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病院の待ち時間は長い!クリニックにも求められる「おもてなし」の心得

一人あたりの待ち時間が長いとされる整形外科では、「一体何分待たせるの!?」とクレームを受けることもしばしば。
そこで今回は、待ち時間にまつわるクレーム対策と接遇改善ポイントについてお伝えします。

待たせる側から待つ側を経験することで気づく「30分の長さ」

患者さんから待ち時間のクレームを受けたとき、先生方はどのようなお気持ちになるでしょうか。
「お待たせしてしまい、申し訳ない」という気持ちは当然として、なかには「こちらだって少しでも待たせないように、対策をしているんだ」と感じてしまう先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
待ち時間のクレーム対策について考えるまえに、まず行っていただきたいのが「30分、スタッフが待つ側を体験する」という院内研修です。
比較的業務に余裕がある「診療時間内」に、あえてスタッフの1人が患者さんと同じ待合室で30分間過ごします。
これは「患者さんがどのような気持ちで診察を待っているのか」を感じてもらうための研修です。
スタッフとして業務に追われながら過ごす30分とは違い、診察される順番を待つ30分は、経過する時間の感じ方に大きな差があります。
その差をスタッフ自身が実際に体験し、待つということがいかに患者さんへストレスを与えているのかを実感することで、改善点がより鮮明に映るのです。
また、患者さん側に立つことで、それまで気にもとめていなかった点が気になるようになります。
「椅子と椅子の間が狭く、車いすが通りにくい」「クリニック内にある書籍が古く、読んでいる方が少ない」など、待つ側に立って初めて気がつくことはたくさんあります。
「待つ側の気持ちをスタッフが知ること」
それが、待ち時間に対するクレーム改善の第一歩です。

待ち時間を意識させないおもてなしグッズ

診察を待っている間、患者さんたちはなにをして過ごしているのでしょうか。
付き添いの方とお話ししている方、スマートフォンを操作している方、クリニックに置いてある書籍を読んでいる方など、患者さんによって待ち時間の過ごし方もそれぞれです。
そこで、診察を待つ患者さんが少しでも快適に過ごせるように、常備しておきたいお勧めグッズをご紹介します。

●ウォーターサーバー

クリニックは、常に快適な温度設定に保つべくエアコンがつけられています。
乾燥予防のために加湿器を用意されているクリニックは多いですが、意外と少ないのがこの「ウォーターサーバー」です。
なぜウォーターサーバー?と思われるかと思いますが、トイレやキッズスペースなどの設備と同じように、お水やお茶をなどの飲み物を提供するというホスピタリティは、テーマパークの待ち時間対策としても広く採用されています。
水分補給は季節を問わず、待ち時間が長くなればなるほど、患者さんのニーズは高くなるといえます。
このような「かゆいところに手が届くサービス」が提供できると、待ち時間におけるストレスを軽減させることができます。

●最新の雑誌

多くのクリニックが待ち時間対策として導入している「書籍の設置」。
これは確かに有効なのですが、一方で注意しなくてはならないのが雑誌の発行日です。
すでに発売から時間がたっているものは、患者さんにとっても「新しい情報」とはならないため、患者さんが一冊あたりにかける時間も少なく「退屈」をしのぐことはできません。
常に発行日が新しいものを常備し、「知らない情報」の提供源になることで、より多くの時間をその雑誌に費やし、長い待ち時間を有効活用することが可能になります。

●一人掛け椅子

クリニックの待合室において、採用率が高い「長椅子」。
確かに長椅子は、少ないスペースで多くの患者さんに座っていただくことができるため、一見すると問題はないように思えます。
しかし、利用する患者さんの立場にたって考えてみると、背もたれのない長椅子は、長時間座るには不向きであったり、スペースの開け方によっては不快に感じてしまう方もおられるなどの問題点が見えてきます。
そこでお勧めしたいのが、「一人掛け椅子を設置する」ことです。
一人掛け椅子ならば、左右の方に気兼ねすることなく、ゆったりと座ることができます。
ただでさえ憂鬱な待ち時間において、この「ゆったりと座れる自分だけの空間」は、患者さんのストレス軽減に大きく貢献してくれます。

予約外の患者さんが入れるスペースを。予約はゆとりをもって組む。

待ち時間対策として多くのクリニックが導入している「予約制」ですが、ここにも「一体いつまで待たせるの」というクレームの元が潜んでいます。
それは、「予約外の患者さん」です。
少しでも多くの患者さんが時間通りに診察できるよう、予約を限度いっぱいに入れてしまうと、予約外の患者さんを必要以上に待たせてしまうことになってしまうのです。
その結果、予約外の患者さんに「一体いつになったら診察してもらえるのか」という不信感を持たせてしまい、クレームにつながっていくのです。
この対策方法として、「予約外の患者さんを事前に想定したうえで予約を組む」ということが挙げられます。
予約方法には大きく分けて「時間制」と「順番制」があるため、時間制と順番制、それぞれの対策について考えていきましょう。

●時間制の場合

時間ごとに予約を入れている場合、予約時間の間に予約外の患者さんを誘導します。
たとえば、9時から診療開始で9時から2名、9時半から4名の予約が入っていた場合、9時に予約を入れていた患者さん2名を先に診察したあと、9時半までに診察できる予定外患者さんを診察します。
そして、9時半からはまた予約の患者さんを診察します。
このときに大切なのは、「予約した患者さんの時間は守れるように調整すること」です。
予約したにも関わらず、予約していない方が先に診察を受けてしまうと、予約をした方からクレームを受ける原因となります。
こうしたことをなくすためにも、予約外の患者さんが多いクリニックであればあるほど、余裕を持って予約を受けることが重要となります。

●順番制の場合

順番制の場合は、窓口で受付けをした患者さんを順番の間に入れる必要があります。
予約の1番、2番を案内したあと、窓口で受付けた患者さんを2名案内。そしてまた予約の患者さんを受付けるといったように、交互に患者さんを案内することがポイントです。
順番制の場合、予約した患者さんが順番直前になっても来院しない、というのは比較的よく見られます。
一方、窓口で受付けをした方にとっては、「自分よりもあとから来た人が先に診察を受けた」と不満を持ちやすくなってしまうため、予約と窓口受付の患者さんを規則性を持って案内することが重要となります。

まとめ

待ち時間は、患者さんにとって少なければ少ないほど良いものです。
一方で、クリニックとしては1日あたりの患者数が多ければ多いほど収益につながるため、どうしても待ち時間は発生してしまいます。
今回ご提案した内容をぜひ参考にしていただき、待ち時間を減らす工夫を行うとともに、患者さんにとって苦痛な時間を、少しでも快適な時間に変えていただけたらと思っています。

参考:
鈴木竹仁著:クリニック経営簡単実践アイデア集 院長先生のための173の知恵袋:プリメド社, 大阪, 2016, pp.40.
鈴木竹仁著:クリニック経営簡単実践アイデア集2 院長先生のための170の知恵袋:プリメド社, 大阪, 2016, pp.62-64.pp96-99

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