整形外科・リハビリ病院が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2020年04月30日
  • リハビリ病院の悩み

臨床実習指導はどう変わる?指導者チーム結成とマニュアル作成がカギ!

2020年4月現在、新型コロナウイルスの影響で多くのリハビリ養成校において臨床実習が中止になっています。
しかし、この4月からは臨床実習指導の体制が変更になり、受け入れ施設側の改革が求められています。
実習生が少ないこの時期にこそ、臨床実習の教育プログラムを見直すチャンスです。
本記事では、実習指導において具体的にどのような点を変更するべきかについてご紹介します。

この時期、臨床実習の教育プログラムを見直してみませんか?

変更ポイント1 見学から実践へ、指導は段階的に進めていこう

まず最初に、臨床現場での指導方法や評価方法について考えてみたいと思います。
経験論で指導するのではなく、決められた項目を段階的に習得していくことが重要になります。

●学ぶ項目と進行度を客観的に評価することが重要

従来の実習指導においては、検査測定や動作介助など比較的安全な項目から実施したり、繰り返し練習することで習得することが多かったのではないでしょうか。
また、指導者側として「何を学ばせるか」は、その指導者の経験値やそのときの臨床業務によっても変わっていたと思います。
学生の評価に関しても、「指導者の質問に答えられる学生」や「何回指導してもできない学生」など、一部の印象が評価に影響してくることはないでしょうか。
これらの印象評価が入ってくると、指導者と合わない実習生は不利、気の合う実習生は有利などとばかげた評価になってしまいます。
つまり、実習期間中に何を学ぶか、それぞれの学習到達度はどうかなど、客観的に評価をできるような指導体制が必要といえるでしょう。
養成校が作成している成績表に基づいて指導をしている場合は、中間評価が非常に重要になります。
施設独自のカリキュラムを作成している場合でも、必ず到達度を評価できる機会を設けて、実習生の成長を確認できるようにすることが大切です。

●安全性が担保された治療を、見学、補助、監視の3段階で指導する

リハビリ職の臨床実習に関しては、理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善委員会において指導体系の見直しが行われています。
指導体系は監視下、補助、見学という3つの水準に分類されており、それぞれに評価内容や治療内容が明記されています。
この水準に基づいて指導していくのはもちろんですが、1つの項目に関する理解度も段階的に進めていく必要があります。
特に、水準1の「指導者の監視下で行う」項目に関しては、いきなり監視下で行うことは事故のリスクも高くなります。
そのため、まずは学生の能力を見極めること、見学や指導者の補助として行い、安全性が担保されるレベルであれば監視下で行うことが望ましいでしょう。

関連記事:臨床実習のバイザー必見!臨床実習指導者講習会を経て、見えてきた課題とは

変更ポイント2 マンツーマンではなくチーム制での指導

実習指導を担当するスタッフに関しては、従来のように1学生1指導者ではなく、多人数で指導することが理想的です。

●1担当制がおすすめできない理由

従来の1実習生1指導者の体制がおすすめできない理由については、以下の2つの理由が挙げられるでしょう。

◯実習生のケアがしにくい

筆者の勤務施設もそうでしたが、「◯◯大学はこのスタッフ」など、学校によって指導者が決まっている施設も多いのではないでしょうか。
しかし、近年問題視されている学生へのハラスメントをはじめ、指導者との相性が合わない場合など、人間関係の問題で実習が中止になるなどのトラブルもあります。
また指導者が1人の場合、指導者に対するストレスや話しにくい相談内容があったとしても、実習生は我慢しなければなりません。

◯学ぶ内容が偏る

施設の体制にもよると思いますが、病棟担当や疾患別チームなどの診療体制をしいている場合、実習生が学ぶ内容が偏ってしまうことがあります。
1つの分野に特化した指導は非常に良いことですが、それはあくまで基礎がしっかりできた現職者の場合であり、実習生に対しては網羅的に指導をすることが望ましいです。
専門分野に興味をもつ実習生も多いですが、学生時代の限られた実習期間の中では、より広くより多くのことを学ぶほうがいいかもしれません。

●実習生1人に対して2~3人の指導者(チーム)で対応する

実習担当を複数人(チーム制)で行うことのメリットを以下に挙げてみます。

◯学生の精神的ケアがしやすい

指導者がベテラン勢の場合や、性格的に合わない場合など、実習生が思ったことを口にできずにストレスがたまるケースがあります。
複数人での指導であれば話す内容も固定化されず、「この先生になら聞けるかも」と実習生の気も楽になるでしょう。
チーム制におけるポイントは、経験1年目~2年目の若手を入れるなど、より実習生の立場を理解できるようなメンバー構成がよいでしょう。

◯指導者同士で進捗状況を相談することができる

複数人での指導であれば、「◯◯の分野が弱いね」や「◯◯に関しては成長しているよ」など、指導者それぞれが気づいたことを共有することができます。
また、うまく指導ができない場合でも、「こうすればいいんじゃないか」など、1人では思い浮かばなかったアイデアがでることもあるでしょう。

変更ポイント3 実習指導マニュアルは必須!押さえておきたい3つのポイント

ここでは、実習指導マニュアルを作成する際に重要となるポイントについてご紹介します。

●施設に合った指導内容と評価項目を作成しよう

急性期の総合病院の場合、運動器や脳血管、内部障害や集中治療などさまざまな分野におけるリハビリを学ぶことができます。
循環器分野を例に挙げると、以下のような項目を作成することができます。

  • ◯心音と呼吸音の聴診ができる
  • ◯疾患の病態と治療状況を理解できる
  • ◯内服薬を把握してリスクを説明できる
  • ◯各検査を統合・解釈して治療経過を説明できる

これらの項目について、「できる」「できない」の2択ではなく、前述した「見学」「補助」「監視下」と進捗状況をチェックできる評価表が望ましいです。
介護施設やクリニックなどにおいても、施設の特徴や指導方針などを基に、独自の評価表を作成して指導することをおすすめします。

●目からウロコ?実習時間はフレックスでOK

多くの施設では、実習生の実習時間(施設にいる時間)をスタッフの勤務時間に合わせているのではないでしょうか。
臨床実習においては、おおよそ40時間を1単位として規定されており、実習期間内に指定単位数を取得しなければいけません。
しかし、月から金の1日8時間という決まりはなく、週40時間を目安にフレキシブルに対応することもOKです。
たとえば、「今日は終わるのが遅くなるから、明日は遅くきていいよ」や、「3日間2時間以上遅くなったから、代わりに金曜日は休もうか」などの対応も可能です。
「臨床実習時間に関する規定」などの名目で、必要単位数をクリアするために、どんな工夫をしてもよいのか、最終的に誰が承認するのかなどを決めておくとよいでしょう。

●実習生が多い?担当ローテーション表で指導状況を確認しよう

規模の大きな総合病院などでは、同時期に複数人の実習生を指導することも多いため、以下のようなローテーション表を作成しておくとよいでしょう。

チームA
脳血管
チームB
運動器
チームC
内部障害
経過日数 備考
実習生A 2週目 運動器希望
実習生B 1週目 脳血管希望
実習生C 4週目 内部障害希望

注)◯は現在担当中、済は指導済み

また、それぞれの学生ごとに学びたい分野を記載しておくことで、ローテート終了後の残り日数も有意義な時間を過ごすことができます。

オリジナリティ溢れる指導で魅力ある職場づくりを

リハビリ専門職の臨床実習は、指導体系の曖昧さやハラスメントなどのトラブルなどから、抜本的な見直しが行われています。
実習受け入れ施設側でも、国や各協会の方針を基に、自分たちの施設の特徴を生かした指導体系をつくることが必要です。
臨床実習指導に力を入れることは、未来の仲間を育てることであり、将来的に優秀な人材を確保することにもつながります。
この機会に、オリジナリティ溢れる指導体系を構築してみてはいかがでしょうか。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)