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クリニック・治療院 OGメディック

  • 奥村 高弘

    公開日: 2020年09月28日
  • リハビリ病院の悩み

リハビリ専門職の登竜門、初めての症例発表で押さえたいポイントは?

専門職としての質の担保、そして多様化する社会のニーズに対応するため、2020年4月から理学療法士の新人プログラム制度(新プロ)が変更になります。
そのため、今のうちに現行の新プロを終わらせておきたいと考える若手も多いですが、そのためには外部での症例発表を行う必要があります。
本記事では、研修会や学会などで発表する際の注意点やコツなどについて解説します。

今、苦手意識のある人ほど学会発表に取り組みたい理由

学会での単一症例報告はアリ?発表するときの注意点とは

学会での単一症例報告はアリ?発表するときの注意点とは

学会発表は綿密な研究計画やデータ解析などに基づいた発表という印象をうける方もいますが、すべてが研究報告ではありません。
ケース紹介など単一症例報告の位置付けについて考えてみたいと思います。

●学会発表では意外と多い?症例報告からしか学べないことも

症例報告は統計などのデータ分析を必要としないため、「発表の質が低い」と思い込んでいる方はいませんか?
確かに、収集したデータから統計学的有意差を出すことは重要ですが、その研究が臨床でどう生かされるかが重要になります。
また、その結果がすべての患者さんに当てはまるかはまた別の話であり、その結果をすべて鵜呑みにするのはよくありません。
いっぽう、単一症例の治療経過をまとめた症例報告では、治療の有効性などを客観的に述べることはできません。
しかし、実際に同じような患者さんを担当している同業者にとっては非常に参考になる内容であり、臨床に生かしやすいという特徴もあります。
正直、よくわからないデータ解析で数値的な話をするよりも、症例報告のほうが聞いていてためになることがあります。
リハビリ関連以外の学会(医師中心の学会)においても、「◯◯の一症例」というタイトルで発表している演題も多く、症例報告は立派な学会発表であるといえます。

●希少だけではダメ!その発表で何を強調したいのかを考えよう

前述した「◯◯の一症例」というテーマで発表する場合、聞き慣れない疾患名やイレギュラーな経過をたどった患者さんであることが多いでしょう。
確かに、よく遭遇する疾患のノーマルな経過を報告したところで「で、何?」となってしまいます。
しかし、ただレアリティが高い疾患のリハビリを担当したという内容では、残念ながら学会発表するレベルには達していません。
大切なのはレアリティの高い疾患名ではなく、その患者さんにどのような治療をしたらどのような結果になったのかを伝えることです。
通常の治療をしても効果がないケース、治療を組み合わせたらうまくいったケースなど内容はさまざまですが、かならず強調したいポイントを1つ押さえておきましょう。
また、難しいケースでうまくいったポジティブケースだけでなく、うまくいかなかったネガティブケースを報告することも大切です。
「自分の未熟さを人に言いたくない」と思うかもしれませんが、聴者から貴重なアドバイスをもらえたり、次に同じようなケースがあった場合参考にすることができます。
ただし、どうしてうまくいかなかったのかをしっかり考察しないとただの失敗談となるため注意が必要です。

対面が難しいならオンライン開催の学会が狙い目!

対面が難しいならオンライン開催の学会が狙い目

「知らない人の前ではとても話せない」と悩んでいる方のために、オンライン開催の学会についてご紹介します。

●発表はスライド貼り付けだけになる可能性も

2020年の2月以降、新型コロナウイルス感染対策として、学会や研修会など大勢が集まるイベントはほとんどが中止になりました。
しかし、オンラインミーティングなどが注目されているなか、オンライン開催となっている全国学会もあります。
2020年の日本心臓リハビリテーション学会は福岡で開催予定でしたが、感染予防の観点からオンラインへと変更になりました。
筆者の施設からも数名が演題発表を行いましたが、いずれもパワーポイントのファイルをアップロードするという形式でした。
「オンラインミーティングアプリを使ってのリモート発表じゃないの?」と思うかもしれませんが、さすがにすべての演題に対応することは困難です。
教育講演や特別講演はリモートとなりますが、一般演題は演者がファイルをアップし、見たい参加者が見るという形式になっていたようです。
ただし、規模の小さな学会や参加者の少ない研修会ではリアルタイムの発表になるかもしれません。
各学会によって開催方法は異なると思われるので、発表を考えている方はしっかりと情報収集をしておきましょう。

●難しい質問も大丈夫!質疑応答はゆっくり対応できる

学会発表をする際、自身の発表時間も緊張しますが、質疑応答が一番苦手という方も多いのではないでしょうか。
「自分の発表に間違いはないだろうか」、「答えられない質問がきたらどうしよう」と考えると、発表を苦痛に感じるかもしれません。
実際のところ、発表の場はケチをつける場ではありませんし、時間制限もあるため座長の方がうまく進行してくれるので、そこまで困ることはないでしょう。
いっぽうで、オンライン開催の場合、口頭で発表するわけではないので、リアルタイムで返答する必要はありません。
質問がある場合、演者のメールアドレスや学会専用のアドレス、チャットなどを用いて質疑応答することが多いので、ゆっくりと返答内容をまとめることができます。
演者として実績を作りたいけど人前にたつのが苦手という方であれば、オンライン開催の学会はおすすめです。

ぶっつけ本番はNG!原稿の作成や事前の発表会が効果的

ぶっつけ本番はNG!原稿の作成や事前の発表会が効果的

いくら人前で話すことが得意な方でも、初めての学会発表は緊張するものです。
失敗しないためのポイントについて、筆者の経験をもとにご紹介します。

●発表原稿の作成はOK、ただ棒読みはNG!

初めて学会発表をする方の場合、「何を話すんだっけ」と発表前に頭が真っ白になる方もいます。
そのため、あらかじめ読むための原稿を作成する方がほとんどであり、入念に作成した原稿はいわばお守りのようなものです。
ごく稀に、その場のアドリブ(もちろん話す内容は考えているでしょうが)で進行する方もいますが、よほどトーク力に優れていないと厳しいでしょう。
そのため、パワーポイントの原稿欄に読む内容をまとめたり、紙面で原稿を作成して発表に臨む方が多いです。
この場合、発表途中で頭が真っ白になることもないですし、自分の言いたいこともしっかりと強調することができます。
しかし、いくら原稿を読むからといって、目線を下に落としたまま話し続けるのはNGです。
演者はナレーションではなくプレゼンターであるので、聴衆に対して話しかける姿勢を持つ必要があります。
下を向いて話していると声が聞き取りづらかったり、自信のない印象を与えてしまう可能性があるため、原稿は確認する程度にとどめるほうがよいでしょう。

●まずは身内での発表会、質疑応答の対策をしよう

学会当日に備えて、作成した原稿を覚えたり、話し方を工夫したりと入念な準備が成功のカギです。
しかし、1人で練習する、同僚と2人で練習するだけでは得られないものがたくさんあるため、できるだけ多くの方に聞いてもらうとよいでしょう。
筆者の施設の場合、リハビリ科のスタッフ(新人から管理職まで)はもちろん、協力していただいた医師にも参加を依頼しています。
発表する側としては大人数で緊張するかもしれませんが、発表に備えて大勢の前で話す経験は積んでおくべきです。
また、発表会をする際は、以下のポイントを押さえて行うとよいでしょう。

  • ◯本番と同じ時間設定にする(発表5~7分)
  • ◯演者は参加者のほうを向いて話す
  • ◯質問内容はメモをして、回答を準備しておく
  • ◯司会者が最後に総評を行う

ただ単に発表をするだけではなく、どんな質問がきそうか、どう答えるか、発表の要点はまとまっているかなどを皆で検討することで、自信をもって本番に望むことができます。

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専門職として、自身の治療経験を報告することは重要

臨床で働くセラピストにとって、治療やカンファレンスなどの院内業務だけがすべてではありません。
学会や研修会などを通して、自分の治療経験を客観的に述べることは専門職として大切な業務です。
症例報告はデータなどをまとめる時間が少ないこと、発表のハードルが低いことが特徴ですが、ただ発表するだけでは高い評価は得られません。
開催方法や発表方法などの情報収集、発表の要点をまとめるなど入念な準備を怠らない努力こそが、初めての学会発表を成功に導いてくれるでしょう。

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。

    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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