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今さら聞けない…!医療従事者が知っておきたい「ADL」の知識と考え方

医療現場でも耳にすることがある「ADL」という言葉。
「IADL」という似た言葉もあるので、その違いがわからなかったり、正しく説明できる自信がないという方もいるかもしれません。
今回はそんな方のために、医療従事者が知っておきたいADLの知識と、考え方においてポイントとなる視点についてお伝えしていきます。

ADLとIADL

まずは基本から!ADLとIADLの違いって?

「ADL」という言葉は病院でもよく用いると思いますが、正式にはどのような単語の略なのか、日本語ではどう訳すのかご存じでしょうか。
また、ADLとの違いが区別されにくい「IADL」と呼ばれる略語ですが、これはどんな意味を持つのでしょうか。
混同されやすいADLとIADLの違いについて確認していきましょう。

●ADLは「日常生活動作」のこと

ADLとは、「Activities of Daily Living」の略です。
日本語では「日常生活動作」と呼ばれることが多いですが、「Activity」という単語の意味から「日常生活活動」ということもあります。
実際に書籍などでも「活動」という表現でタイトルになっているものもありますが、学術論文などでも「日常生活動作」のほうが多用されている傾向にあります。
言葉の使用で迷ったら「日常生活動作」を使っておく方が無難といえるでしょう。
ADLは、食事・更衣・入浴・排泄・整容・移動・コミュニケーションなどが代表例です。
生活するうえで必要となる基本的なセルフケア・身の回りの動作が含まれます。
アセスメントのツールはいくつかありますが、FIMやバーセルインデックスを使うケースが多いでしょう。
病院独自のアセスメント表を作成し、活用している例もあります。

●IADLは「手段的日常生活動作」のこと

IADLは、「Instrumental Activities of Daily Living」の略であり、日本語では「手段的日常生活動作」といいます。
基本的に「IADLはADLのなかに包含されているもの」という位置づけになります。
しかしIADLの「手段的」という言葉の意味は、少しわかりにくいかもしれません。
これは生活技能や健康管理、社会技能など、環境との相互作用が含まれるものというイメージで認識しておくと良いでしょう。
具体的な例としては、買い物・料理・電話・洗濯・家計の管理などが挙げられます。
生活に必要な基本動作というよりは、応用的な内容が含まれてくるので、対象とする患者さんの層によってはIADLという表現を使わない病院も多いかもしれません。

「しているADL」と「できるADL」を評価すること

ADLは、単純にできる・できないだけではなく、実際に生活のなかでしているのかどうかという観点も必要になります。
たとえば、リハビリの場面ではできているのに、実際に病棟で過ごすときにはしていないADLというものは少なからずあります。

●リハビリではできるのに、病棟ではしていない

このように能力や機能的に「できるADL」と生活場面で「しているADL」に開きがある場合には、その原因を考えて介入していくことが必要でしょう。
実際、筆者の経験としても、リハビリで行ったADLの評価と、病棟スタッフの評価に差があることはよく経験しました。
病棟ではたくさんの患者さんをケアしなければならず、業務的・時間的な制約があるため、食事や着替えなどは介助しているというケースが多い印象です。
どうすれば「できるADL」が実用的なレベルになるのかを考えながら、アプローチすることがポイントになるでしょう。

●カンファレンスでADLに関する情報共有を

リハビリ室で「ここまでできた」という情報は、カンファレンスなどで共有しておき、病棟のスタッフと連携していくことが必要になります。
連携することで、たとえばリハビリスタッフから看護師・介護士の方に「◯◯さんは手すりをこのように使えば一人で排泄できる」といった情報を提供することもできるでしょう。
逆に、病棟のスタッフがどのような点で課題を感じているのかについても、リハビリ部門と情報を共有していくことが大切です。
このような情報共有によってご本人の自立度が上がり、病棟スタッフの負担も軽減される可能性があるのです。
まずは「できるADL」と「しているADL」の開きがあるかを分析し、必要に応じて情報を共有してみてはいかがでしょうか。

医療従事者が押しつけてしまいがちな「自立」の概念

医療従事者の方は、「ADLを一人で遂行できると、自立しているといえる」と判断する方が多いのではないでしょうか?
これも間違いではありませんが、厳密に考えていくと違った観点も出てきます。
たとえば、「着替えをする」というADLについて考えてみましょう。
時間をかけてでも一人で上下の服を着替えることができれば自立という判断もできますが、なかには「仕事で背中にファスナーのついた服を着なければならない」というニーズがでてくるケースもあるでしょう。
この場合、病院でパジャマの更衣を一人でできれば問題ないというわけではなく、背中まで手が届くだけの関節可動域や、ファスナーをつまむための指の力が必要になります。
同じ「更衣」という活動でも人によってどこまでのレベルを目指す必要があるのかという基準は異なってきます。
また、着替えができても、季節に合った服を選択できないなどの課題があれば、「更衣が自立している」とは明言できないかもしれません。
ADLや自立について考えるうえで欠かせないのは、「その方の生活にとって必要な動作であるかどうか」という視点であると感じます。
その人によって年齢やライフスタイルも異なるため、求められる「自立」のレベルも変わってくるのです。
「一人で着替えることができたから終わり」ではなく、その方が必要とする水準で自立できているのか、達成できない場合はどんな物的・人的なサポートがあれば良いのかを考えていくことが大切でしょう。
現実には「一人でできれば自立」という考え方も定着していると思いますが、その方の生活におけるニーズを意識した関わりを考えると、本質的に必要となるケア・リハビリを提供できるかもしれません。
肝心なのは、医療従事者が患者さんのライフスタイルを考慮せず、自身の基準で「ここまでできたら自立」と一方的に決めつけてしまうことだと思います。
一人ひとりの生活に応じて必要なフォローを提供していくことが望ましいでしょう。

まとめ

今回は、ADLの基本的な意味を確認し、実際に臨床場面で使える評価の視点をお伝えしました。
患者さんの自立を考えるうえで、ADLやIADLのなかにどのようなニーズがあるのか、その確認は欠かせません。
人によってどこまでの自立が必要なのかは異なるため、年齢やライフスタイルを考慮しながら、リハビリやケアを提供していくことを意識してみてはいかがでしょうか。

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