプログラムづくり

診療参加型の実習形態、各水準に応じた評価や治療経験ができるような臨床実習が理想的ですが、やはり施設によって人員や診療内容の差がでてきます。
そのため、自分たちの施設に合った臨床実習プログラムを作成することが重要になります。
総合病院の場合では、実習初期に運動器疾患、中盤で脳血管疾患、終盤で内部障害疾患など、ある程度カリキュラムを決めておくこともよいでしょう。
また、指導者が病棟専従セラピストや専門診療チーム(疾患別)として臨床業務を行っている場合、実習生は1つの分野を狭く深く学ぶことになります。
専門性の高い体験は素晴らしいことですが、網羅的に学習を進めようとした場合は少し厳しいかもしれません。
例として、疾患別(病棟別)の指導者を1人〜2人決めておき、期間限定で実習生の指導に当たるというスタイルでもいいでしょう。
その際にも、評価、考察、プログラム立案と旧来のスタイルで学習を進めるのではなく、現場での体験を通じて成長できるように進めていくことが大切です。

今後、実習生からの評価が高い施設が生き残る?

臨床実習指導者講習会は、連続2日間の過酷なスケジュールですが、ほかの施設の取り組みをはじめ、協会の動向などを知ることができるため非常に有用です。
また、今後は修了者しか指導者として登録できないため、いずれはほとんどの中堅スタッフが参加すると思います。
国や専門職協会がカリキュラムの変更に着手するなか、1番変化に乏しいのは実習受け入れ施設です。
今後、少子高齢化が進んでくるなか、各医療施設はいかに若く優秀なスタッフを雇うことができるかが重要です。
ほかの施設との差別化を図るため、また指導の分担化で指導者側の業務量を軽減するためにも、今後の臨床実習プログラムを見直してみてはいかがでしょうか。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。

    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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