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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2020年12月22日
  • リハビリ病院の悩み

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サブスペシャリティを身につけよう!日本リンパ浮腫治療学会認定資格のリンパ浮腫療法士になるには

リハビリテーションにおける専門分野はさまざまですが、認定資格などのサブスペシャリティを持つことは、キャリアを築く上でも重要なポイントとなります。
これまでもこのサイトでは、心臓リハビリテーション指導士呼吸療法認定士腎臓リハビリテーション指導士などさまざまなサブスペシャリティについてご紹介してきました。
今回は、リンパ浮腫療法士について、資格、受験資格、テストの概要、受験費用などをご紹介していくことにしましょう。

キャリアアップにも有用な認定資格 リンパ浮腫療法士とは

リンパ浮腫療法士とは。受験資格は?講習会への参加や症例レポート、実務経験が必要

リンパ浮腫療法士とは。受験資格は?講習会への参加や症例レポート、実務経験が必要

2012年度に設立された5学会からなる機構の認定資格がリンパ浮腫療法士です。

●リンパ浮腫療法士の受講資格がある職種は5種類。実務経験2年が必要

2016年の診療報酬改定で保険算定が可能となったリンパ浮腫に対する複合的治療は、医療従事者においても注目すべき点といえるでしょう。
この複合的治療に従事することができる認定資格の一つとしてリンパ浮腫治療学会認定のリンパ浮腫療法士があり、以下5つの職種の方々に受験資格があります。

  • ○医師
  • ○看護師
  • ○理学療法士
  • ○作業療法士
  • ○あん摩マッサージ指圧師

の国家資格を持っている方がリンパ浮腫療法士になることができる対象となっています。

●リンパ浮腫療法士の資格取得試験を受ける前に講習会参加、ケースレポートが必要

リンパ浮腫療法士の資格試験を受ける前にいくつかのリンパ浮腫治療に対する教育基準を満たしている必要があります。
リンパ浮腫治療に関する講義と実務の両方の研修が終了している必要があります。
講義は33時間(45限)以上、実務67時間(90限)以上、合計100時間以上の研修終了の必要があります。
前述の受験資格が与えられる職種(医師・看護師・理学療法士・作業療法士・あん摩マッサージ指圧師)で2年以上実務経験があること。
リンパ浮腫治療を認定された医療機関において研修を行い、前述のリンパ浮腫治療に準じた研修終了後に最低でも5症例を担当、治療・鍛錬している必要があります。

リンパ浮腫療法士のテスト概要、テストまでのフローチャート、その費用とは?

リンパ浮腫療法士のテスト概要、テストまでのフローチャート、その費用とは?

リンパ浮腫療法士になるためには、受験資格を満たしたものが年一度開催されるテストを受けて合格する必要があります。
テストの詳細について解説しましょう。

●リンパ浮腫療法士の資格取得のためのフローチャート

ここでリンパ浮腫療法士資格を取得するための一連の流れについてフローチャートで示してみましょう。

  1. 1)リンパ浮腫治療の講習会に参加し、規定されている時間数の講義、実技を修了
    東京医療専門学校や日本医療リンパドレナージ協会などの4団体が主催する講習会受講が必要。
    一般社団法人ICAA主催によるリンパ浮腫療法士になるための講義を受講。
    例:https://www.lymphdrainage.jp.net/
    東京、大阪会場各30名定員。
    計12回の講義に出席する必要があり、次回は2021年4~9月が予定されています。
    受講費用は少々高額で約30~40万円。
  2. 2)最低5症例のケースレポートを作成
  3. 3)資格試験申請
    受験申込票、上記1、2、勤務証明書もしくは推薦状(医師の捺印が必要)、履歴書、受験票、国家資格免許書のコピー、返信用封筒、を送付
    http://jclt.jp/posting_rule
  4. 4)受験 合否の発表は郵送にて通知されます。

講習を計12回以上受ける必要があり、取得には時間が必要になります。

●リンパ浮腫療法士の資格取得にかかるテストの費用、更新方法とは

リンパ浮腫療法士の資格取得試験は一年に一度、10月の中旬に開催されます。
まず最初に日本リンパ浮腫治療学会の会員であることが必要で、会費をきちんと納めていること、試験料は15,000円で、合格後に登録料として20,000円を納める必要があります。
認定資格は5年間のみ有効となっています。
更新には5年の間にセミナー受講や学会参加をし、30単位を取得する必要があります。
また、最終年度に30症例のケースリポート(リンパ浮腫を5症例以上必ず含むこと)を返信用封筒、更新申請書、更新料20,000円、勤務証明書もしくは推薦状とともに送付し、承認されなければなりません。

リンパ浮腫療法士の資格取得はサブスペシャリティとしてあなたのキャリアアップに

リンパ浮腫療法士の資格取得はサブスペシャリティとしてあなたのキャリアアップに

リンパ浮腫療法士はどのような点で有用な認定資格といえるのか、について解説することにしましょう。

●リンパ浮腫療法士は保険算定も可能で、有益なサブスペシャリティ

リンパ浮腫の治療である複合的理学療法は医療保険の算定対象となっており、資格を取得し治療法などを学ぶことは患者さんのケアの向上につながります。
またサブスペシャリティを持つことは、自身のキャリアアップの上でも大変有用であり、講習会や試験などで学んだ知識は患者さんに還元することができます。
専門知識を有する認定資格は取得にも費用がかかりますが、勤務する施設にとっては重要な知識を持った人材ですので、キャリアアップにも有用な認定資格といえるでしょう。

●リンパ浮腫療法士は特に女性のキャリアアップにも有用

女性にとって、働き盛りの年齢には結婚や出産、育児と仕事とのバランスなどが非常に重要な課題となります。
リンパ節郭清(かくせい)を必要とするような乳がん、子宮がんの術後にリンパ浮腫が起こることが多く、対象となるのは女性の患者さんが多いのも事実です。
女性患者さんにとってはリンパ浮腫治療であるマッサージや弾性包帯などはデリケートなエリアにも及ぶことが多く、女性の治療者であると安心できるという要素もあります。
女性の治療者が好まれやすいため、キャリアを続けたい女性医療従事者にとって有用な認定資格といえるのではないでしょうか。

リンパ浮腫療法士の資格取得は研修、試験をパスする必要があるが、キャリアパスには有用

保険治療の認可が比較的新しいリンパ浮腫治療の資格取得に関してお話ししました。
研修などで得た技術を実務で実践し、効果を得られるということは治療者にとっても充実感を得られるでしょう。
サブスペシャリティの選択、女性のキャリアなどにお悩みの方は一度検討されてみてはいかがでしょうか。

参考:
日本リンパ浮腫治療学会認定リンパ浮腫療法士(2020年12月11日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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