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#リスク管理 #看護

看護師のB型肝炎予防接種はどう実施してる?現状と自己管理

看護師が医療行為をするとき、血液暴露のリスクはついて回ります。
特にB型肝炎は感染症のなかで罹患率が高く、針刺し事故での感染への不安はぬぐい切れません。
今回はB型肝炎予防接種の現状とその後のフォローなど、気になる予防接種事情について取り上げます。

B型肝炎の免疫獲得してますか?B型肝炎予防接種事情

厚生労働省の医療従事者のB型肝炎予防接種に対する考え方

努力義務のため予防接種を行っていない医療施設も

厚生労働省は、血液暴露の危険性がある医療従事者には「B型肝炎のワクチンを接種しなければならない」とし、ワクチンの接種を義務づけています。
しかし、これについて罰則はなく、医療機関が職員に対してB型肝炎の予防接種をすることは努力義務です。

そのため、実際にB型肝炎の予防接種を職員に実施している医療機関と、実施していない医療機関があります。
大学病院・総合病院など病床数・職員数の多い医療機関はワクチン接種をすることで院内感染のリスクを低減させるためほとんどが実施しています。
一方、病床がなく、職員が少人数のクリニックなどはワクチンを実施していない場合もあるようです。

理想は入職前の免疫獲得

看護師の血液暴露のリスクは、病院など医療機関に入職し、患者さんに関わるそのときから始まります。
採血・吸引・トロッカーカテーテルの挿入などの処置で血液や体液に触れるリスクはついて回ります。
血液・体液による感染はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)・HCV(C型肝炎)を抜き、B型肝炎が最も感染リスクが高いといわれています。
過去には院内感染が原因で「一つの病棟内の患者さんにB型肝炎が拡大した」という事例もあります。
看護師が感染媒体とならないためにも、本来であれば入職前に免疫を獲得するのがベターなのです。
病院によっては、「免疫獲得をしていない看護学生の実習を受け入れない」という方針を打ち出しているところもあるほどです。
B型肝炎の予防接種後、免疫獲得後の採血までのスケジュールは7カ月以上かかることになります。
よって、実習受け入れ先が逆算してスケジュールを組み、接種を進める必要があります。

実際のB型肝炎予防接種

実際のB型肝炎予防接種

新入職員の入職時健診・職員の定期検診で感染症の有無・肝炎ウィルスの抗原・抗体を調べます。
抗体がマイナスの職員に対しては、規定にのっとり予防接種が可能です。
健診後1~2カ月後に接種希望者を募る医療機関が多いようです。
病院からはワクチンの接種は強制されませんが、抗体がない職員のほとんどが接種を希望するのが現状。
職員に対するB型肝炎の予防接種は、ほとんどの医療機関が無料で実施しています。
接種は複数日を設定し、会議室などで看護部職員が接種します。

●B型肝炎予防接種のスケジュール

  1. 1)1回目B型肝炎の予防接種
  2. 2)1回目の予防接種から1カ月後
  3. 3)1回目の予防接種から6カ月後

3回目のB型肝炎ワクチン接種終了後、1~2カ月後に再度HBs抗体の検査をし、10mIU/mL以上であれば免疫獲得とします。
ワクチンの接種は20歳代・30歳代など若い世代ほど免疫を獲得しやすいとされるので、入職したらできるだけ早い段階でワクチン接種をしましょう。
一度免疫を獲得していても、数年後に抗体がマイナスになってしまうことがあります。
この場合でも、獲得の既往があれば再度の検査は不要とされているのです。
しかし病床数の多い病院では、職員健診の項目に毎年感染症を付けて実施していることが多いのです。

免疫獲得までに注意すること

注意したいのは予防接種スケジュールの途中で退職・転職などをした場合です。
同じ病院に所属していれば検査データはありますし、スケジュールにのっとってほかの職員とともにワクチンを接種できます。
しかし職場を離れた場合、どこまで予防接種が終わっているか知っているのは本人のみです。
転職などをした場合は検査データの保管に注意し、自らスケジュール管理をし、B型肝炎ワクチン接種の実施をすすめましょう。
転職先でワクチン接種を実施してくれればよいのですが、転職先が予防接種を実施していない場合もあります。
その場合は実施医療機関を探し、自費で受ける必要があります。
一般診療でB型肝炎予防接種を実施している医療機関ではワクチンのコストの幅が広く、自費診療なので価格は自由に設定ができます。
5,000円前後が相場ですが、なかには3回目のB型肝炎ワクチンは30,000円と設定しているクリニックもあります。
事前に問い合わせをする際にトータルのコストや、2回目までは終わっているが受け入れ可能かなど、自分の現状なども踏まえて確認の必要があるでしょう。

自分のワクチン接種スケジュールを把握しておこう

いつどこで予防接種を受けたかを記録しておこう

看護師のB型肝炎の予防接種の現状についてお伝えしました。
病床数・職員数が多い病院ではほとんどが職員に対するB型肝炎予防接種を実施しています。
入職後は早い段階で免疫が獲得できるよう接種スケジュールを組むのがお勧めです。
しかし、もし看護師が医療機関からの転職・退職をした場合は、その後のワクチン接種スケジュールは自己管理が要であることを覚えておきましょう。

参考:
日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版(2021年3月22日引用)
職業感染制御研究会 血液体液曝露後の対応(2021年3月22日引用)
日本医事新報社 (3)医療従事者と予防接種 [特集:今こそ考える成人に必要なワクチン](2021年3月22日引用)
ラジオNIKKEI Monthlyワクチンinfo(2021年3月22日引用)
日本経済新聞 院内感染か、急性B型肝炎で3人死亡 神戸中央病院(2021年3月22日引用)
静岡県病院協会 B型肝炎ワクチン接種後の対応について(2021年3月22日引用)
国立研究開発法人国立国際医療研究センター それぞれの肝臓病について 急性肝炎(2021年3月22日引用)

  • 執筆者

    島谷 柚希

  • 小児外科・整形外科病棟・総合病院の外来などを経て2015年より医療・看護ライターに。並行して派遣看護師としてデイサービス・整形クリニック・健診機関などで勤務しています。看護師歴は20年以上。看護の知識と実践で得たことを糧に、読者様にわかりやすい記事を届けます。

    保有資格:看護師・介護支援専門員

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