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発達障害の療育では早期介入が肝心!家族の理解を促すために医療者ができること

発達障害の子どもへのアプローチでは、家族の理解・支援を欠かすことができません。
障害は必ずしもすぐに受容できるわけではありませんが、あとから「もっと早く受け入れるべきだった」と後悔される親御さんもいます。
発達障害が疑われる場合には、早期から療育を開始することが望ましいですが、医療従事者としてどのように対応していけば良いのか解説していきます。

まずは医療者の理解が大切 早期に療育を始める必要性

「発達障害」や「大人の発達障害」という言葉が社会的に広く認知されるようになり、幼稚園や学校の先生はもちろん、多くの人に知識が普及しました。
それによって「発達が気になる子ども」が増え、医療機関では診察やリハビリを受けるために、ある程度の期間待たなければならない例も出てきました。
筆者が勤めていた病院では年々受診する子どもが増えた経緯から、診察もリハビリも常時予約が混み合っている状況が続いていました。
その結果、どうしても療育が始まるまでに時間的なインターバルができたり、これまで通っていた方に対する介入の頻度が少なくなったりするという事態に陥っていたのです。
十分に人材が確保できた病院では、お待たせすることなく対応できていると思います。
ただ、ほかの病院のスタッフから話を聞いても、「発達障害の外来が飽和状態」というエピソードを耳にすることは少なくありません。
もちろん環境的に制限があり、大々的に療育を展開できないという施設もありますが、少なくとも医療者が早期に療育を始めることの必要性を再認識すべきといえます。
医療者側の問題で早期療育を実現できなくなることがないよう、人員確保・人材育成も含めて、できる対策を講じていくことが求められるでしょう。

療育開始が遅れると二次的な問題も…!

一般的にさまざまな疾患で「早期介入」の必要性について提唱されるようになり、脳卒中のリハビリなどでも超急性期から訓練を行うケースも増えてきています。
発達障害に関しても同様であり、療育は早期から始めたほうが良いのです。
療育を早期から始めなかった場合の影響としては、次のようなものが挙げられます。

  • ●幼稚園や学校でストレスを受ける
  • ●なにをやってもうまくいかないと自信を失う
  • ●教科学習に遅れが生じる
  • ●対人関係のトラブルをかかえやすい
  • ●青年になってからも社会に適応しにくくなる

上記は子どもに及ぶ可能性がある影響ですが、家庭内でも親が養育困難を感じて、ストレスを受けてしまうことがあります。
家庭・幼稚園・学校でトラブルが生じる前段階から、できるだけ早く療育を始めることが大切でしょう。
家庭で養育困難によるストレスがかかっていれば、親御さんに子どもの特性をお伝えして、対応の仕方を学んでもらうこともできます。
また、幼稚園に入るまえには、グループセラピーを通して集団活動の経験を積むことができます。
小学校に入ってからも体育・図工・音楽などの教科学習、コミュニケーション面における課題をともに解決していくことができるでしょう。
こうした適切な介入がないままで時間が経過してしまうと、どんどん悪循環に陥ってしまうため、医療者側が促していく必要があるのです。

早期療育に向けて、親の受け入れをどのように促すべきか

「子どもが発達障がいであるということを認めたくない」「病院に通うことには抵抗がある」という親御さんはしばしば見かけます。
ただ、こうした姿勢によって、適切な療育を提供できないままでいるケースもゼロではありません。
医療者側がどのように理解を促していけば良いのか、その一助となるポイントをお伝えしていきます。

●発達検査の必要性とその解釈を理解してもらう

発達障害が疑われる子どもでは、いくつかの発達検査を行います。
なかでも子どもの親が敏感に反応する傾向にあるのが、WISC-IVなどの「知能検査」です。
言語性IQ・動作性IQ・全検査IQの結果が算出されますが、やはり「IQ」という一般の方でもなじみがある指標を使うためか、この結果を過剰に気にされる方がいます。
発達障がいの子どもの場合は得意・不得意の差が激しく、項目間で結果にばらつきがあることが多いです。
このばらつきの理由を考えることで子どもの認知特性をひも解き、日々の関わりに活用していけるため、発達検査のデータは非常に有用です。
親御さんのなかには「障害があるか判断するためのもの」と検査の意味を誤解されている方もいますが、この検査によって子どもの特性を理解できることをお伝えしてください。
また、親御さんのなかには、どんなに項目にばらつきがあっても、「全検査IQが平均的だから問題ない」と捉える方もいます。
まずは発達検査の必要性を理解していただき、検査を1〜2年おきに受けてもらうことが最初のステップですが、結果の解釈についても誤解がないようにお伝えしていく必要があります。

●百聞は一見に如かず!実際の療育場面を見てもらおう

同じ診断名がついても、「育て方のせいではなくて安心した」と前向きに捉える方もいれば、「うちの子は普通なのに」という姿勢の方もいます。
また、母親が理解を示しても、父親が「病院に行くなんて…」と拒否的な姿勢を示すなど、両親で考えが異なるケースもあります。
こうしたご家族への対応としては、早期から介入を始めることでどんな効果・メリットがあるのか、丁寧に説明していくことが必要でしょう。
筆者の経験上、最初のうちは乗り気でなくても、実際に作業療法などを受けていただき、その経過としてどんな変化があったのかをポジティブにフィードバックすることが有効であると感じます。
「病院に通って、セラピーを受けていただくことで、こんなことができるようになった」という具体的なメリットを、定期的に示していくことが大切になります。
実際に病院で取り組むリハビリは大人のように堅苦しいものではなく、遊びを介したセラピーが主体になるため、最初は拒否的であっても「これなら通ってもいいかな」と感じてもらえるケースが多いです。

●家族にもホームプログラムに協力してもらう

発達障がいの子どもの療育では、良い意味でご家族を巻き込み、連携していくことが大切になります。
親御さんも少なからず養育の難しさを感じているケースがあるので、そういった場合には特に奏功する可能性があります。
自宅でできるホームプログラムを提案し、実施してもらうことによって、親としても「子どものためになることをできている」という手応えを感じることができます。
ご家族と信頼関係を築き、連携しながらアプローチすることで、親の理解や協力体制の獲得につながるでしょう。

まとめ

発達障がいの子どもへのアプローチは早期から始めることが望ましいですが、医療者側の課題、ご家族の認識によって実現が困難になるケースもあります。
医療者側は人材や設備の問題で十分に対応できている場合もあるため、あらためて早期介入の必要性を認識し、できる対策を行っていく必要があるでしょう。
また、療育においては親の関わり方がキーポイントとなるため、医療者側から上手に理解を促していきましょう。

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