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ITは医療と介護の連携を推進し、課題の解決に貢献できる

医療と介護の連携は、いま注目されている課題です。
なかでも情報の連携は主な課題の1つであり、ITの活用が解決を推進します。
本記事では医療と介護の連携に関して、ITの観点からどのように課題の解決に向けて貢献できるかという点を解説します。

医療と介護の連携に関して、ITの観点からどのように課題の解決に向けて貢献

医療と介護の連携には、ITに関する課題も見逃せない

医療と介護の連携については、これまでにもさまざまな課題が指摘され、解決に向けた取り組みが行われています。
ITについても例外ではなく、スムーズな連携を実現するために解決すべき課題があります。
ここでは主な課題を2点取り上げ、解説します。

●スピーディーかつ適切なサービスの提供には、ITによる連携が不可欠

スピーディーかつ適切なサービスの提供には、ITによる連携が不可欠

医療、介護とも、それぞれなんらかのIT化が進んでいる箇所は多いでしょう。
一方でそれぞれのシステムを連携して、利用者の情報を共有している地域は増えつつあるものの、まだ多くはありません。
そのため、以下のようなやり取りを行っている施設も多いのではないでしょうか。

  • ○介護施設から医療機関に対して、文書で問い合わせを行う
  • ○医療機関から介護施設に対して、電話で問い合わせを行う

これでは時々刻々と変わる利用者さんの状況に対して、迅速かつ適切なサービスの提供が行えません。
もしITによる情報共有がされていれば、画面を1つ見るだけで対応可能な場合もあります。
従って利用者に適切なサービスを提供するという観点でも、ITによる連携は不可欠です。

●職種や地域ごとに提供される情報の共通化が必要

利用者さんの情報をスムーズに連携するには、医療と介護のシステムをただつないだり、共通で使えるシステムをつくったりするだけでは十分といえません。
なぜなら、以下の課題もあるためです。

  • ○医療機関と介護施設では、用語の定義が異なる場合がある(たとえば、「清潔」という言葉の概念など)
  • ○利用する地域やシステムごとに情報のフォーマットが異なるため、転居した場合はサービス内容が引き継がれないおそれがある

従って情報共有される項目や記載内容についてはルールを決めて標準化を行い、認識の相違を防ぐ必要があります。
また利用者は、転居する場合があります。
どこにいてもサービスを受け続けるためには、全国統一の基準も求められます。

医療と介護がITにより連携された場合のメリット

ITによる医療と介護の連携には、越えるべき課題があることは確かです。
一方で連携された場合には、以下のようにさまざまなメリットが得られます。

●利用者の引き継ぎがスムーズに行える

利用者の引き継ぎがスムーズに行える

ITによる利用者情報の連携が行われた場合、医療機関、介護施設それぞれから、お互いが記録した情報を参照することが可能です。
そのため利用者が施設を移動する際には、「システムに入力しておきましたので、ご確認ください」と伝えればよくなります。
忙しいなか書類を作成する必要がないため、手間が軽減されることがメリットとなります。

●医療機関では普段の様子を知ることができ、適切な診断や対処に役立てられる

医療機関において通院する患者さんの様子を知る手段は診察室が主体となり、普段の様子は自己申告以外にないと考える方も多いでしょう。
もし患者さんの情報を介護施設から連携できれば、施設内および訪問している介護士がチェックしている内容も確認できます。
判断するための情報が増えることになりますから、適切な診断や対処に役立てることが可能です。

●介護施設では医療機関での検査結果を確認し、適切な対処ができる

医療機関に入院していた患者さんが介護施設に利用者として移る場合、情報の提供は書類で行われることも多いです。
書類に記載されていない項目について知るためには、本人や家族から聞き取りをするほかありません。

もし医療機関との情報連携ができれば、利用者さんの検査結果などを確認することも可能です。
これにより高血圧や腎臓疾患に対応した食事を準備するなど、事前に準備を行った上で利用者さんに対応することが可能となります。

ITは医療と介護にまたがる課題の解決に貢献できる

これまで説明した通り、ITで医療と介護を連携することにはメリットがあります。
連携のメリットを生かすことで、以下にあげる課題の解決に貢献することが可能です。

●利用者や家族の手を煩わせることなく、利用者の状況をタイムリーに把握できる

医療と介護のシステムが連携していない場合、相手方が持つ情報を知るためには利用者自身、あるいは家族の協力を得ることも多いものです。
たとえ情報提供に快く協力してくれる方であっても、家族に対して頻繁に確認をお願いすることは申し訳なく、また依頼の手間が煩わしいと感じることもあるでしょう。

もし情報がITで連携されていれば利用者さんや家族の手を煩わせることなく、状況をタイムリーに把握できます。
このため「急に体調不良になって入浴禁止と言われたにも関わらず、情報が連携されていないため予定通り入浴の介護に来てしまった」といった事態が避けられます。
特に医療・介護者用のSNSを活用している場合は、利用者に関わる関係者が提供する情報を1つの画面で確認することも可能ですから、大変便利です。

●ケアマネジャーの負担が軽減される

ケアマネジャーの負担が軽減される

介護職のなかでもケアマネジャーは、書類の作成や確認業務が大きなウェイトを占めています。
もし医療機関に電話で確認したり、照会の書類を作成したりする代わりに、ITで利用者さんの情報を確認できたらどうでしょうか。
画面の操作で必要な情報を取り出せますので、事務作業の負担が軽減されます。
空いた時間で残業の削減や、利用者への訪問ができることもメリットにあげられます。

ITで情報連携を強化することにより、利用者へのサービス向上につながる

ITを用いて医療と介護の連携を行うことは、利用者にフィットしたサービスの提供につながります。
取り組みが普及することで、どこでもよいサービスを受けることが期待できます。
また医療と介護の連携は、コミュニケーションなどの手間をかけずに良いサービスを提供できることも見逃せません。
この点でITを用いた情報連携は、医療・介護従事者の負担を減らしながらサービスを向上できる方法であり、今後の活用が期待できます。

参考:
王斌宇・野田哲夫: IT を活用した地域医療・介護連携モデルの検討―尾道市と出雲市の地域包括ケアシステムの比較調査を通じて―. 山陰研究第11号: 37-55, 2018.
佐々木淳: クラウド型電子カルテシステムと在宅介護システム連携がもたらした医療・介護の質向上の実際と経営的効果. 新医療2018年5月号: 103-106, 2018.
土屋淳郎: 施設間連携システムとしての医療介護専用SNSの利用状況と今後の展望. 新医療2014年9月号: 59-63, 2014.
宇佐美茂男: 現場視点の地域包括ケアシステムに対するICT連携の要諦と要件. 新医療2014年9月号: 77-81, 2014.
高橋肇: 医療・介護連携をシームレスに構築するためのITネットワークの条件. 新医療2014年2月号: 32-36, 2014.
三原一郎: 地域で選ばれるITシステムの要件. 新医療2014年2月号: 37-41, 2014.
須藤修: 在宅医療・介護連携のための情報共有基盤. 病院73巻6号: 426-427, 2014.

厚生労働省 在宅医療と介護の連携のための情報システムの共通基盤のあり方に関する調査研究.
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/6.pdf(2019年7月26日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。
    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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