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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2020年07月31日
  • リハビリ病院の悩み

資格は維持するだけでも一苦労?資格貧乏にならないために注意するポイント

リハビリ専門職が取得できる資格について、その取得方法や勉強法などを調べる方は多いと思いますが、資格は取得だけでなく維持も大変です。
普段の生活費に加え、勉強会や各協会の年会費などで経済的負担が大きくなることもあるため、取得後の流れについても知っておく必要があります。
本記事では、いくつかの資格を例に挙げて、維持するための方法と費用などについてご紹介します。

リハビリ専門職が取得できる資格維持するための労力と費用

実は大変?資格を維持するためには労力が必要

実は大変?資格を維持するためには労力が必要

資格の認定期間は5年間であり、その間に50ポイントを取得し、更新手続きを行う必要があります。
このポイントは、呼吸療法系のセミナーや、認定更新のために開催される講習会などで取得することができます。
50点分を取得するためには、おおよそ2日間の受講が必要になり、1日研修(25点)であれば2回参加しなければいけません。
更新にかかる費用に関しては、1日研修会で3,000円程度のものもあれば10,000円以上するものもあり、経済面を考慮するなら事前調査が必要です。
しかし、認定期間のわりには必要条件が少なく、全体として更新の難易度は低めといえるでしょう。

●心臓リハビリテーション指導士の更新難易度は?

取得後の認定期間は5年間で、その間に50ポイントを取得する必要があります。
更新に必要なポイントは全国学会や各地域の研究会などで取得することができるため、比較的集めやすいといえるでしょう。
全国学会では15ポイント、地方会では10ポイントを取得できるため、こまめに学会参加している方の場合、それだけで更新条件を満たすことができます。
また、各地域の研究会が開催している勉強会でも3〜5ポイント取得できることがありますが、学会とは違いホームページ等で案内がないことが多いです。
ほかの施設のスタッフや製薬会社から案内が届くこともあるので、外部の情報収集をしておくとよいでしょう。
自己研鑽のための研修会(学会)参加がポイント取得に直結するため、更新の難易度はそこまで高くありません。

●認定理学療法士の更新難易度は高い!

認定理学療法士の更新は、生涯学習ポイント160点分と10症例分の症例レポートが必要になるため準備も大変です。
研修会や学会の種類と取得ポイントについて以下に例を挙げてみます。

  • ◯全国学会 参加20ポイント 演題発表10ポイント
  • ◯ブロック学会 参加10ポイント 演題発表5ポイント
  • ◯地方(都道府県)学会 参加10ポイント
  • ◯臨床実習指導者(バイザー) 6週間20ポイント 4週間10ポイント
  • ◯臨床実習指導者講習会 20ポイント

その他にも、協会が主催する研修会で5〜10ポイント取得できたり、理学療法関連学会(心臓リハ学会など)の参加も別途でポイント付与されます。
直前に焦って準備を始めても間に合わない可能性が高く、計画的なポイント取得がカギになるので、資格保持の難易度は高いといえるでしょう。

●資格の維持にはお金がかかる!

以下に、3つの資格の年会費や学会参加費などを比較してみます。

認定期間 年会費 学会(研修)参加費 諸費用
(交通費や宿泊費)
経済的負担
3学会合同呼吸療法認定士 5年間 なし 13,000円
(1回で可)
なし
(e-ラーニングの場合)
心臓リハビリテーション指導士 5年間 6,000円 10,000円
(全国学会1回につき)
30,000円/回 
(交通費・宿泊費)
認定理学療法士 5年間 20,000円前後
(県士会により異なる)
8,000円前後
(全国学会1回につき)
30,000円/回
(交通費・宿泊費)

認定理学療法士の場合、理学療法士協会の加入が必須条件であるため、ほかの資格と比較して維持費用は高くなります。

経済的負担を少なくして資格更新するためのコツ

経済的負担を少なくして資格更新するためのコツ

前述した表では全国学会を中心に考えましたが、メジャーな研修会や学会には参加費や宿泊費など多大な負担があります。
なるべく低コストで資格を維持するためのポイントをご紹介します。

●コスパのいい研修会は毎年マークする

地方会は参加費用や交通費も安くすむため、毎年の開催場所や日程などについてチェックしておくことが大切です。
全国学会では大々的に案内されますが、地方会や研修会は会誌などで適宜チェックするように心がけましょう。
また、参加費のわりにポイントが高い研修会(コスパがいい)は必ず参加するようにして、なるべく費用をおさえることがポイントです。
3学会合同呼吸療法認定士に関しては、多職種(臨床工学技士など)の研修会はコスパもよく勉強にもなるのでおすすめです。
複数の資格を所持している方に関しては、毎年すべての全国学会に参加していては莫大な費用がかかるため、地方会や研修会を織り交ぜて、計画的に参加するようにしましょう。

●実習指導や講師依頼などは積極的に引き受けよう

認定理学療法士に関しては、自己研鑽以外にもポイントが付与される研修会や業務があります。
特に、6週間の臨床実習指導に関しては費用も発生せずに20ポイント取得できるため、コスパの点からいえば最高かもしれません。
しかし、ただ指導をしているだけではポイントが付与されないため、養成校に証明書を発行してもらう必要があります。
年間複数の養成校から実習依頼がある施設で勤務しているならば、積極的に指導者を引き受けるとよいでしょう。
ただし、2020年度以降に入学した学生を実習指導する場合、臨床実習指導者講習会を受講することが必須であるため注意が必要です。
その他には、地方会での講演や論文執筆でもポイントが付与されるため、学術的な取り組みも並行して行うことが望ましいです。

●学会参加は演題発表のセットがお得

地方や全国にかかわらず、ほとんどの学会では参加ポイントとは別に発表者としてもポイントが付与されます。
全国学会では10ポイント、地方学会では5ポイントと少なめですが、毎年参加するのであれば結構なポイントになります。
そのため、効率よくポイントを取得していきたいのであれば、演者として参加するほうがいいでしょう。
また、座長や抄録の査読者を務めてもポイントが付与されるため(2〜5ポイントと少なめですが)、依頼があれば積極的に引き受けましょう。
ただし、座長などの大役に抜擢されるためには、学術面での活動を精力的に行い、ある程度名前が知れていることが条件です。
そのためには、協会や学会の活動(ポイントは取得できなくても)に進んで協力する姿勢が必要かもしれません。

とりあえず取得は間違い!取得前に考えておきたいポイント

とりあえず取得は間違い!取得前に考えておきたいポイント

ここでは資格を取得する目的や、取得の前に考えておくべきことについて述べたいと思います。

●複数の資格を取得すると更新が大変!

前述したように、資格取得は試験勉強やレポート作成などの事前準備だけでなく、取得後の維持にも多大な労力が必要です。
取得した後しばらくは専門分野の研修会や各専門学会などに参加する機会が多いかもしれませんが、経験年数が長くなるほど厳しくなってきます。
たとえば、結婚して育児が大変だから研修会に参加できない、部門のマネジメントなど管理業務に関しての研修にいかなければいけないなど理由はさまざまです。
また、3つ4つの資格を保持しようと思うと、年間に数万円単位の費用が必要になるため、経済的な負担も大きくなります。
更新年から逆算して参加研修会のチェックができるような人ならいいですが、筆者のように更新案内の通知がきてからバタバタする人は大変だと思います。
将来的に複数の資格を所持しようと考えている方は、その維持費用や更新方法までしっかりと調べておくことをおすすめします。

●その資格は誰が求めているのか、自分の立ち位置を知ろう

「キャリアアップのために資格を取得したい」と漠然としたビジョンをもっている方も多いですが、その資格は何を基準に選んでいるでしょうか。
一番多い理由は、将来自分が進みたい専門分野に関する資格だと思いますが、それ以外にも上司から薦められた(または命令)ために取得する方もいるでしょう。
まずは、どんな資格を取得するのかではなく、その資格を取得することによるメリット(取得後にできること)を考えることが大切です。
また資格取得を考える場合、その職場で必要とされる資格(分野)なのかを考えておきましょう。
院内で呼吸器ケアに力を入れようという動きがある場合、呼吸療法系の資格をもっていると重宝されるかもしれません。
また、学会で座長やシンポジストを経験して知名度を上げたいと思うなら認定理学療法士を取得しておくといいかもしれません。
逆に、自分の興味だけで本来の業務と関係のない資格を取得したとしても、「業務に生かせない」「周りに認めてもらえない」と悩むことになるでしょう。
自分はどんな仕事をしたいのか、自分たちに求められていることは何かなどのビジョンやニーズを把握しておくことが大切です。

保持か失効か?将来のキャリアデザインを考えよう

保持か失効か?将来のキャリアデザインを考えよう

取得した資格を生涯維持しようと思うと、時間的負担や経済的負担との戦いになるため、更新せずに失効する方もいます。
一度取得した資格を手放すのはもったいないかもしれませんが、多くの資格を保持することが目的になっていないでしょうか?
資格によっては基礎医学や臨床内容で共通する部分もあるため、十分に臨床で活用できた、自分の役に立ったと思うなら、思い切って手放すことも選択肢の1つです。
新たな資格取得を考えているのであれば、所持することによるメリットや、自身の将来像(キャリアデザイン)などを考慮して、計画的に取得することをおすすめします。

参考:
公益財団法人 医療機器センター 「3学会合同呼吸療法認定士」認定制度(2020年7月30日引用)
公益社団法人 日本理学療法士協会 認定理学療法士(新規申請用)ポイント取得マニュアル(2020年7月30日引用)
公益社団法人 日本理学療法士協会 認定理学療法制度(2020年7月30日引用)
特定非営利活動法人 日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士 認定医・上級指導士(2020年7月30日引用)

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。

    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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