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5Gにより新しい医療がスムーズに行える!期待される内容と課題を解説します

2020年3月に、新しい無線通信「5G」がスタートしました。
5Gが提供する技術を活用することで、さまざまな新しい医療がスムーズに行えます。
しかし一方で課題もあります。
本記事では5Gの特徴と課題に加え、活用が期待される新しい医療について解説します。

5Gが変える遠隔医療

そもそも5Gとはどういうもの?

そもそも5Gとはどういうもの?

「5G」という言葉をよく見かけるようになった方も多いでしょう。
一方で「なんとなく便利そうだけど、なんだかよくわからない」と感じる方も、いるのではないでしょうか。
本記事でははじめに「5Gとはなにか」という点について、歴史にも触れながら解説していきます。

●5Gは2020年にサービスが開始された、新しい無線通信サービス

5Gは「ファイブジー」と読み、スマートフォンに代表される無線通信サービスの1つです。
以下の通り、2020年3月からサービスが開始されました。

サービス開始日 サービス運営会社 備考
2020年3月25日 NTTドコモ サービス開始当初は全国150カ所で利用可
2021年3月末に500都市以上へ導入予定
2020年3月26日 KDDI サービス開始当初は15都道府県の一部エリアで利用可
2020年夏以降、全都道府県の主要都市に拡大予定
2020年3月27日 ソフトバンク サービス開始当初は東京・名古屋・大阪などで利用可能
順次エリア拡大予定

サービスが開始された時点で利用できる方は、一部に限られます。
今後のエリア拡大に伴い利用できる方も増え、5Gが身近に感じられることでしょう。
5Gを有効活用するためには、今から5Gの特徴を知っておくことがおすすめです。

●5Gが持つ4つの特徴

5Gには、以下に挙げる4つの特徴があります。

  • 〇速度は最大20Gbps。これまで以上の高速通信(超高速大容量通信)
  • 〇ほぼリアルタイムの通信(低遅延)
  • 〇1つの基地局で、より多くの携帯端末(スマートフォンなど)を担当できる(多数同時接続)
  • 〇通信の種類ごとに、目的に応じたレベルの通信品質を提供できる

参考:
日本経済新聞社 「5G」を支える技術革新 3つの利用シナリオをバス輸送にたとえる(2020年4月25日引用)
三井情報 話題の5Gとは?(2020年4月25日引用)
ソフトバンク Massive MIMO(マッシブ マイモ) (2020年4月25日引用)

このため5Gの活用は、スマートフォンにとどまりません。
「画面で見ながら手術ロボットを遠隔で操作する」など、鮮明な画像を見ながらリアルタイムで機器を操作するといったことができるようになります。
一方で電気やガスのメーターの値など、リアルタイムな通信が求められないデータの場合は、回線が空いている時間帯を選んで通信するといったことも可能となります。

もっとも普段の電話や通信で使う分には、5Gになったからといって大きな違いを感じないかもしれません。
今までの使い勝手を損なわずに進化した技術の恩恵を受けられる点も、メリットの1つといえるでしょう。

●ところで、5Gの「G」はどんな意味?

通信の用語には「G」のほかにも、GbyteやGbpsなど、似た単位が多いです。
これらに使われている「G」は、先頭につくことで「100万倍」という意味を表します。

  • 〇データを格納できる容量を示すbyte(バイト)
  • 〇通信速度を表すbps(ビーピーエス)

ところが5Gの「G」は、100万倍という意味ではありません。
Generation(ジェネレーション)、つまり「無線通信の世代」という意味を表します。

読者の皆さまは、「1Gから4Gもあったのでは?」と思う方もいることでしょう。
無線通信は、以下の歴史を経て進化しています。

世代 モバイル端末の例 できること
1G 1979年~ 自動車電話
ショルダーホン
携帯電話(1987年~)
通話のみ
2G 1993年~ 携帯電話 携帯メールで、文字ベースの情報をやり取り
3G 2001年~ 携帯電話
スマートフォン(2010年頃から)
写メール
Webや動画の閲覧
4G 2015年~ スマートフォンや携帯電話 テレビ電話や動画配信、チャットなど
5G 2020年~ スマートフォン 任意の視点からスポーツ観戦ができる
遠隔手術、自動運転など

上の表で挙げた通り、無線通信はモバイル端末の枠を超えて、どんどん進化しています。

5Gは医療でもさまざまな活用が期待されている

5Gは医療でもさまざまな活用が期待されている

5Gの活用は、医療でもさまざまな分野で期待されています。
ここでは4つの分野を取り上げ、どのような活用が期待されているか確認していきましょう。

●VRやMRの活用

5Gの持つ高速大容量通信や、現実を自由な視点で見られるといった特徴は、VRやMR(複合現実)にも生かせます。
一例として、以下の実証実験が行われています。

  • 〇災害対応支援や遠隔医療教育
  • 〇患者さんの医療画像をVR化し、術前カンファレンスに活用

VRの活用により、見たい視点で状況を把握することが可能となります。
たとえば術前カンファレンスでは専用のゴーグルを着用することで、まるで患者さんの体内を自由に歩き回れるような体験も可能です。
これにより事前に状況を正確に把握し、適切な対応を行う助けとなります。

●オンライン診療

医師と患者をインターネット回線で結ぶ「オンライン診療」は、IT技術を活用した新しい診療として期待されています。
しかし対面診療とくらべて十分な診察ができないなどの理由により、普及が進んでいるとはいえません。

一方で日経BP総研の記事によると、5Gでは以下の進化が期待されています。

  • 〇高精細で滑らかな映像のやり取りが可能になる。患者の肌の質感なども感じられる診察環境が得られる
  • 〇ウエアラブルデバイスによるリアルタイムの患者モニタリングも、同時に実現する可能性がある

引用:日経BP総研 オンライン診療の課題解決、「5G」の活用が糸口に

これらは「直接対面して診察できない」というオンライン診療のデメリットを、ある程度埋めるものです。
またさきに説明したVRとゴーグルを活用することで、医師の姿をリアルに感じ、まるで診察室にいるような感覚でオンライン診療を受けることも可能です。
そのためオンライン診療が可能な疾患や医療機関、および患者の数は、これまでよりも増えることが期待されます。

●専門医による診療支援や画像診断で医師をサポート

5Gは、診療する医師をさまざまな形でサポートすることもできます。
その1つに、診察室と離れた場所にいる専門医をつなぐ方法が挙げられます。
専門医は患者の状況などを画面で見た上で、患者と対面している医師に対して支援を行います。
これにより地方の小都市や山間部の住民など、専門医にアクセスすることが簡単でない地域の方でも、地元の医療機関にいながら専門的な診療を受けることが可能となります。

徳島県とNTTドコモ四国支社は、2020年1月14日から2月14日にかけて、5Gを使用した遠隔医療の実証実験を行いました。
この実験では、徳島市にある県立中央病院と、約50km離れた牟岐町にある県立海部病院を5G回線で結んでいます。
海部病院の医師が撮影した4Kの高精細な映像を送信し、中央病院の医師が診療支援を行う形式で進められました。
実験に参加した医師からは、以下に挙げる感想が得られています。

  • 〇予想以上にきれいな映像が見られ、早期に皮膚病変を発見できるのではないかと感じた
  • 〇皮膚などの所見を高精細な映像で伝えることができ、リアルタイムで専門医に相談しながら診察できる

もう1つのサポート方法は、画像診断です。
これはCTやMRIで撮影したデジタル画像を、離れた場所にいる放射線診断専門医に読み取ってもらい、異常があれば指摘してもらう方法です。
CTやMRIの画像はときに数百枚に及ぶこともあり、読み取り作業は大変です。
しかし5Gであれば大量の画像データでも迅速に通信できるため、画像診断に慣れた方が誰もいない施設であっても安心です。

●遠隔手術

「5Gは大容量かつ低遅延」という特性は、遠隔手術にも生かすことが可能です。
日本医療機器テクノロジー協会では未来に考えられる手術室を「スマート手術室」として、以下のように示しています。

  • 〇IoTを活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ、手術の進行や患者の状況を統合把握することにより、手術の精度と安全性を向上させる
  • 〇各種医療情報を「時系列の治療記録」として収集・提供(表示)し、手術室外の医師・技師等にも共有することにより、治療の効率性や安全性の向上を図る。

引用:日本医療機器テクノロジー協会 5G時代に向けた日本の医療機器産業界の取り組み p14

上記の通り5Gを活用することで、より安全な手術の実施に貢献できます。
さらに手術ロボットを活用することで、離れた場所にいる複数の医師が協力して1人の患者を手術するといったことも期待されています。
日本医療機器テクノロジー協会では、難度が高くない手技は地域の医師で、難度の高い手技は高度技能医が担当するといった例を挙げています。
これにより専門医の少ない地域に住んでいる方でも、専門医が多い都市部と同じレベルの医療を、地元にいながら受けることが可能となります。

5Gを活用する3つの課題

5Gを活用する3つの課題

5Gにはさまざまな期待がある一方で、いくつかの課題もあります。
ここでは5Gを活用する際の課題を3つ取り上げ、順に解説していきます。

●満足する通信品質を得るには、ローカル5Gの利用も選択肢

2020年3月に開始された5Gサービスですが、すぐに全国展開されるわけではありません。
たとえばNTTドコモは導入1年後の2021年3月末に、500都市以上へ導入予定となっています。
導入後1年たっても5Gが活用できない地域のほうが多いわけであり、地方では数年たってからやっと5Gのエリアに入る地域もあると考えられます。
これではせっかくの新技術もなかなか活用できないかもしれません。

加えて通信事業者が提供する5Gでは、「超高速大容量通信」「低遅延」「多数同時接続」について、すべて満足するレベルで提供されるとは限りません。
村田は「初期の5Gは高速大容量しか対応できない」と指摘しています。
このため、遠隔手術などで求められる低遅延の実現には一定の時間がかかるでしょう。

5Gを活用する方法には通信事業者の回線を利用する方法のほかに、自らの施設・敷地内専用として導入できる「ローカル5G」も活用できます。
ローカル5Gの導入には、以下のメリットがあります。

  • 〇施設に必要な通信品質となるようカスタマイズできる(たとえば、低遅延を最優先するなど)
  • 〇災害などで通信事業者の回線に異常が発生したとしても、通常運用が可能

導入を検討される場合は、システム企業などに相談することをおすすめします。

●安全・安心第一の製品やサービスであること

いくら先進的なサービスであっても、トラブルが頻発する、人命に関わるといった問題が発生しているものは選びにくいものです。
そのためサービスの提供には、安全が確保されることが第一であり、安心につながります。

たとえば、セキュリティの確保が挙げられます。
通信中に悪意のある外部の者に乗っ取られ、勝手に操作されるといった事態はぜひとも防がなければなりません。

このため5Gのサービスを提供する際は、安全に利用できることを確認しておくことが求められます。
安全が確認できれば、医療スタッフだけでなく患者も安心できるでしょう。

●スムーズに理解できるわかりやすさ

通信を使った技術は難しくて当たり前という考え方は、過去のものとなりつつあります。
いくら役立つ技術でも、使い方がわかりにくいとなかなか普及しません。

このため5Gを活用したサービスには使い方自体のわかりやすさはもちろん、表示される画像などもわかりやすく表示することが求められます。
直感でもスムーズに理解できることが、5Gを使った技術には求められています。

5Gは医療の進化に役立つが課題も。最新の技術動向に注目を

5Gは高速大容量、低遅延など、新しい医療の提供に役立つ技術を備えています。
VRやオンライン診療、遠隔医療や遠隔手術など、5Gによって普及する技術やサービスも多くでてくることでしょう。

一方で、サービス開始当初は5Gの機能を存分に使いこなせるわけではありません。
またセキュリティや健康への懸念も示されています。
これらの課題もあるため、最新の技術動向などを注視した上で導入することがすすめられます。

参考:
NTTドコモ 「5G」サービスを提供開始<2020年3月18日>.(2020年4月25日引用)
KDDI ”UNLIMITED WORLD au 5G”始動。第5世代移動通信サービス「au 5G」、3月26日から開始.(2020年4月25日引用)
ソフトバンク 「SoftBank 5G」の商用サービスを3月27日に開始.(2020年4月25日引用)
ソフトバンク SoftBank 5Gのサービスエリアマップ.(2020年4月25日引用)
ソフトバンク SoftBank 5G対応エリア(2020年3月31日時点).(2020年4月28日引用)
総務省 第5世代移動通信システムについて.(2020年4月25日引用)
総務省 令和元年版情報通信白書 携帯電話の登場・普及とコミュニケーションの変化.(2020年4月25日引用)
三井情報 話題の5Gとは?.(2020年4月25日引用)
日本経済新聞社 「5G」を支える技術革新 3つの利用シナリオをバス輸送にたとえる.(2020年4月25日引用)
ソフトバンク Massive MIMO(マッシブ マイモ).(2020年4月25日引用)
KDDI 次世代通信システム『5G』で、私たちの生活はどう変わるの?.(2020年4月25日引用)
KDDI 次世代通信『5G』の超高速な未来を体感してきた.(2020年4月25日引用)
KDDI 2020年には自動運転が実用化? 日本初の5Gを活用した公道走行に成功.(2020年4月25日引用)
KDDI 5Gの「G」とは? 間違いやすい 5G・5GHz・5Gbyte・5Gbps など違いを解説.(2020年4月25日引用)
KDDI 【おもいでタイムライン】第4回:2003〜2000年、写真、メールで送って.(2020年4月28日引用)
木村映善: スマホはどこまで医療にコンタクトできるか、現状の課題と将来予測~4Gの限界、5Gの可能性を含め~. 新医療2020年4月号: 64-67, 2020.
日本医療機器テクノロジー協会 5G時代に向けた日本の医療機器産業界の取り組み.(2020年4月26日引用)
PR TIMES 国内初、災害対応支援に5G VRを活用~防衛医学の教育および研究に資するための実証実験を実施~.(2020年4月26日引用)
ソフトバンク 医療格差のない世界へ。 メディカル・イノベーターの杉本真樹医師に聞く「5G×医療」の未来の可能性.(2020年4月26日引用)
日経BP総研 オンライン診療の課題解決、「5G」の活用が糸口に.(2020年4月26日引用)
NTTドコモ 5Gの実現に向けたスマートシティ分野および医療分野における総合実証試験.(2020年4月26日引用)
日本経済新聞 遠隔医療に5G活用 ドコモと徳島県が実証実験.(2020年4月26日引用)
徳島県病院局 5Gを活用した県立中央病院ー海部病院間における遠隔医療実証実験(1).(2020年4月26日引用)
徳島県病院局 5Gを活用した県立中央病院ー海部病院間における遠隔医療実証実験(2).(2020年4月26日引用)
日経BP総研 5Gが支える「ソーシャルホスピタル」の世界.(2020年4月26日引用)
津田沼中央総合病院 部門紹介 PACS・RIS.(2020年4月26日引用)
日刊工業新聞 わずか5000人の放射線診断専門医、見落としがん死は無くせるか.(2020年4月26日引用)
アイティメディア 「ローカル5G」は5Gと何が違うのか?.(2020年4月28日引用)
リックテレコム ローカル5G急発進の可能性 世界に先駆けて産業向けユースケースを開拓.(2020年4月28日引用)
農林水産技術会議 地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証.(2020年4月28日引用)
インプレス 富士通、国内初となる商用のローカル5Gを運用開始.(2020年4月28日引用)
総務省 ローカル5G導入に関するガイドライン.(2020年4月28日引用)
村田晋一郎: 5Gの盲点 すべての機能の実現は数年後 低遅延、同時多接続はできない. 週刊エコノミスト2019.11.5: 22-23, 2019.

  • 執筆者

    稗田 恵一

  • 千葉県在住で、ITエンジニアとして約14年間の勤務経験があります。過去には家族が特別養護老人ホームに入所していたこともありました。2018年からは関東にある私大薬学部の模擬患者として、学生の教育にも協力しています。
    現在はライターとして、OG WellnessのほかにもIT系のWebサイトなどで読者に役立つ記事を寄稿しています。
    保有資格:第二種電気工事士、テクニカルエンジニア(システム管理)、初級システムアドミニストレータ

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