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クラウドの活用により、医療機関でも低コスト・迅速に健診を実施できる

医療機関で健診を実施する場合は、多額の投資が必要と思われがちです。
しかし近年ではクラウドの活用により、低コストでスピーディーに健診を始められます。
ここでは健診にクラウドを使用する特徴やメリットを解説し、サービスの紹介も行っていきます。

オンプレミスよりもコストの安価なクラウドがおすすめ

健診で行われる業務

健診で行われる業務

健診では、さまざまな業務が行われます。
なかには通常の診療業務で行わない、あるいは業務内容が異なる場合があるかもしれません。
ここでは業務内容を4つに分け、それぞれについて簡単に解説します。

●予約管理

健診では1人の受診者に対して、さまざまな検査が行われます。
1日に受け入れ可能な人数は限られますから、医療機関のキャパシティをオーバーする恐れがある場合は予約制としなければなりません。
予約を受けつける方法には、電話で内容を聞き取り紙で管理する、Webで受け付けるなどが挙げられます。

●健診当日の業務

健診当日の業務は、大きく以下の3種類に分かれます。

  • 〇受付業務
  • 〇健診項目ごとに検査を実施し、結果を記録
  • 〇会計業務

このうち会計業務は、特定健康診査などのように「受診者に対しては請求しない」場合もあります。
参考:袖ケ浦市 特定健康診査実施機関(袖ケ浦市)(2020年3月25日引用)
協会けんぽ 平成30年度(2018年4月~2019年3月)特定健診のご案内

以下に当てはまる場合は、健診終了時に代金を徴収します。

●結果報告書作成および発送業務

受診者に対して実施した検査の結果を基に結果報告書を作成し、発送を行います。
結果報告書は依頼した保険者(健康保険組合や自治体など)により、フォーマットが指定される場合も多いです。

●請求業務

健診の代金は、保険者や企業が全額、または一部を支払う場合も多いです。
この場合は後日保険者などに請求書を送付し、入金を依頼することになります。

医療機関で健診を行う際の課題

医療機関で健診を行う際には、いくつかの課題があります。
それは健診を専門に行う「健診センター」と異なり、通常の診療業務も並行して実施しているためです。
健診に力を注ぐあまり、患者さんの診療に悪影響を及ぼすことは避けなければなりません。

ここでは3つの課題を取り上げ、順に解説していきます。

●職員の負担をできるだけ抑えたい

医療機関のなかには、通常の診療業務だけでも忙しい場合があります。
このような施設で健診業務をプラスすると、多忙のあまり業務がパンクしかねません。
そのため可能な限りシステム化するなど、職員の負担をできるだけ抑える工夫が必要となります。

一例として予約管理が挙げられます。
受付方法を電話だけにすると、たび重なる電話対応に時間を取られ、また業務も中断し患者に迷惑をかける恐れがあります。
Web予約を取り入れることで電話対応から解放され、負担の軽減につながります。

●健診用サーバーを院内に置く場合は、システム管理の手間が増える

職員の負担軽減など業務効率化を図る目的で、さまざまなシステム会社から「健診用システム」が提供されています。
健診用システムは診療用システムとは別ですから、導入した場合は操作や運用方法を新たに習得し、それぞれ使い分けをすることが求められます。
特に健診用サーバーを院内に置く「オンプレミス」の形態を取る場合は、日常のシステム管理も院内で行う必要があります。

もし院内にシステム部門がない場合は、ほかの職員が兼務しなければならず、大きな負担となります。
またシステム管理業務を外注する場合、契約内容によってはランニングコストが大きくアップするかもしれません。
さらに定期的なシステム更新作業も、金銭的・要員的な負担のひとつです。

●設備投資もできるだけ抑えたい

健診業務のシステム構築は、数百万円以上の高額となりがちです。
もし健診業務から短期間で撤退することになった場合、多額の設備投資をしてしまうと経営に大きな悪影響を及ぼしかねません。
このため健診業務の開始により収益への向上が期待できる場合でも、以下の工夫によりなるべく設備投資を抑えることが求められます。

  • 〇検査設備などは、できるだけ院内にあるものを活用する
  • 〇システム化する場合は、初期費用やランニングコストを抑える

クラウドを健診に活用するメリット

クラウドを健診に活用するメリット

クラウドは、健診業務を開始しようとする医療機関の課題を解決する主な方法の1つです。
健診業務にクラウドを用いることにより、経営・実務の両面でメリットが得られます。
ここでは5つのメリットを取り上げ、解説していきます。

●クラウドとは?パソコンとはどう違う?

クラウドとは、システム運営会社など院外で運用されているサーバーを使って、システムの運用やデータの保管を行うサービスです。
健診サービスを提供する事業者は、クラウドにあるサーバーにあらかじめ健診に必要なサービスをセットする「健診に特化したサービス」として提供することが多いです。
医療機関は必要に応じてデータを確認・登録することができます。

クラウドを用いることで、院内にサーバーを置かなくても健診サービスのIT化を実現できます。
実務上は院内のパソコンを利用してインターネットにつなぎ、健診サービス用のクラウドに接続することが多いです。
このため、今の設備を活用できることはメリットに挙げられます。

●サーバーを院内に置くよりも低コストで運用できる

健診システム用のサーバーを院内に設置する場合、以下の費用が必要となります。

  • 〇サーバー本体の費用
  • 〇システム開発費用
  • 〇使用するソフトウェアのライセンス料

このため少なくとも数百万円の出費が求められるほか、稼働開始後も保守費用などとして、月数万円以上のランニングコストがかかることが一般的です。

一方でクラウドを活用した場合のコストは、月額のサービス利用料となります。
金額はサービスによって異なりますが、なかには月額25,000円程度で利用できる健診システムもあります。
このように、サーバーを院内に置くより低コストで運用できることもメリットとして見逃せません。

●実務に必要な機能がパッケージされているため、迅速に現場で活用できる

健診業務向けクラウドサービスでは、「健診で行われる業務」で触れた内容があらかじめ搭載されているものが多いです。
このためサービスを選定する際に、「これで健診が行えるのだろうか」と悩まずに済みます。
あわせて機能を選定する負担が軽減されるとともに、現場での活用も迅速に行うことが可能です。
院内でサーバーをセットアップする作業もないため、健診業務をスピーディーに始めることに貢献できます。

●常に最新の機能を使える

院内にサーバーを置くオンプレミスのシステムでは、以下のソフトを定期的に更新しなければなりません。

  • 〇基本ソフト(Windowsなど)
  • 〇データベースソフト(Oracle、SQL Serverなど)
  • 〇健診システム本体

クラウドなら、上記の作業はすべて運営会社で実施しますから、手間がかかりません。
医療機関はいつものように接続するだけで、常に最新の機能を利用し続けることが可能です。

●実績のあるクラウドを活用することで、セキュリティも万全

皆さまのなかには、健診データを外部のサーバーに保存することに対して、不安を感じる方もいると思います。
そもそも取得した健診結果は個人を特定できる情報と紐づけることで、受診者の健康状態が把握できるものです。
医療機関の管理が及ばない箇所で情報が盗み取られる恐れもあり、その結果が甚大である以上、二の足を踏む方もいるかもしれません。

これに対して国では厚生労働省、経済産業省、総務省がそれぞれ定めるガイドラインに沿って、クラウドサービスの運用を行うよう定めています。
これらは「3省3ガイドライン」として、以下のガイドラインで構成されています。

  • 〇厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
  • 〇経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」
  • 〇総務省「クラウド サービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」

3省3ガイドラインに準拠するクラウドサービスを利用することで、十分なセキュリティをもった健診システムを導入できます。
これにより受診者の健診データが安全に守られ、安心して健診システムを運用できます。

健診業務に活用されるサービスの例

院内のIT機器を活用し、多額の設備投資をせずに健診業務を始められるクラウドサービスはいくつかあります。
ここでは2つのサービスを取り上げ、それぞれの特徴を解説します。
どちらも3省3ガイドラインに準拠しており、セキュリティ面でも万全です。
またGoogle Chromeで動作し、新たにパソコンなどの購入が不要なこともメリットに挙げられます。

●CARNASは、受診者数が少ない場合におすすめ

CARNASは、受診者数が少ない場合におすすめ

CARNASは予約から請求まで、健診業務を一通り実施できるクラウドサービスです。
月々25,000円の費用で、1日当たり20名程度までの健診業務に必要な機能が揃えられます。
もちろん、協会けんぽへの請求データも作成できます。
このシステムは、日本事務器が提供しています。

IDの発行を受けることで、無料体験が気軽にできることも魅力の1つです。
申し込みから5営業日以内で使い始めることができ、ID発行の翌月末まで試用できます。
この期間内に必要な手続きを行うことで、そのまま有料プランへスムーズに移行できます。

よいことずくめのようですが、制限事項もあります。
サポートは平日の9時から17時までで、問い合わせ方法は専用フォームやFAXに限られます。
また帳票のカスタマイズはできないこと、料金が前払いであることにも留意が必要な点です。

●健診センターレベルの業務に対応する「DAYS daidai」と「YOYAKU Plus」

健診センターレベルの業務に対応する「DAYS daidai」と「YOYAKU Plus」

システム・ビットは、健診業務を遂行する「DAYS daidai」と、健診の予約に活用できる「YOYAKU Plus」を提供しています。
両システムは、連携した利用が可能です。
中規模の健診センターの規模にも対応していますから、医療機関での健診には問題ないケースは多いでしょう。

基本料金とは別となりますが、帳票のカスタマイズにも対応しています。
また医療機関での操作説明も可能です。

一方で、料金は利用形態により異なります。
また導入には、1週間~2カ月の期間が必要です。
導入作業では所定の初期設定が必要ですから、手軽に使い始めるわけにはいきません。

クラウドを用いた健診システムにより、少ない負担で健診業務を始められる

クラウドを活用した健診システムを導入することで、日常の診療業務を続けながら、最低限のコストと業務量の増加で迅速に健診業務をプラスできます。
常に最新の機能を使い続けられることもメリットの1つです。
健診システムの活用を、ぜひご検討ください。

参考:
袖ケ浦市 特定健康診査実施機関(袖ケ浦市).(2020年3月25日引用)
田中医院 健康診断.(2020年3月25日引用)
日本私立学校振興・共済事業団 特定健診結果記入票(学校用).(2020年3月25日引用)
協会けんぽ 平成30年度(2018年4月~2019年3月)特定健診のご案内.(2020年3月25日引用)
Google 3省3ガイドライン(日本).(2020年3月23日引用)
日本事務器 健診システムを比較検討するクリニック・診療所必見!5つのポイントとは?.(2020年3月23日引用)
日本事務器 CARNAS.(2020年3月23日引用)
日本事務器 FAQ.(2020年3月24日引用)
システム・ビット DAYS daidai クラウド型健診システム【月額1万円~でご利用できます】.(2020年3月23日引用)
システム・ビット YOYAKU Plus -健康診断WEB予約&問診システム-.(2020年3月23日引用)
システム・ビット 事例5 -両国きたむら整形外科 様 daidai クラウド型 健診システム 事例-.(2020年3月23日引用)
システム・ビット 事例7 -奈良・三恵クリニック 様 daidai クラウド型 健診システム&KENSHIN Plus&YOYAKU Plus 事例.(2020年3月23日引用)
システム・ビット Plusシリーズ 健診業務支援システム.(2020年3月23日引用)
ゼクト Medical Dock Navigator Z.(2020年3月23日引用)
ノートウェア クラウド型健診システム.(2020年3月23日引用)

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。

    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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