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リハビリ病院の悩み

継続看護につなげるために。訪問看護師が看護サマリーから知りたいこと

看護師ならば誰でも看護サマリーを書く機会があります。
時間のかかる面倒なもの、筆者も以前はそう思っていました。
しかし訪問看護師である現在は、担当看護師さんからいただく看護サマリーを穴があくほど眺めています。
利用者さんに継続した看護を提供するために、筆者ら訪問看護師にとって看護サマリーは大切な手掛かりなのです。

看護サマリーは、訪問看護師がその人を知るために一番重要なツール

2008年の診療報酬改定では、病院に退院調整加算が新設されました。
これによって地域連携室などの窓口が設置され、病院との連携が取りやすくなったと実感しています。
筆者ら訪問看護師も退院調整会議に参加することが増えましたし、退院調整看護師とも顔なじみになり、気持ちよくやりとりができています。
しかし、退院調整会議が実施されるのは優先度の高い一部の患者さんに限られています。
現在も訪問看護師は、ケアマネジャーからのご依頼のもと、いただいた看護サマリーを頼りに初回訪問の準備をすることのほうが圧倒的に多いのです。
そのため看護サマリーの情報が少なければ、利用者さんをほとんどイメージできないまま、ご自宅へ伺うことになります。
しかも、利用者さんは入院中の情報は、もれなく訪問看護師に引き継がれていると考えているのか、「訪問看護師は入院中のことをすべて知っている」と思っていらっしゃることが多いです。
それなのに、事前に利用者さんが不安に思っていることを訪問看護師が知らなければ、利用者さんに不信感を抱かせてしまうことになってしまいます。
よって看護サマリーとは、看護師同士の申し送りという役割だけではなく、訪問看護師と利用者さん、ご家族が信頼関係を築く第一歩としての役割も担っているのです。

課題を明らかにするために。退院支援のプロセス、教えてください

前項で退院調整会議はすべての患者さんに実施されるわけではないとお話しましたが、退院支援はすべての患者さんが対象になります。
たいていの病院では、退院支援マネジメントの第一段階として支援が必要か否かのスクリーニングが入院早期になされます。
そして、「支援なし」の患者さんは、退院後にすぐ訪問看護が必要になることはありません。
「支援が必要」である、医療依存度が高いままでの退院が予測される患者さん、介護上の課題が多い患者さんは、入院中から病院と連携していくので知りたい情報は比較的得やすいです。
しかし、病院は支援が必要なすべての患者さんに対し、入院中から地域と連携して、事前訪問を受け入れて、会議を開いて…ということは不可能であり、優先度の高い患者さんから対応していくしかありません。
そのため必然的に「支援の必要性はあるが優先度が低い」患者さんの情報は、看護サマリーに頼らざるを得なくなります。
そう言いながら訪問看護師になる前の筆者も、どんな情報を提供すれば役立つのかを意識して看護サマリーを書いたことはありませんでした。
そこで訪問看護においてぜひ提供していただきたい情報を、以下で具体的にお伝えします。

●今回の入院の経過と看護の関わり、今後の予測と、本人・家族の理解

慢性疾患やがんなど、退院後も治療が続く場合は特に重要な情報です。
ほとんどの看護サマリーでは入院中の経過は丁寧に書かれていますが「どんな看護が行われたのか」は具体的な情報の少ないことが多いです。
入院中の看護の関わりを詳しく知ることは、直接継続看護につながりますから、一番知りたい部分なのです。
また、本人や家族に対する病状や予後についての説明や受容も重要なポイントです。
「予後の説明が誰にどこまでされているのか」「どう理解しているか」は、訪問看護師の不用意な発言を避けるために必ず事前に確認したい情報となります。

●現在のADL、介護の量と内容

病院でのADLと自宅でのADLは同じではありません。
その一例をご紹介します。

喜一郎さん(仮名)78歳
小脳梗塞で手術後の患者さんです。
小脳失調症状はありますが、明らかな麻痺はありません。
退院調整会議で、トイレ介助を2人体制で行っていることが分かりました。
奥様と二人暮らしですから、2人体制の継続は不可能です。
病院として、リスクマネジメントの視点から安全策をとっていることは、もちろん理解しています。
ただし、退院にあたっては、奥様ひとりの介助でトイレへ行けるのか、ポータブルトイレのほうがいいのか、または奥様ひとりではベッドから起こすことも難しいのか「可能なADL」の確認と、ご本人と奥様が「望むこと」をすり合わせて介護の量を明確にすることが大切です。
患者さんが「歩けるようにしてほしい」と希望して介助歩行まで可能になったものの、実際には自宅で介助できる人がいない、ということもありえるのです。
よって、病院でのADLだけでなく、自宅でのADLを見越した上での情報がほしいです。
また、もう一つあらかじめ自宅の環境整備や福祉用具を準備することができるため、「どうすれば自立できるのか、介護が楽になるのか」も、確認したい情報です。

●医療処置・管理について

退院後も継続して医療処置が必要な患者さんには、欠かせない情報です。
具体的には、下記の情報が挙げられます。

  • ○本人・家族のセルフケア能力と管理能力
  • ○病院で行った指導内容と理解度、自立度
  • ○処置に必要な物品と調達方法

患者さん本人と主介護者の方に対し、技術の習得を目指して指導が行われることと思いますが、指導内容は病院によって多少の違いがあるものです。
医療者からすればささいな違いであっても、患者さんはそのささいな違いに戸惑ったり自信を無くしたりすることがあります。
そのため在宅でも、できる限り病院と同じ方法で指導を継続したいと考えています。
時々指導に使ったマニュアルを看護サマリーと一緒に提供していただくことがあるのですが、これは大変参考になります。
またそのとき、手技の不安な部分にチェックやコメントが残されていれば、その部分を強化できるような計画を立て、訪問頻度を調整して問題を早期に解決することができるため、あればぜひほしい情報の一つです。

次に、衛生材料など処置に使用する物品は、手に入りやすいものへ変更を検討、調達方法の確認などが必要です。
在宅では物品が不足しても、病院のようにすぐに調達できたり、ほかの病棟から借りたりはできません。
物品の調達には、ある程度時間が必要ですので、看護サマリーに何日分手元にあるのか記載していただくと、あらかじめ調達日を確認することができます。
在宅では看護師が常にそばにいることはできないので「分からない」「できない」「足りない」はできるだけ避けたいのです。
利用者さんに不必要な不安を与えないためにも、先回りして準備することが大切であると考えています。

まとめ

一方的に筆者の要望を伝える記事になってしまいましたが、真意は看護師同士、よりよい連携がしたいということにつきます。
看看連携の強化が叫ばれ、各地で勉強会や交流会が開催されるようになってきました。
筆者も近くで開催される会には積極的に参加しています。
今後このような機会がさらに増え、職場の垣根を越えた連携ができることを期待しています。

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