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VR体験を使い、認知症の方の脳を活性化する取り組みを紹介

2010年代後半に入り、VRの技術を使って認知症の治療をしようという試みが行われています。
患者さんがVR体験をすることで、認知症の症状が改善する可能性が高まります。
本記事ではVRの活用で得られる効果と、最新の取り組みを紹介します。

VRの活用で得られる効果と、最新の取り組み

そもそもVRとは?

そもそもVRとは?

VRとは「バーチャル・リアリティ」の略であり、ご存知の方も多いでしょう。
VRと聞くとゲームやアミューズメント施設を連想される方もいると思いますが、実は住宅などの産業分野や医療など、幅広い分野で使われています。
本章では最初に、VRとはなにかという点について解説していきます。

●仮想の世界を、まるで現実に起きているかのように体験できる技術

VRとは「仮想現実」とも呼ばれており、あなたがまるでそこにいるかのように体験できる技術です。
たとえばあなたがアニメの世界に入り込んで活動し、目の前で見ている世界が現実そのものという体験ができます。
これを「没入感」と呼びます。

身近な一例として、住宅展示場で完成後の住宅を体験してもらうことが挙げられます。

●手術など、医療用のサービスとして実用化されている

手術など、医療用のサービスとして実用化されている

VRは、すでに医療向けのサービスとしても実用化されています。
この1つとして、Holoeyes株式会社が提供する医療VRシステム「HoloeyesXR」があります。
HoloeyesXRはCTなどの医療用データを3Dデータ化し、専用のVRゴーグルなどを用いてVRを体験するサービスです。
これにより関心領域の位置関係がわかり、若手医師のトレーニングや手術前のシミュレーションなどに役立てることができます。

VR体験により期待される効果

医療をはじめさまざまな分野で使われているVRは、認知症の分野でも活用が期待されています。
ここでは認知症の方がVR体験をすることで、期待できる効果を解説します。

●リハビリが楽しくなる

VR体験により、以下のような題材を用いた課題が使えるようになります。

  • ○患者さんの思い出がある、またはなじみ深い風景を用いた課題
  • ○患者さんが、まるで主人公になったような課題

これにより、患者さんにとって親しみやすく身近なものを、リハビリの題材として使うことが可能です。
従って、リハビリは今に増して楽しい時間へと変えられます。

●患者さんに合った、効果的なリハビリメニューが作成できる

VRとAIを使うことで、作成できるリハビリメニューのバリエーションは増えます。
このため、患者さんそれぞれに個々のリハビリメニューを作成することが可能です。
また、進捗状況に応じたメニューの修正も柔軟にできます。

従ってVR体験を使うことにより、患者さんの回復状況に合わせたリハビリメニューの計画や実行が可能です。
このことにより効果的なリハビリを行うことや、早期の回復が期待できます。

VR体験を使った認知症の治療は、実用化されている

認知症の治療にVR体験を用いる方法は、すでに実用化されています。
ここでは認知症の治療に役立つ、2つのサービスを解説します。

  • ○Virtue社の「LookBack VR」
  • ○株式会社テクリコの「リハまる」

●LookBack VR

LookBack VR

LookBack VRは、認知症患者のために開発されたVR体験のサービスで、回想法が使われていることが特徴です。
このサービスは「過去の記憶はより残りやすい」という、認知症患者の特徴を利用しています。
また、開発はオックスフォード大学で行われました。

患者さんは3Dヘッドセットを装着し、患者の希望する時代や場所を選んで映像を見ます。
3Dヘッドセットには目の部分をすっぽり覆い隠すようなメガネ型のディスプレイがついており、映像はこの部分に映し出されます。

映像は世界中から集められた「懐かしい映像」です。
たとえば大自然や遺跡、著名な建築物、写真におさめられた映像などが挙げられます。

患者さんは昔にタイムスリップした感覚を味わえ、過去の記憶を追体験できます。
また、まるで自分自身がその場所にいるかのような臨場感も味わえます。
これにより脳の活性化と患者さんの発言が促進され、薬を使わなくても症状の改善が期待できます。

加えてLookBack VRには、以下のメリットもあります。

  • ○利用開始までに必要なトレーニングが少ない
  • ○スマートフォンやタブレットがあれば、自宅でも使える

Virtue社が2018年に行った調査では、およそ6割の患者についてコミュニケーション能力が向上したり、幸福や平穏な状態になるという結果が出ています。

●リハまる

リハまる

リハまるは3Dを用いたリハビリテーションシステムであり、認知機能や高次脳機能障害に特化するという特徴があります。
テクリコと関西医科大学との共同研究により、2017年からサービスが開始されました。

リハまるは、VRに加えてMR(複合現実)やディープラーニングを利用しています。
このため、以下のメリットが得られます。

  • ○3次元空間での課題を提示し、積極的に体を動かすリハビリが可能(たとえば映像のなかだけで蝶を飛ばして、患者さんに捕まえてもらうなど)
  • 立体的な迷路などの複雑な課題も、画面上に提示できる
  • ○タッチパネル式端末により、患者さんの見えている風景をリアルタイムで確認できる
  • ○日々の結果をもとに、翌日行うべき課題を自動的に作成する

また患者さんには3Dメガネのついたヘッドセットをかぶってもらうだけですので、負担が軽いことも特徴です。
このため、患者さんに対して今までと同じ負担で、より楽しいリハビリの提供が見込めます。
加えて医療機関にとっても、限られた人数でより効果的なリハビリの提供が期待できます。

VR体験を用いると、より効果的な治療が提供できる

VR体験は、患者さんと医療機関の双方にとってメリットがある方法です。
患者さんにはリハビリがより楽しくなり、生きがいを感じられるメリットがあります。
また医療機関にとっては患者さんの回復が早くなることや、スタッフの負担が減ることが期待できます。

VR体験は複数ありますので、それぞれの医療機関に最も適したサービスを選び、導入することが可能です。
関心を持たれた方は、調べてみることをおすすめします。

参考:
KDDI VR、AR、MR、SRに続き最近登場した新しい用語『xR』とは?.(2019年3月4日引用)
積水ハウス 積水ハウスのバーチャル住まいづくり VR設計.(2019年3月4日引用)
Holoeyes 広島大学病院 医療向けVR/MRサービス HoloeyesXRの使用経験.(2019年3月4日引用)
Maki Sugimoto Fantastic Voyage HoloEyesVR_Cromakey_VIVE.(2019年3月4日引用)
コトバンク 没入感.(2019年3月4日引用)
日経BP これが「VR×ヘルスケア」最前線.(2019年3月10日引用)
Virtue LookBack-Dementia Care.(2019年3月5日引用)
Virtue LookBack by Virtue.(2019年3月5日引用)
Virtue LookBack: Virtual Reality for People with Dementia.(2019年3月16日引用)
株式会社クーリエ みんなの介護ニュース:VR技術を使った認知症ケアが登場!脳内の血流を増やす「回想法」で認知機能を改善を!.(2019年3月5日引用)
株式会社Viibar VRで過去を追体験? 認知症患者向けのVRセラピー「LookBack VR」.(2019年3月5日引用)
テクリコ リハまる.(2019年3月10日引用)
テクリコ MR/VR 医療ソフトウェアのテクリコが医療ITソリューション展にて「リハまる」デモを実施!.(2019年3月10日引用)
角川アスキー VR・MRで楽しみながらリハビリできる『リハまる』.(2019年3月10日引用)
角川アスキー テクリコ「リハまる」.(2019年3月10日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。
    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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