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診療は対面だけではない!遠隔診療をうまく活用して、患者が通院をやめてしまうことを防ごう

医療関係者のなかには、遠隔診療に抵抗を持つ方も多いのではないでしょうか。
もちろん遠隔診療にはさまざまな制約があります。
しかし対面診療にこだわるあまり患者さんがきちんと通院しなくなれば、病気の悪化にもつながりかねません。
IT技術が普及した現代では遠隔診療をうまく使い、患者さんに受診を続けてもらう工夫も必要です。
そこで今回は、遠隔診療で通院の継続を促す方法についてお伝えします。

どうして患者さんはきちんと通院してくれないのか?

「体調が悪いから病院で治療を受ける」ということは、あたりまえのようでいて実はそうではありません。
また、治療を受け始めたものの、患者さんが通院を中断してしまう場合もあるでしょう。
その理由としては、もちろん通院が面倒ということもあります。
しかしなかには、通院すること自体が体力的な負担になる、医療機関が遠方で交通費がかかるなどの理由で、通院を断念するケースもあります。

●通院が体力的な負担になる

慣れない通院は、誰でも疲れるものです。
特に高齢者や骨粗鬆症患者などは、健康な人よりも通院の負担が重くなります。
病院から帰ったら疲労困ぱいでなにもできない、といった状態では、通院をやめるという選択をするのも致し方ないことかもしれません

●自宅から医療機関まで遠く、交通費もかかる

すべての患者さんが交通至便な市街地に住んでいるとは限らず、特に山間部にお住まいの患者さんは、通院だけで一日がかりという場合も珍しくありません。
さらに車の運転をしない方の場合は、1日2~3本しかない路線バスで通院するケースもあります。
このような場合は時間も交通費もかかりますから、通院を断念するきっかけになるでしょう。

遠隔診療が可能なITサービスが続々と登場している

遠隔診療は先駆け的存在である「ポケットドクター」をはじめとして、すでに800以上の医療機関で使われている「CLINICS (クリニクス)」など、さまざまなサービスが登場しています。
ここでは遠隔診療のサービスにはどのような特徴があるか、解説していきます。

●ビデオチャットを用いて遠隔診療を行う「CLINICS (クリニクス)」

株式会社メドレーが提供する「CLINICS」サービスは、ビデオチャットを用いて、患者さんの映像や声を見聞きしながら遠隔診療を行うシステムです。
2018年3月現在、800以上の医療機関で使われています
予約から診療、会計までをこのサービスで行えますから、医療機関で別途予約表などを作る手間は不要です。
患者さんは都合のいいときに、パソコンやスマートフォンアプリで空き時間を探して予約することができます。
受診もパソコンやスマートフォンがあればどこでも可能ですから、患者さんが来院する手間や負担を軽減することができます。
医療機関で導入する際に必要なものは、以下の通りです。

  • 〇インターネット接続可能で、Google Chromeブラウザーがインストールされたパソコン
  • 〇外付けのマイク
  • 〇外付けのカメラ
  • 〇スキャナー(明細を送付する場合)

●スマートフォンアプリを使って遠隔診療を受けられる「ポケットドクター」

ポケットドクターは日本初の遠隔診療サービスで、さまざまな医療機関で利用されています。
CLINICSと同じく、予約から診療、会計までを行うことができるサービスです。
予約を患者自身で行うことも、CLINICSと同様です。
ただし遠隔診療ポケットドクターでは、患者はスマートフォンまたはタブレットでの受診のみとなります。
iPhoneをお使いの患者さんなら、オムロンヘルスケアの健康管理アプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」で収集した血圧や歩数計などのデータを、ポケットドクターと連携させることができます。

整形外科の医療現場でも遠隔診療は行われ始めている

遠隔診療が難しく思われる整形外科でも、複数の医療機関で遠隔診療が行われています
もちろん、すべての疾患において遠隔診療で対応できるわけではありませんが、どのような使い方がされているのか、運用事例をとおして確認していきましょう。

●実際の運用事例をご紹介

整形外科では静岡県の「きたはらクリニック」や、兵庫県の「たかひろクリニック」などで、CLINICSを用いた遠隔診療が行われています。
また大阪府の「希ファミリークリニック」では、ポケットドクターを用いた遠隔診療が行われています。
いずれの医療機関も、以下のような理由で通院が難しい方を対象としています。

  • 〇遠方に住んでいる
  • 〇体が不自由
  • 〇仕事や介護、育児などで忙しい

これに加えて、病状が安定しており薬の処方もあまり変わらないことが条件となります。

●どのような疾患で使われているか?

遠隔診療は、主に以下のような疾患で使われています。

  • 〇骨粗鬆症
  • 〇脊柱管狭窄症
  • 〇リウマチ
  • 〇痛風

ただしこれらの疾患であれば、必ず遠隔診療が受けられるというわけではありません。
たとえ患者さんから強い希望があっても、遠隔診療が可能かどうかは医師が判断することになります。

●初診でも遠隔診療は利用できるか?

初診の場合は、自由診療のみ利用が可能です。
再診の場合は、保険診療・自由診療ともに使えます。
ただしどの場合でも、遠隔診療が不適切なケースであると医師が判断した場合、通常の対面診療を受けなければなりません。

●支払方法はどうする?

2018年3月現在、支払方法はクレジットカードのみとなっています。
ただしポケットドクターの場合は、次回来院の際に対面決済する方法も選択できます。

●薬の処方はどうする?

薬の処方は、薬そのものを患者さんの自宅に送る方法と、処方せんを送る方法の二通りがあります。
処方せんを送る場合は、患者さんの近所に調剤薬局があることが条件となりますから、あらかじめ確認が必要です。
たとえば離島や山間部などにお住まいで、薬局まで片道1時間かかるような場合は、薬そのものを送る方法が現実的です。もしくは対応している訪問薬局があればそちらと連携することもよいでしょう。

遠隔診療をより効果的に使うためのポイント

遠隔診療を使うことにより、さまざまな事情で医療機関への通院が難しい方でも、継続的に診療を受けてもらうことができます。
以下では、遠隔診療をより効果的に使うためのポイントについて解説します。

●患者さんの自宅に看護師などの医療職がいると、より効果的に活用できる

もし患者さんが訪問看護などを受けている場合は、そのタイミングに合わせて遠隔診療を受けてもらえるようにすると、より効果的です。
看護師などの医療職がいることによって、医師と患者さんとのコミュニケーションを補助することができます。
また医療職と医師との間では医学的な用語で会話することもできますから、より状況を的確に伝えることができます。
看護師なら医師の指示をスムーズに理解することができるので、正確な処置を行うことが可能になるでしょう。

●対面診療と組み合わせて行うことが基本

遠隔診療は、対面診療と組み合わせて行うことが基本です。
病状が変化したら対面診療に切り替える、という方法ももちろんありますが、基本的には対面診療と組み合わせて行います。
たとえば4週間に1回は遠隔診療を、3カ月に1回は対面診療を行うという使い方をおすすめしてみてはいかがでしょうか。
なるべく患者さんの負担にならないような提案をすることが大切です。

まとめ

対面診療にくらべると、遠隔診療はできることも限られており、またどのような疾患でも対応できるというわけではありません。
しかし高齢者や忙しい方でも診療を受けやすくすることで、治療の中断による病気の悪化を防ぐことができます。
また遠隔診療は、再診なら保険請求も可能です。
遠隔診療のサービスは複数の事業者のなかから選ぶことができます。
患者さんが少しでも診療を受けやすくするために、遠隔診療を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:
株式会社メドレー CLINICS(2018年3月11日引用)
株式会社メドレー CLINICSご利用ガイド(2018年3月11日引用)
株式会社メドレー CLINICS医療機関の方(2018年3月11日引用)
株式会社メドレー CLINICS導入事例(2018年3月11日引用)
株式会社メドレー きたはらクリニック、整形外科・内科外来に遠隔診療を導入(2018年3月11日引用)
株式会社オプティム ポケットドクター(2018年3月11日引用)
株式会社オプティム ポケットドクター(医療機関の方向け)(2018年3月11日引用)
株式会社オプティム 大阪府・医療法人命の冠会 希ファミリークリニック『遠隔診療ポケットドクター』を導入(2018年3月11日引用)
きたはらクリニック オンライン診察(2018年3月11日引用)
たかひろクリニック オンライン診療(2018年3月11日引用)
希ファミリークリニック 遠隔診療(2018年3月11日引用)
日経ビジネスONLINE 事実上の解禁から1年半、遠隔治療のイマ(2018年3月11日引用)
石塚達夫、坂巻哲夫他(編):遠隔診療実践マニュアル 在宅医療推進のために,篠原出版新社,東京,2013,pp.73-78

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