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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2020年06月29日
  • リハビリ病院の悩み

セラピストにも雑談力?患者さんと上手にコミュニケーションを取る方法

臨床の場にでたセラピストにとって知識や技術の習得は重要ですが、患者さんとのコミュニケーションに悩む方も多いでしょう。
また「話すことが得意」と思っていても、限られた時間で必要な情報を収集できるかどうかは別問題です。
なぜ臨床1年目はうまくコミュニケーションが取れないのか、具体的にどんな練習をすればいいのかについて解説します。

語彙力を鍛えよう!

新米セラピストが患者さんと上手に話せない理由

新米セラピストが患者さんと上手に話せない理由

なぜ新米セラピストは患者さんとうまくコミュニケーションが取れないのか、その理由について考えてみましょう。

●理由1 自分の知識や技術に自信が持てない

経験が浅く自分の知識や技術に自信を持てないセラピストは、患者さんの質問に対して的確な返答ができないことが多いです。
いったんその場をしのぐことができても、患者さんとのコミュニケーションに不安を感じると、口数が少なくなります。

また逆に、患者さんからの質問に「絶対に答えないと」と焦るばかり、ややもすると適当な返答をして後でトラブルになる可能性もあります。
よくわからないことを説明しようとしても、まわりくどい説明になったり、間違った情報を伝えてしまうかもしれません。
そんなときは、正直に「わかりませんので調べておきますね」と返答し、その後で文献を調べるなり上司に聞くなりして解決するほうがいいです。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがあるように、その場しのぎで解決してもまた同じことを繰り返す可能性が高いです。

●理由2 高齢者と共通の話題が少ない

若いセラピストにとって、高齢者と共通の話題をつくることはハードルが高いのではないでしょうか。
学生時代は同じ年頃で感性が近い友達と話す機会が多く、極論するとはやりものを押さえておけばOKかもしれません。
しかし、臨床現場にでてから話をするのは70〜90代の高齢者であることが多く、自分たちの感性と大きくかけ離れていることもあります。
そのため、「今日は暑いですね」や「昨日はなに食べましたか」など当たり障りのない会話だけで、その後は沈黙が訪れるというのはよくあるパターンです。
しかし、ベテランセラピストはこの何気ない会話から話を発展させることができます。
例として、「今日は雨降りですね。傷は痛みませんか?」というやりとりでは、気圧が低いと傷が痛むという知識を織り交ぜることで、疼痛の評価にもつながります。
また、「昼食はナスがでたんですね。◯◯さんも夏野菜を作っているんでしたっけ?」などの会話では、旬の野菜ネタからその方の生活スタイルを聞き取ることができます。
雑学や豆知識が多いセラピストは、患者さんとのコミュニケーションが円滑にできるだけでなく、自然と問診までこなせてしまう強者ですね。

会話のバリエーションを増やすには語彙力も重要

会話のバリエーションを増やすには語彙力も重要

会話のバリエーションを増やすこと、単調でない面白い会話ができることは新米セラピストにとっての登竜門です。
ここでは社会人としての語彙力に着目して考えたいと思います。

●どんな患者さんにも共通して使える武器、それは「語彙力」

語彙力(ごいりょく)とは、言葉の意味や使い方を知っている能力のことを指します。
このなかには、単語や四字熟語などをはじめ、慣用句やことわざ、故事など多くの知識が含まれます。
簡単な例を挙げるならば、「初めて聞きました」は「それは初耳です」と言い換えることができます。
後悔しても遅いという表現は、「覆水盆に返らず」や「後悔先に立たず」などと言い換えることができます。
「そんなこと知っていてどうなるの?」と思うかもしれませんが、人気のある芸人さんのトークに惹かれる方は多いでしょう。
会話の中で適切なツッコミを入れる、絶妙かつシュールな例えで笑いを誘うためには、高い語彙力が求められます。
患者さんにとっても、いろいろな表現ができ、物事をうまく例えることのできるセラピストは魅力的だと思います。
そのほかにも、会話が単調にならない、賢そうに見えるなど、語彙力が高いと多くのメリットがあるため、語彙力アップは新米セラピストにとって必須といえるでしょう。

●明日からできる、語彙力を鍛える方法をご紹介

ここでは、語彙力アップに役立つトレーニングについて、筆者の経験をもとにご紹介したいと思います。

◯小説を読む

夏目漱石や川端康成など、日本を代表する文豪の作品でもいいですし、書店で面白そうと思った作品でもいいです。
小説は、その場の雰囲気や登場人物の感情を表現するため、さまざまな表現方法がとられています。
筆者の場合、わからない単語があった場合、その都度スマホで調べて、語彙力単語帳なるものをつくっていました。

◯使いたい表現を決めておく

新しく知った語彙や表現などは、実際の会話で使うことによって身につきます。
たとえば、たくましいや勇ましいことを意味する「精悍(せいかん)」という言葉がありますが、以下のような使い方をすることができます。
「これは息子さんの写真ですか?◯◯さんに似て精悍な顔立ちをされていますね」
「男前」「イケメン」など、かっこいいですねという意味の言葉は多くありますが、場面や相手によって使い分けることが大切です。
相手が喜んでくれそうな語彙を選択することができれば、会話のバリエーションも広がり、会話も楽しくなることでしょう。

話すだけじゃダメ!聞き上手になってこそ一人前

話すだけじゃダメ!聞き上手になってこそ一人前

雑学や語彙力を鍛えたからといって、それだけで会話がうまくなるわけではありません。
ここでは、患者さんとの話がはずむコツをご紹介します。

●話を聞き出すためにはテクニックが必要

話が上手な人は、相手の話に合わせてあいづちを使いわけることができます。
「へえ」や「なるほど」などは使い勝手がよいですが、そればっかりだと話が膨らまないこともあります。
患者さんの話を聞いているとき、もっと話を聞き出したいと思ったら、以下の方法を試してみるとよいでしょう。

具体的に褒める

人は誰でも褒められると気持ちよくなりますが、褒めるときのポイントは具体的であるほうが効果的です。
たとえば、趣味で畑をしていると話された際は、「すごいですね」と褒めても何がすごいのかが伝わりません。
「毎朝早くから大変ですよね」や「夏場は暑いから大変じゃないですか?」と返すことによって、その先の会話につなげることができます。
また、「私は朝に弱いから尊敬します」と相手への尊敬の念を伝えるとなおよいでしょう。

共感する

ほとんどの患者さんは、痛みや倦怠感などの身体症状を有しているため、自分のつらさを誰かに知ってもらいたいと考えることが多いです。
「横になっても動いていても腰が痛いんです」と痛みの訴えがあった場合、自分もその気持ちを理解したいことを伝えましょう。
たとえば、「寝ていても痛むのですか、夜もぐっすり眠れないからつらいでしょう」と、相手が悩んでいるであろうことをこちらから提示してあげるとグッドです。
患者さんと信頼関係を築く場合、「この人は自分のことをわかってくれる」と思ってもらえることが重要になります。

●相手の意見を訂正する前に「おうむ返し」をする

患者さんが間違ったことを言っていると感じた場合、真っ向から否定したりはしていないでしょうか。
たとえ自分の意見が正しいと思っていても、そのまま否定したのであればよい信頼関係を築くことはできません。
以下に良い例と悪い例を挙げてみます。

◯悪い例

患者さん「リハビリをすると腰が痛くなるんです」
セラピスト「その痛みはリハビリとは関係ありませんよ」

◯良い例

患者さん「リハビリをすると腰が痛くなるんです」
セラピスト「そうですか、リハビリで痛くなるのですか。それは困りましたね」
     「でも、リハビリとは関係のない痛みかもしれませんよ」

一見同じような対応に見えますが、良い例では患者さんの痛みについて共感することで、セラピストの意見を聞いてもらいやすい環境をつくることができます。
自分が正しいと確信できる内容であったとしても、まずは患者さんの訴えを理解することから始めることが大切です。

雑談力を鍛えてコミュニケーション上手になろう!

臨床現場で患者さんとコミュニケーションを取るためには、専門知識の習得だけでは不十分であり、そこには一般教養やトリビアなどが役立ちます。
また、同じ話でも表現方法を変えることによって新鮮味がでたり、別の話題に移行できるなど、会話を盛り上げる方法はいくらでもあります。
いくら知識や技術がずば抜けたセラピストでも、患者さんと良好な関係が築けなければ宝の持ち腐れです。
患者さんとのコミュニケーションに悩んでいるセラピストは、普段の勉強の息抜きも兼ねて雑談力を鍛えてみてはどうでしょうか。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。

    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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