あなたは認定理学療法士をとる?とらない?認定理学療法士のメリット4つと取得方法
日本理学療法士協会が設けている認定理学療法士制度は、より専門性を高めていくことを目的としていますが、実はこの制度に魅力を感じていないPT(理学療法士)は、意外にも多いものです。
では、なぜ魅力を感じないのでしょうか?
今回は認定理学療法士の現状や筆者が考えるメリット、取得方法について解説していきます。
認定理学療法士って取得する意味あるの?
日本理学療法士協会によると、2017年時点での認定理学療法士の取得者数は4,055名となっています。
総会員数が115,587名なので、取得者はわずか4%にも満たない数となっています。
認定理学療法士の制度ができてだいぶ年数が経過していますが、多いとはいえない状況です。
なぜ認定理学療法士は増えないのか?それは待遇面や増患対策などへのメリットが感じられないことが原因だと考えられます。
●そもそも認定理学療法士とは
認定理学療法士制度とは、自らの専門性を高め、高い専門的臨床技術の維持、社会、職能面における理学療法の専門性(技術・スキル)を高めていくことを目指した制度です。
7つの専門分野があり、「各分野で理学療法士のスペシャリストを増やそう!」といった趣旨になっています。
●認定理学療法士を取得しても給料には変化なし!
認定理学療法士を取得しても、診療報酬が上がることはありませんので病院の収入が増えるわけでもなく、当然待遇が良くなることもありません。
また、筆者が取得したことを報告に行ったときに感じたことですが、驚くことに病院のスタッフが認定理学療法士という資格を知りませんでした!
院長や事務長、看護師長など誰も資格のことを分かっておらず、これはあまりにも認知度が低いと思った経験があります。
あくまでも筆者が勤務している病院のことです。
全国には認知されている病院もあるかもしれません。
●患者さんにも伝わらないので患者さんが増えることもない
みなさんは認定医制度や専門医制度のことはご存じだと思います。
インターネットで病院を探すとき、必ずといっていいほど医師の略歴や資格などはチェックされます。
その際、認定医や専門医を取得しているという文言があれば、増患対策にもつながっていきます。
しかし、「認定理学療法士が在籍している」と聞いて病院に来る患者さんはどれだけいるでしょうか?
「リハビリ」は世間に浸透してきていますが「理学療法士」はまだまだ認知度が低く、ましてや「認定理学療法士」と聞いてもわかる人はいません。
まずは「理学療法士」の認知度を高めていく必要性があると感じます。
あえて挙げてみる!認定理学療法士のメリット4つ
メリットはないといいつつも、資格を取ろうとしている人がいるということは、その方は「なにかしらのメリットを感じている」ということでしょう。
認定理学療法士の取得によるメリットを4つご紹介します。
●モチベーションアップにつながる
少なくとも筆者は、学会や講習会の参加、症例報告書の作成といった取得までの過程で、自分自身の知識や技術を見つめ直すことができました。
就職をしてから、なにかを達成するという目標を持つことが少なくなっていた時期に取得に踏み切ることで、刺激をうけた記憶があります。
●講習会参加による知識の獲得!
認定理学療法士を取得するにあたって、いくつかクリアする項目があります。
そのなかには、一定数の学会、講習会への参加などが含まれています。
それらで得ることができる知識は、今後の臨床にも存分に生かすことができます。
●転職に有利かも!
さきにご紹介した通り、認定理学療法士を取得している人の割合は4%未満です。
その資格を持っているとしたら、新しい就職先での面接も有利になる可能性があるでしょう。
病院のなかでは認定理学療法士の認知度が低くても、履歴書に資格として書くことで加味されるケースもあります。
理学療法士の数が増加傾向にあるなか、認定理学療法士を取得しているとほかの理学療法士との差別化が図れるという利点も考えられます。
●理学療法士協会は価値を高めようとしている
日本理学療法士協会は、診療報酬のアップや医療広告ガイドラインへの登録など、認定理学療法士の価値を高めるための活動をしています。
今後この活動が実れば、診療報酬のアップなどにつながる可能性もあるでしょう。
長期的な展望を見据えて、今のうちに取得しておくのもいいかもしれません。
認定理学療法士の取得方法
認定理学療法士はすべての理学療法士が持てる資格ではありません。
講習参加によるポイントの獲得やサマリー、経験年数が必要になってきます。
ここでは、新人教育プログラムを修了したあとの流れについてお伝えしていきます。
●専門分野の登録をする
新人教育プログラムを修了し、まず初めに行うことは、専門分野の登録を行うことです。
ここで登録した専門分野領域の認定理学療法士を取得することができます。
登録できる分野はいくつでも可能とされているので、興味があるものはたくさん登録しておくと良いでしょう。
認定理学療法士の試験を受けられるのは、登録後2年経過してからになります。
いざ取得しようと思っても、そこから登録すると2年はかかってしまうので登録は早めにしておきましょう。
●学会、講習会でポイントをためる!
次は学会、講習会に参加してポイントをためる必要があります。
ポイントは全部で160ポイントで、そのなかには必ず受けなければいけない講習もあります。
1)認定必須研修会(20ポイント)
専門分野ごとに決められた講習会になります。
各分野の専門内容の講義が中心です。
2)協会指定研修(40ポイント)
専門分野に関係なく、共通して受講する必要がある研修になります。
主に歴史やリスク管理、エビデンスや労務関係といった内容の講習になります。
3)その他学会、講習会(100ポイント)
講習会といっても、専門分野に沿った内容の会である必要があります。
講習会の内容によって、獲得できるポイント数も違うので各自で計算して100ポイントをためましょう。
学会発表などもポイント対象になります。
●症例報告10症例
指定された様式で、取得を目指す分野の症例報告を10症例提出する必要があります。
この症例報告とポイントの審査を無事に通過すると、認定試験を受けることができます。
●認定試験
書類を提出して審査が通れば、認定試験を受けることになりますが、過去の試験問題や解答、審査内容は明かされていません。
指定研修や認定必須研修会の内容と、日ごろ臨床で得た知識を生かして、合格を目指しましょう。
まとめ
今回は認定理学療法士の現状と筆者が感じているメリット、取得方法について解説しました。
認定理学療法士の数はまだまだ少なく、大きなメリットがあるともいえないのが現状です。
しかし日本理学療法士協会の積極的な活動を考えると、今後待遇が改善される可能性もあります。
理学療法士としての価値を、自他ともに高めるためのステップとして、みなさんも取得してみてはいかがでしょうか?
参考:
日本理学療法士協会 認定理学療法士制度(2018年1月25日引用)
日本理学療法士協会 認定理学療法士取得について(2018年1月25日引用)
日本理学療法士協会 認定理学療法士の取得状況(2018年1月25日引用)