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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2020年03月31日
  • リハビリ病院の悩み

目指せ、腎臓リハビリテーション指導士!合格への道しるべ

2020年2月23日に、第2回腎臓リハビリテーション指導士認定試験が行われました。
腎臓リハビリとは、慢性腎臓病(CKD)や透析治療の患者さんなどを対象に、ADLやQOLをはじめ、生命予後を改善するために行う包括的なリハビリです。
今後、社会のニーズも高まってくるため、そのスペシャリストである腎臓リハビリテーション指導士を目指そうと思う方も増えてくるでしょう。
第2回の認定試験を受験した筆者の経験を基に、合格にむけたポイントをご紹介したいと思います。

腎臓リハビリテーション指導士を目指そう!

第2回腎臓リハビリテーション指導士認定試験の傾向

第2回腎臓リハビリテーション指導士認定試験の傾向

まずはじめに、第2回認定試験の傾向について、筆者の私見を述べたいと思います。

●難易度は高くない?要求される知識は基礎的な内容が中心

第1回の認定試験に関しては、合格率98%と非常に高い割合であったため、一見すると「難易度は低い?」と感じる方も多いでしょう。
ただ、あまりにも高い合格率のため、「受験するのは賢い人ばっかりかも」と不安になる方もいると思います。
実際に筆者が受験した感想としては、参考書の内容を理解していれば合格ができるレベルであり、基礎的な内容が重要であると感じました。
腎臓リハビリに関する最新のトピックスや治療方針(医師の)を理解するよりかは、運動療法をする上での注意点や、栄養指導を行う基準などが重要になります。
そのため、複数の参考書を購入して片っ端から勉強するよりは、1〜2冊のテキストをしっかりと熟読するほうが効果的であるといえるでしょう。
「内部障害は全くわからない」という方であれば、腎臓の解剖学や生理学から復習していくことをおすすめします。
逆に、心臓リハビリテーション指導士をお持ちの方であれば、運動処方やリスク管理についての知識が豊富なため、参考書の内容をスムーズに理解することができるでしょう。

●有資格者が少ない今が狙いどき?早めの受験が吉

第1回認定試験の合格者は約350人、第2回の受験者は約90人ですので、合格率が第1回と同様だと仮定すると、2020年4月の時点で約440人の有資格者がいることになります。
参考までに、心臓リハビリテーション指導士を例に挙げると、第2回認定試験が終了した時点で205人の有資格者が誕生しています。
心臓リハビリテーション指導士と比較するとその伸び率は高く、今後期待されている資格であるといえるでしょう。
しかし、年度を重ねるごとに徐々に難易度は上がってくるため、受験するなら間違いなく早いほうがいいでしょう。
国家試験などにもいえることですが、何年かに1回は出題傾向が変わるという現象が起こり、合格率が一気に下がることがあります。
学会側としては、今の時期は腎臓リハビリ普及のために有資格者を多く輩出したいと思いますので、有資格者が少ない今が狙いどきであるといえます。

筆者が考える、押さえておきたい分野とは

筆者が考える、押さえておきたい分野とは

ここでは、集中的に勉強しておきたい分野に関して具体的に解説していきますが、あくまでも筆者の私見であるため、参考程度に読んでいただければと思います。

●具体的な運動処方と運動の中止基準は必須

心臓リハビリテーションに関わっているセラピストの場合、運動処方(強度、種類、時間、頻度など)について考える機会は多いでしょう。
しかし、内部障害のリハビリ経験が少ない方にとっては、具体的にどう設定すればいいかわからないかもしれません。
運動処方の原則として、FITT(frequency intensity time type)を決定することが重要であり、有酸素運動と筋力トレーニングでは設定が異なります
また、運動強度(intensity)に関しては、心肺運動負荷試験に基づく強度設定、カルボーネン法を用いた強度設定、Borg指数による設定などさまざまです。
腎臓リハビリにおける運動処方は、基本的に心臓リハビリでの運動処方に準拠しているため、余裕のある方は心臓リハビリに関する参考書に目を通すのもよいでしょう
腎疾患の方は、糖尿病や冠動脈疾患を併存している方も多く、適切な運動処方と同時に、運動中止基準の理解も重要です。
運動療法における中止基準をはじめ、運動負荷試験(6分間歩行やCPXなど)時の中止基準などは熟読しておきましょう
特に、数値的な内容ではなく、「◯◯の場合」と記載してある中止基準に関しては、ただ暗記するだけでなく、生理学的な理解を深めておくとよいでしょう。

●リハビリ職が弱い栄養指導、まずは数値を暗記しよう

近年では、リハ栄養などのワードを目にする機会も増えてきましたが、リハビリ専門職にとって栄養指導はかなり弱い分野ではないでしょうか。
養成校でも学ぶ機会は少なく、臨床場面では栄養指導は管理栄養士さんが担当されるため、ほぼ知識ゼロからのスタートになると思います。
ただし、各種栄養素や食品に含まれる割合などを暗記する必要はなく、腎疾患の方に対してなにをどれだけ制限するかを理解することが大切です。
たとえば、CKDのステージごとにたんぱく制限の数値が異なること、透析患者さんではたんぱく摂取量をアップすることなどが挙げられます。
そのため、まずは具体的な数値を暗記すること、なぜ制限をしなければいけないのか理由を考えることが重要になります。
試験問題的には、これらの数値の違いは設問しやすいため、試験にでる確率はかなり高いといえるでしょう

おすすめの参考書と、受験に当たっての注意点

おすすめの参考書と、受験に当たっての注意点

運動処方とリスク管理、栄養指導の重要性は前述しましたが、ここではそのほかに受験に当たって押さえておきたい点をご紹介します。

●実践!腎臓リハビリテーション入門&腎臓リハビリテーションガイドライン

試験勉強をする際に、「どの参考書を使えばいいの?」と悩む方は多いと思います。
しかし、腎臓リハビリに関してはまだまだ発展途上であり、市場にはそこまで多くの参考書は出回っていません。
筆者が使用した1つ目の参考書は、「実践!腎臓リハビリテーション入門」というタイトルのもので、イラストや図説などが非常にわかりやすく記載されています。
総論、運動処方、栄養指導、看護ケアなどの分野からなり、ボリュームもそこまで多くはないため、非常に効率よく学習することができます。
勉強法としては、文章を1文1文理解するというよりは、キーとなる表(数値が記載されているもの)をしっかりと覚えることが重要です。
もう1つのテキストは、腎臓リハビリテーションガイドラインであり、これは事前講習会でもテキストとして使用されるため購入は必須です。
前半は腎臓リハビリの総論や運動処方などが中心で、後半は各疾患のエビデンスレベルなどが記載されています。
記載されている内容だけでなく、エビデンスレベルや推奨グレードの意味についても理解し、本ガイドラインにおける基準について覚えておきましょう

●事前講習会の受講は必須!重要分野の再確認をしておこう

心臓リハビリテーション指導士と同様に、受験に際して学会開催前に事前講習会が開催されます。
受講は必須ではなく、また受験料とは別に講習会受講費用が発生するため、「独学で頑張ろうかな」と思うかもしれません。
しかし、筆者の経験上、この講習会は必ず受けておくことをおすすめします
その理由の1つは、自身の勉強してきたことが的を射ているかを確認することができるからです。
かなり細かいところまで勉強している方、広く浅く勉強している方さまざまですが、この講習会を通じて重要なポイントを再確認しておくことは重要です。
受講の有無自体は合否に関係しませんが、筆者が見たかぎり、第2回認定試験の受験者ほぼ全員が受講していたと思います。
講師陣が重要であるというポイントを中心に講義が進むため、受験前の最終調整として臨みましょう。
ただ逆に、講習会で話された内容のみが出題されるわけではないので、変に範囲を絞ってしまうのはNGです。
また、緊急時対応(BLSや初動の確認)などもリスク管理上重要ですので、講習会の内容とは別に急変時のマニュアルや蘇生手技について確認しておくことをおすすめします

腎臓リハビリテーション指導士を受験される方へ

腎疾患は糖尿病などの生活習慣病や心筋梗塞などとの関連性が高く、また透析にかかる医療費を削減するためにも、今後腎臓リハビリの重要性が高まるでしょう。
腎臓リハビリテーション指導士は新設されたばかりの資格であり、現時点での取得難易度はそこまで高くはないといえます。
「自分だけの武器を持ちたい」、「職場で腎リハを立ち上げたい」とお考えの方は、取得を目指してみてはいかがでしょうか。
ただし、受験資格を得るためには学会に2年以上入会している(2年分の年会費を納めている)ことが条件となります。
そのためにも、まずは学会ホームページなどで情報収集をし、ゆっくりと学習計画を立てていくことをおすすめします。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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