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Amazon Web Servicesを利用した医療クラウドの特徴と、導入事例を解説

医療システムは特有な事情があるため、クラウド化できないと思う方もいるかもしれません。
しかし、医療システムでもクラウド化した事例はあります。
ここではAmazon Web Services(以下、AWSと略)を取り上げ、その特徴を解説していきます。

AWSの特徴

AWSは、さまざまな特徴があるクラウドサービスです。
ここでは主な特徴について、解説していきます。

●世界に先駆けた、最も利用されている商用クラウドサービス

AWSは2006年、Amazonが世界に先駆けて開始したクラウドサービスであり、また世界に3つある主要なクラウドサービスの1つとなっています。

2018年1月に、アメリカのRightScale社が1,000社の企業ユーザーに対して行った調査によると、64%の企業でAWSが利用されているという結果が出ています。
これは2位のMicrosoft Azureを大きく上回るものであり、AWSは最も利用されている商用クラウドサービスとなっています。

●1カ所のクラウドの中に、別々のクラウドやネットワークを構築できる

AWSではAWS Direct Connectを利用することにより、社内設備からAWSへの専用ネットワーク接続を簡単に構築できます。

このネットワーク接続は物理的には1本のケーブルで担っている場合でも、システム上で複数のネットワーク回線を引いているように設定することが可能です。
従ってクラウドサーバー本体は同一の箇所にあっても、別々のネットワークで運用しているように構築することができます。

これによりセキュリティレベルが異なるシステムであっても、同じAWS基盤上で構築・運用することが可能となります。

●安全で迅速なリソースの確保が可能

AWSではCPUやメモリ、記憶領域などのリソースを、いつでも必要とするときに必要な分だけ、迅速に確保することができます。
この機能は、Amazon EC2によって提供されます。
このため従来のように、サーバー本体が来るまで何日も待たされるということはなく、速やかにシステムの構築作業に移ることができます。
また料金についても利用した分だけが課金されますから、IT関連の経費削減にもつながります。

●大量アクセスへの対応もできる

Webサーバーへの大量アクセスは速度低下のみならず、ときにサーバーダウンを引き起こす場合があります。
しかしAWSではAmazon CloudFrontを利用することによりWebサーバーの負荷を軽減するため、大量のアクセスにも問題なく対応可能です。

医療クラウドにAWSを導入した事例

AWSを利用した医療クラウドの導入事例は、日本でもいくつかあります。
ここでは2つの施設での導入事例について、解説していきます。

●国立循環器病研究センターでの導入事例

大阪府にある国立循環器病研究センター(以下、国循と略)は、循環器疾患の高度専門医療に取り組む医療および研究機関です。
病院と研究所、研究開発基盤センターの3施設を一体で運用する、世界有数の施設です。

国循におけるこれまでのIT基盤は、サーバーを施設内に設置して運用する(オンプレミス)ものでした。
しかし以下の課題に対応するため、外部のクラウドサービスを用いてIT基盤の刷新を行うこととなりました。

  • 情報セキュリティなどの観点から、外部のクラウドサービスの方が安全
  • ○循環器病統合情報センターの発足により全国の医療機関からの情報が集まるため、格納すべき情報量の急増に対応することが必要
  • ○2019年7月に新施設への移転が行われるため、クラウドサービスの利用により移転作業の負荷や影響が軽減される

国循の現行システムは、取り扱う情報のレベルに応じて4階層のネットワークがある、複雑な構成となっていました。
この点も踏まえて2014年12月に公募型企画競争による入札が行われた結果、以下に代表される点がAWS採用のポイントとなりました。

  • ○AWS Direct Connectを利用することで、さまざまなネットワークに対しても柔軟に対応可能
  • 5年間の運用コストは、オンプレミスの場合とほぼ同等である

入札から3カ月後の2015年3月にはAWS上に新システムの基盤が構築され、順次移行作業が進められています。
あわせて三井情報株式会社によるリモートでの統合監視も開始されることにより、システム担当職員による運用業務の負荷も下がることが期待されています。

●日本赤十字社での導入事例

本事例はサーバーのアクセスが急増した際の対応として、一時的にAWSを利用したものです。

日本赤十字社では、義援金を受け付けることも主な業務の1つとしており、また一般市民からの信頼もあつい組織です。
東日本大震災では以下のような情報を求めて、日本赤十字社のサーバーに通常の50~70倍のアクセスが殺到した結果、サーバーがダウンしてしまいました。

  • ○緊急医療サービスが受けられる場所
  • ○義援金の申込み方法
  • ○ボランティアを受け付けている自治体や団体

復旧にあたっては早急であることはもちろん、通常よりはるかに多いアクセスに耐えられることも求められました。
このため契約先の業者に社内サーバーの増強を依頼する一方、株式会社サーバーワークスにAWS上での復旧も依頼しました。

サーバーワークスはこれに応じ、Amazon CloudFrontを利用した短時間でクラウドサーバーを構築できる「爆速ホスティング」サービスを無償提供しました。
これにより震災後の混乱のさなかにあった3月14日に、約30分間の作業でサーバーを復旧させることができ、その後のアクセス集中にも通常通りの情報提供が可能となりました。

難しい課題を抱えるシステムでも、AWSを利用したクラウド化が可能

AWSは世界に先駆けた、最も利用されているクラウドサービスということから、サービス内容も豊富かつ高度となっています。
このため複雑なネットワーク構成やセキュリティ要望のある構成でもリソースの提供が可能であり、また速やかな構築作業が開始できるメリットがあります。

また必要な分のリソースを、すばやく提供できるというメリットもあります。
特に非常時における復旧にも、AWSは強力な味方となるでしょう。

関連記事:
医療データを院外に置く選択肢として、医療クラウドを利用するメリットを解説

参考:
ダイヤモンド社 アマゾンのクラウドサービスが独走している理由.(2018年8月9日引用)
RightScale Get the RightScale State of the Cloud Report™.(2018年8月9日引用)
Amazon アマゾンウェブサービスの概要.(2018年8月9日引用)
Amazon AWS Direct Connect.(2018年8月9日引用)
朝日インタラクティブ 「AWS」「Azure」「GCP」を知る–主要クラウドを徹底比較(2).(2018年8月9日引用)※閲覧には、無料会員登録が必要
Amazon 国立循環器病研究センターの導入事例.(2018年8月8日引用)
三井情報 AWS導入事例 国立研究開発法人国立循環器病研究センター様.(2018年8月8日引用)
国立循環器病研究センター センター概要.(2018年8月8日引用)
国立循環器病研究センター 理事長からのご挨拶.(2018年8月8日引用)
情報処理推進機構 情報セキュリティガバナンス.(2018年8月8日引用)
サーバーワークス 導入事例・日本赤十字社様.(2018年8月8日引用)
日経BP 株式会社サーバーワークス 基幹業務のクラウド移行支援で「はたらきやすい世界」を目指す.(2018年8月8日引用)
日本赤十字社 活動資金、国内義援金、海外救援金の違いとは.(2018年8月8日引用)

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