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急性期病院での医療安全を考えよう!病棟でのリハビリで気をつけるべきポイントをご紹介!

急性期でのリハビリでは、早期離床や廃用予防などのワードを耳にすることが多いですが、実際に働いてみると安全管理の重要性に気づかされます。
点滴や尿道カテーテルなどのルート類も多く、ヒヤヒヤしながら日々の臨床を行っている若手セラピストも多いでしょう。
本記事では、急性期病院で医療安全委員を務めていた筆者の経験から、臨床で気をつけておきたいポイントについて解説します。

病室でのリハビリも

急性期病院では病棟でのリハビリが主流!?

まずは急性期病院でのリハビリについて、その目的と必要な視点について解説します。

●急性期病院でのリハビリは早期離床!

リハビリといえば、プラットホーム上での関節可動域訓練や、平行棒での歩行練習がイメージしやすいですが、近年の急性期病院ではベッドサイドでのリハビリにシフトしつつあります。
その理由は以下のとおりです。

  • ◯病態が安定していないため、起きる練習などが中心となる
  • ◯日常生活動作(ADL)確立のためには、病棟スタッフと早期からの連携が重要である
  • ◯点滴やモニター類などの医療機器が多く、移動が制限される

起きる練習や座る練習が中心であれば、わざわざリハビリ室へ移動するよりはベッドサイドで実施するほうが、時間的にも安全性の面からも効率がよいでしょう。

●急性期のセラピストはなにを考えている?

早期離床という言葉には注意が必要であり、単に1日も早く起こせばいいというわけではありません。
バイタルチェックや運動機能の評価といった臨床的な介入と、周囲の機器や環境の把握も重要な業務となります。
早期退院のためとはいえ、離床を急ぐあまり事故を起こしては本末転倒ですし、場合によっては重大なトラブルに発展することもあります。
急性期で働くベテランのセラピストは、身体面・環境面の評価に時間を費やすことが重要であると理解しています。

●インシデントとアクシデントの違いは?

インシデントとアクシデントの違いは?

インシデントとは、誤った医療行為が患者に実施される前に発見された場合や、実施されたが結果として患者に影響を及ぼさなかった事象のことです。
その一方で、ミスによって患者に処置をしなければいけなかった場合や、結果として重大な後遺症が残ってしまった事象をアクシデントと呼びます。
また、インシデントの前段階としてヒヤリハットという言葉もありますので、以下に転倒事象を例にとって考えてみましょう。

ヒヤリハット 目を離した間に患者さんが転倒しそうになった
インシデント 目を離した間に患者さんが転倒した
アクシデント 患者さんが転倒して脚を骨折した

まずは安全なリハビリ環境を整えよう!

具体的に安全な環境とはどのような状況をさすのでしょうか?
その代表例を以下に挙げてみます。

●点滴や尿道カテーテルのルート類を管理する

尿道カテーテルや点滴のルートをはじめ、人工呼吸器など管理しなければいけないルート類は多いです。
管理のポイントを以下の表にまとめてみました。

ルートの種類 事故の例 対策
末梢点滴 ●接続部の外れ
●圧迫や捻れによる閉塞
●動く前に接続部の緩みを確認する
●動いたあとの位置関係を予想しておく
尿道カテーテル ●接続部の外れ
●キャップの破損による漏出
●動いたあとの位置関係を予想しておく
●床から少し高い位置で管理する
人工呼吸器 ●気管チューブとの接続外れ
●蛇腹に溜まっていた水分が気管に逆流
●接続部を把持した状態で体を動かす(2人で対応)
●蛇腹は接続部より高い位置にしない

●急変時に備えておく

離床練習をしている際、血圧が下がって意識状態が悪くなることや、嘔気を訴えたりされることがあります。
万一のときに備えて、座位練習中はベッドをフラットにしておくことや、ナースコールを手元に準備しておくことも有用です。
また、吸引器具が準備されているか、酸素吸入のためのチューブが用意されているかも確認しておくといいでしょう。

●ベッド周囲の環境を整備しておく

これは案外盲点かもしれませんが、車椅子の位置やブレーキの有無をはじめ、ごみ箱やお茶の置き場所などにも気を配っておきましょう。
お恥ずかしい話ですが、筆者が若い頃に経験したミスを以下に挙げます。

  • ◯自分が立ち上がったときに机の上に置いてあったお茶がこぼれた
  • ◯ベッドの高さを下げたときにごみ箱が挟まっているのに気づかず破損した
  • ◯患者さんが不意に車椅子を掴んだ際に、ブレーキがかかっていなかったため転倒しかけた

など、小さなことですが数え上げればキリがないです。

事故を防ぐ具体的な取り組み3選とは!?

ここでは、筆者がおすすめする医療安全に関する取り組み例をご紹介します。

●2人以上で対応することを覚えよう!

自分の担当患者だからといって、決して1人で対応しなければいけないということではないです。
特に若手セラピストでは「こんなこと聞いたら怒られるかも…」とか、「1人で対応してこそ一人前!」と思い込んでいるかもしれません。
しかし、変なところで意地をはってミスをするよりは、安全面を重視して先輩と一緒に行動することを覚えるとよいでしょう。
また、担当の看護師さんに声をかけて手伝ってもらうことも有用です。
「忙しそうだから…」と気が引けるかもしれませんが、トラブルを起こすほうが看護師さんにとっては業務の負担になります。
臨床経験が10年以上の筆者でも、必要であれば後輩や看護師さんに声をかけて手伝ってもらうこともあります。
病棟スタッフとリハビリ方法や注意点などを情報共有できるので、連携という意味でも有用だと思います。

●まずはベッドの周りを1周してみよう!

「なぜ?」と思うかもしれませんが、この対策は案外有用です。
ベッド周囲の状況で見るべきポイントは以下のとおりです。

  • ◯尿道カテーテルがどこかに隠れていないか?
  • ◯ごみ箱や椅子がベッドの昇降範囲にないか?
  • ◯起きる場合、点滴ルートの長さは十分か?
  • ◯医療機器のコンセントは接続されているか?

他には、ルート類ではありませんが、認知機能の低下がある患者さんの場合では、興味を惹くものが周囲にあると、不意に手を伸ばすことで転倒・転落の恐れがあるため注意しましょう。
機器のコンセントに関しては、接続されていることが当たり前と思うかもしれませんが、検査から帰ってきたあと、病棟スタッフが電源プラグを差し忘れていることもあります。
急にアラームが鳴って慌てることがないように、ルート類と一緒に確認しておきましょう。

●危険予知トレーニングで管理能力を鍛える!

短時間の勉強会が効果的

ある場面を想定して、その状況にどんな危険が潜んでいるかを複数人で検討します。
若手の目線とベテラン勢の目線の違いを共有できることや、実際に同じ場面に出くわした際に事故を未然に防ぐ効果があります。
筆者の施設では、週に1回のペースで全スタッフ参加型のミニ勉強会を開催しています。朝礼後の5分程度という短い時間ですが、若手スタッフの医療安全研修の一環として非常に役立っています。
お題提供に関しては、各スタッフが輪番制で担当しており、臨床現場の写真やユニークなイラストなどを用いて楽しく学ぶことができる点がおすすめです。

まとめ

本記事では、医療安全の観点から急性期でのリハビリで注意しておきたいポイントについて解説しました。
急性期でのリハビリは、安全性が担保されたうえでの早期離床が重要であり、どこに危険が潜んでいるかを見極める能力が必要となります。
重大な事故は患者さんの被害だけでなく、職場全体が不利益を被ることになるため、ぜひ皆さまも医療安全について考えてみてください。

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参考:
厚生労働省 医療安全推進総合対策〜医療事故を未然に防止するために〜(2018年2月17日引用)
中央労働災害防止協会ホームページ(2018年2月17日引用)
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