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ITで認知症の疑似体験が身近に!実態を知ることは効果的な対応への第一歩

IT技術の進展により、認知症の疑似体験が身近となりました。
認知症患者の症状を実体験することにより、身近な人や入所者が認知症になった際に、効果的な対応を取ることが期待できます。
本記事では、ITを活用した認知症の疑似体験について紹介します。

認知症を正しく理解して適切な対応を

IT技術の進展により、認知症を疑似体験しやすくなる

認知症の疑似体験は身体障害者の疑似体験と異なり、車いすや杖などの物を使うことが難しいことが特徴です。
しかしIT技術の進展により、誰でも認知症がどんな症状なのか、疑似体験しやすい環境が整いつつあります。

ITを活用した疑似体験には、大きく分けて動画とVR(仮想現実)があります。
それぞれどのような特徴があるかという点について、説明していきます。

●動画による情報提供

動画による情報提供は、高速のインターネットが定額で利用できることを代表とした、IT技術の発展によって可能となりました。
動画を作成してYouTubeなどの動画投稿サイトへ投稿することにより、インターネットさえつながれば誰でもどこでも情報を得ることができます。
また動画にすることで本や文字ベースの情報よりも実感を持って感じられやすくなり、認知症の症状をより正しく理解してもらうことにつながります。

●VRを活用した疑似体験は、まるで自分のことのように感じられる

VRを活用した疑似体験は、まるで自分のことのように感じられる

認知症の疑似体験には、VRを活用したものもあります。
VRを活用した疑似体験は、以下のものを活用することが特徴です。

  • ○専用のゴーグルやヘッドマウントディスプレイ
  • ○ヘッドホン

大きな特徴として、専用のゴーグルなどを装着することにより装着者の動作に従って映像も動くことがあげられます。
またVRを活用した疑似体験は視覚と聴覚の両方を使いますから、装着者はまるで自分自身が認知症患者になったような経験ができます。
これにより認知症が自分のことのように感じられるとともに、認知症について考えるきっかけを与えることにもつながります。

ITやVRを活用した疑似体験のメリット

ITやVRを活用した認知症の疑似体験には、ほかの疑似体験と異なる3つのメリットがあります。
それぞれについてどのようなメリットがあるか、解説していきます。

●少ない種類の機材で疑似体験が可能

ITやVRを活用した疑似体験は、少数の機材で疑似体験が可能となります。
たとえば動画を視聴するだけなら、スマートフォン1台あれば疑似体験が可能です。
またパソコンを使って視聴するなら、別にインターネット回線を用意することで視聴できます。

一方でVRを活用した疑似体験はもう少し機材の種類が増えますが、それでも多いわけではありません。
一例として株式会社シルバーウッドが開催する体験会の場合は、以下の5種類の機材があれば開催可能です。

  • ○プロジェクター
  • ○マイク
  • ○専用ゴーグル(シルバーウッドで準備)
  • ○ヘッドホン(シルバーウッドで準備)
  • ○参加者の机と椅子

このように認知症の疑似体験をITやVRを活用して行う場合は、少数の機材をそろえることで可能となる点が特徴です。

●一度に大人数が体験できる

一度に大人数が体験できる

ITやVRを活用した疑似体験は、一度に大人数が体験できることも特徴の1つです。
一例として株式会社シルバーウッドが開催する体験会の場合は、同時に50人まで体験することが可能です。
体験者ごとに用意する備品がゴーグルとヘッドホンであることも、大人数での体験を可能としているポイントです。

これに対して障害者の疑似体験をする場合、大小さまざまな備品を用意しなければならないことが多いです。
かさばる備品も多いため、体験会場に多数用意することは難しいものがあります。
たとえば車いすなどを50人分用意しておくことは予算やスペースの関係もあり、なかなか難しいことでしょう。
従って障害者の疑似体験では備品を数個用意し、待ち行列を作ってもらうことになります。

省スペースで大人数が体験できることは障害者の疑似体験と異なり、ITやVRを用いた認知症の疑似体験における特徴といえます。

●VRを活用することで、実感を持って体験してもらえる

VRを活用した疑似体験では、さまざまな状況を自由自在に映像化できることも見逃せません。
代表的なものとして、認知症の方だけに見えている映像があげられます。

装着するゴーグルやヘッドホンにより外界の情報が遮断される効果もあり、臨場感あふれる体験ができます。
これにより実感を持って体験でき、認知症を身近なものとして捉えることが可能です。

疑似体験を効果的に生かすためのポイント

ITやVRを用いた認知症の疑似体験は、認知症の症状などをよく知るために役立ちます。
一方で疑似体験を効果的に生かすには、2つのポイントがあります。
本記事の最後では、それぞれのポイントについて解説していきます。

●認知症は1種類とは限らない

認知症は1種類とは限りません。
茨城県作業療法士会では以下の2つの認知症について、それぞれVRムービーを作成しています。

  • ○アルツハイマー型認知症
  • ○レビー小体型認知症

あなたの身近な人や大切な人は、どのタイプの認知症になるかわかりません。
認知症には複数のタイプがありますから、できるだけ多くの種類について疑似体験を行い、理解を深める姿勢が求められます。

●体験したことをもとに、認知症の方に対して何ができるか考える

体験したことをもとに、認知症の方に対して何ができるか考える

疑似体験は認知症を知るための第一歩ですが、ただ体験しただけでは十分といえません。
せっかく患者さんに近い体験をしたわけですから、どのようなことに恐怖や不安を覚えたかという点も記憶があることと思います。
従って介護職など専門職の方はもちろん、一般の方も以下の事項について考えることが重要です。

  • ○認知症になった方の立場では、どのようなことをしてほしいか
  • ○もし親など身近な人が認知症になったら、何をすることが適切か

上記の通り疑似体験の内容を踏まえて、認知症の方に対して何ができるか考えておくと、将来身近な人などが認知症になった際に役立ちます。

IT技術により認知症を正しく理解することは、患者さんへの適切な対応につながる

IT技術の進展は、実感をもって認知症を理解する新しい選択肢を与えました。
現代では動画やVRを活用することで、認知症を正しく理解することができます。
このことは患者さんが何を望むかを知ることにつながり、より適切かつ効果的な対応につながります。
認知症は介護などの専門職はもちろん、それ以外の方でも関わる可能性があります。
そのときに適切な対応ができるよう、機会を見つけて疑似体験することをおすすめします。

あわせて読みたい:
認知症とせん妄。2つの疾患を理解し、介護の現場における暴力行為への対策へつなげていこう!
VR体験を使い、認知症の方の脳を活性化する取り組みを紹介

参考:
シルバーウッド VR認知症プロジェクト.(2019年8月25日引用)
シルバーウッド 高齢者住宅 銀木犀 VR認知症サンプル.(2019年8月25日引用)
シルバーウッド VR認知症(レビー小体病幻視編)体験者へ当事者の樋口直美さんからのメッセージ.(2019年8月25日引用)
京都科学 潜入!VR認知症体験プロジェクト.(2019年8月25日引用)
LIFULL senior VR認知症体験で、人々の認知症への思い込みを変えたい――シルバーウッド代表取締役・下河原忠道さん.(2019年8月25日引用)
読売新聞 テーブルにヘビが出た!…VRで認知症の人になってみる.(2019年8月25日引用)
朝日新聞出版 VRで認知症を擬似体験 当事者が見ている「恐ろしき世界」.(2019年8月25日引用)
全国老人保健施設協会 バーチャルリアリティ認知症状体験事業報告書.(2019年8月25日引用)
シルバーチャンネル 認知症の人の体験世界(サンプル).(2019年8月25日引用)
茨城県作業療法士会 認知症疑似体験.(2019年8月25日引用)
西尾幸一郎:認知症サポーター養成講座と認知症疑似体験を活用した設計教育プログラムの実践と効果.福祉のまちづくり研究第15巻第3号,2013. (2019年8月26日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。
    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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