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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2020年03月30日
  • リハビリ病院の悩み

精神科デイケアとは?内容・目的・役割や定番のプログラムについて解説

精神科デイケアでは、精神障害のある方が通い、さまざまなプログラムに参加しながら時間を過ごします。
作業療法士や看護師として仕事をしていて、精神科デイケアという場に興味をお持ちの方も少なくないでしょう。
今回は、精神科デイケアの内容、目的や役割、具体的なプログラム例についてご紹介します。

精神科デイケア

精神科デイケアとは

精神科デイケアは、患者さんが通ってさまざまな活動を行う場です。
精神科デイケアの特徴、目的と役割について把握していきましょう。

●精神科デイケアとは

精神科デイケアとは

精神科デイケアは、精神障害のある方が社会生活機能を回復させるために通い、患者さんのニーズに応じたプログラムを提供する場です。
デイケア(Day Care)の頭文字を取って、デイケア内では「DC」と略して表記することも多いです。
統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病)、不安障害、アルコール依存症、知的障害などがある方が対象となり、「自宅に引きこもってしまう」「人付き合いがうまくできない」「友達や仲間がほしい」「就労の準備が心配」などのニーズに対応していきます。
利用頻度に関しては患者さんによって違いがあり、毎日通う方もいれば、1日置きに利用する方、作業所が休みのときだけ利用する方などさまざまです。
高齢者が通う施設として「デイサービス」がありますが、精神障害者が通う施設として「精神科デイケア」があるのです。
精神科デイケアは、健康保険が適用されて3割負担となり、自立支援医療制度(精神通院医療)が適用されると1割負担となります。

●精神科デイケアの目的・役割

精神科デイケアの目的・役割

どのような目的で利用するかは患者さんによって違いますが、同じ時間帯に定期的に通うため、生活リズムを整えることにつながります
精神障害のある方にとって生活リズムを整えることは重要で、精神の安定につながったり、就労や社会復帰の準備になったりします。
精神科デイケアに通う過程や、プログラムに参加する過程で、自然と体力の回復につながっていき、活動の幅も広がっていきます。
また、数十人の患者さんがひとつの空間で過ごすため、人付き合いやコミュニケーション、社会性を育むことにもなります。
精神科デイケアは1年以上という長い期間通う方も少なくありませんが、通所しているうちに顔なじみのメンバーが増えていくため、居場所としての側面もあります。
精神科デイケアでは社会生活機能を回復させることが主軸にあるため、その一貫として料理や洗濯、掃除、金銭管理、服薬管理の練習を行いながら、自立を促すことも欠かせません。
そして、精神科デイケアには作業療法士や看護師などのスタッフがいるため、症状の変化にも気づくことができ、患者さんの相談相手となれる利点もあります。
さまざまな観点からサポートしていけるので、結果的に症状の悪化、再発、再入院を予防する目的も担います
結果的に、患者さんを支える家族の負担が軽減される面もあり、デイケアが果たす役割は大きいです。

精神科デイケアの実施

精神科デイケアの実施

精神科デイケアには、昼間だけ通う、夜だけ通うといったように、さまざまな利用のスタイルがあります。
実際に実施するのはどんな場所なのか、種別にはどのようなものがあるのか、人員基準はどのように定められているのか確認していきましょう。

●精神科デイケアの実施場所

精神科デイケアは、次のような施設で実施されています。

  • ●病院(単科病院、総合病院)
  • ●精神科クリニック
  • ●保健所
  • ●精神保健福祉センター など

精神科のある病院の中に設けられていることが多く、地域で暮らす精神障害者が通って利用します。
病院によっては、近隣に共同住居があり、そこから患者さんが通所しているケースもあります。
保健所や精神保健福祉センターなどの機関にデイケアが設置されている場合もありますが、どの施設にどのような疾患、状態の患者さんが通っているかはケースバイケースになります。

●精神科デイケアの種別

精神科デイケアには、いくつかの種別があり、それぞれ1日当たりの実施時間、実施する時間帯に違いがあります。

種別 1日の実施時間 実施時間帯の例
精神科デイケア ・6時間が標準 午前9時半~午後3時半
精神科ナイトケア ・4時間が標準
・開始時間は午後4時以降
午後4時~午後8時
精神科デイナイトケア ・10時間が標準 午前8時半~午後6時半
精神科ショートケア ・3時間が標準 午前9時半~午後12時半、午後12時半~午後3時半

昼間だけ、夕方から夜だけ利用する人もいれば、同じ日に1日通して利用する方もいます。
慣れるまでは短時間の利用にとどめ、1日3時間ショートケアを選択したり、週1回から始めたりする方法もあります。
体力がついてきて、雰囲気に慣れてきたら、利用時間や頻度を見直すことも可能です。
また、特定のプログラムにだけ参加したい場合にもショートケアが選ばれることがありますし、1日の疲れを癒したい方はナイトケアに通うケースもあります。
短い時間の通所であれば、復職、復学などと並行して通うこともできます。
なお、ショートケア以外では食事も用意されるため、通所している期間は栄養管理の面でも安心をもたらすことができます。

●利用者数と人員基準

精神科デイケアは、厳密にいうといくつかの区分があり、それぞれ利用者数の定員にも違いがあります。

種別 利用者数
精神科デイケア ・30名、50名、70名のいずれか
精神科ナイトケア ・20名
精神科デイナイトケア ・30名、50名、70名のいずれか
精神科ショートケア ・20名

種別ごとに、利用人数はこのように定められています。
同じ精神科デイケアという区分でも、小規模なものから大規模なものまでさまざまです。
利用人数の定員が増えると、施設で必要となる人員も増えます
たとえば、精神科デイケアの場合、定員によって人員基準は次の通りとなります。

精神科デイケア(30名) 精神科デイケア(70名)
●精神科医師1名(兼務可)
●作業療法士、精神保健福祉士、
臨床心理技術者のいずれか1名(専従)
●看護師1名(専従)
●精神科医師2名(兼務可)
●作業療法士または経験を有する看護師1名(専従)
●看護師1名(専従)
●臨床心理技術者または精神保健福祉士1名(専従)
●精神科医師以外の従事者1名(専従)

人員基準をクリアできれば、ひとつの病院で70名のデイケアを複数開所することも可能であり、フロア別などにしていくつかのデイケアを運営しているところもあります。
患者さんの疾患や状態に応じて複数のデイケアに分けて実施できれば、同じ悩みやニーズを持つ人が対象となり、支援を行いやすくなります。
作業療法士、看護師、精神保健福祉士などの有資格者は、所定の人数で人員の設置が必要になるため、精神科デイケアも活躍のフィールドになります。

精神科デイケアのプログラムの例

精神科デイケアのプログラムの例

精神科デイケアでは、午前、午後、夕方などに区切り、さまざまなプログラムを実施しています。
各施設では、患者さん向けにプログラムを公開していることが多いので、身近なデイケアのホームページなどを参照して眺めてみるのも良いでしょう。
患者さんの層やニーズによってもプログラム内容は変わってきますが、定番の活動例としては次のようなものが挙げられます。

1.運動・スポーツ

  • ●卓球
  • ●ソフトボール
  • ●ミニバレーボール
  • ●バドミントン
  • ●パターゴルフ
  • ●小弓道
  • ●ヨガ
  • ●散歩
  • ●体操
  • ●筋トレ
  • ●ストレッチ
  • ●空手
  • ●太極拳
  • ●エアロビクス
  • ●フットサル

2.創作活動・趣味活動

  • ●編み物
  • ●ビーズ細工
  • ●革細工
  • ●塗り絵
  • ●貼り絵
  • ●ペーパークラフト
  • ●陶芸
  • ●書道
  • ●絵画
  • ●プラモデル
  • ●音楽サークル
  • ●アロマテラピー

3.教養プログラム

  • ●パソコン
  • ●英会話
  • ●漢字の読み書き
  • ●ペン字
  • ●身だしなみ講座
  • ●ビジネスマナー

4.レクリエーション

  • ●カラオケ
  • ●ボウリング
  • ●ビデオ・DVD鑑賞
  • ●外出
  • ●遠足

5.ソーシャルスキル・心理教育関係

  • ●座談会、お茶会
  • ●認知行動療法
  • ●ソーシャルスキルトレーニング(SST)
  • ●ミーティング、グループワーク
  • ●心理教育プログラム

プログラムへの参加は必須ではなく、体調に合わせて調整可能です
プログラム以外の時間も、ほかの患者さんと交流しながら過ごすことができます。
精神科デイケアを実施する病院は月間プログラムを作成して、施設内やホームページ内で公開しますが、こうした一覧表を患者さんにパソコンで作成してもらうのも良いでしょう。
デイケアでブログを有している場合は、個人が特定されないように写真にモザイク処理などを施した上で、文章を考えて記事を更新してもらう役割も担ってもらえます。
何かをして終わりではなく、できたこと、達成したことに対して肯定的な声かけをする周囲の働きかけも、患者さんの自信や自尊心を回復する上で重要なものとなります。
患者さんが興味を持てる、楽しめるプログラムや活動に参加してもらい、社会生活機能や生活の質を高めていきましょう。

精神科デイケアも医療従事者が活躍できる場

作業療法士、看護師などの資格をお持ちで、精神科領域で働くとなれば、病棟か外来の患者さんを対象とした現場を思い浮かべる方が多いです。
精神科デイケアは、地域で暮らす精神障害者の自立や社会参加、交流、生活機能の獲得のために欠かせないものとなっています。
精神障害のある人と関わる機会があれば、必要に応じて利用を検討できるので、精神科デイケアの内容や目的などについて知っておきましょう。

参考:
厚生労働省:精神科デイ・ケア等について.(2020年2月26日引用)

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。

    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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