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レントゲンをリハビリに生かそう!大腿骨頸部、転子部骨折のレントゲンを読むポイントを解説します

大腿骨頸部骨折、転子部骨折は整形外科病院では数多く見かける疾患の1つになります。
レントゲンを読む力をつけることは患者さんの病態把握につながります。
今回は大腿骨頸部骨折、転子部骨折のレントゲンの読み方について解説していきます。
レントゲンの読み方についてはこちらの記事でも述べていますので参考にしてください。

大腿骨頸部、転子部骨折のレントゲンを読むポイント

大腿骨頸部、転子部骨折のレントゲンを読むために!まずは骨折分類を理解しよう

まずは大腿骨近位部骨折のレントゲンを読むために最低限必要な骨折の分類をチェックしていきましょう。
一般的な骨折の分類であるガーデン分類、エバンス分類は骨折の程度や安定性を把握するのに必要になってきます。

1.ガーデン分類

ガーデン分類

ガーデン分類は大腿骨頸部骨折の分類で、骨折の転位の程度によって4段階に分類したものです。

  • StageⅠ:不完全骨折。骨頭は外反位となり、骨折線の上部では陥入し、内側頚部骨皮質に骨折線は見られない。骨幹部はほぼ内外旋中間位となる。
  • StageⅡ:完全骨折であるが転位はなく遠位骨片と近位骨片の主圧縮骨梁の方向性に乱れがない。
  • StageⅢ:転位のある完全骨折。X線前後像で近位骨片は内反して主圧縮骨梁は水平化し、臼蓋、骨頭、および遠位骨片内側の主圧縮骨梁の方向が一致しない。Weitbrecht支帯の牽引により骨頭は後方へ回旋転位する。
  • StageⅣ:転位の強い完全骨折。Weitbrecht支帯が損傷されることによって回旋転位を呈さない

ただ、ガーデン分類は検者間でバラつきがあるため、Ⅰ、Ⅱを非転位型、Ⅲ、Ⅳを転位型に分類する方法もあります。
骨頭の栄養血管はⅠ、Ⅱでは比較的残っていますが、Ⅲ、Ⅳでは損傷している可能性が高くなります。

2.エバンス分類

エバンス分類

エバンス分類はX線前後像で内側骨皮質の損傷の程度、整復操作を行った場合の整復位保持の難易度により分類されます。

Type1
骨折線が小転子近傍から大転子の方に向かう骨折
Group1 転位なし、内側骨皮質の粉砕もない
Group2 転位あり、内側骨皮質の粉砕が軽度で整復可能
Group3 転位があり、内側骨皮質の粉砕で整復不能
Group4 粉砕骨折
Type2
骨折線が小転子から外側遠位に向かう骨折

Type1のGroup3、4とType2を合わせて不安定型骨折とされます。

レントゲンを読むポイント!シェントン線や大腿骨距を確認

大腿骨頸部、転子部骨折のレントゲンを読んでいく上でシェントン線大腿骨距は知っておいたほうがいい知識になります。

●シェントン線は全体像を把握するのに有用

シェントン線は全体像を把握するのに有用

シェントン線とは正常の股関節像において、大腿骨の内側を近位にたどるラインが大腿骨頸部で内側にカーブを描き、その延長が閉鎖孔の上縁にスムーズにつながるラインのことで、股関節や頸部の状態を把握することができます。
大腿骨頸部骨折や変形性股関節症などの疾患がある場合、ラインの連続性が絶たれてしまいます
筆者の場合は、まずこのシェントン線を確認して全体のアライメントが崩れていないかを把握するようにしています。

●大腿骨距の連続性が荷重時期を左右する

大腿骨距は通称カルカ(calcar femorale)と呼ばれていますが、Adams弓と同一のものになります。
大腿骨の頚部から骨幹部の内側にある骨皮質のことで、大腿骨近位部骨折の場合、同部位の整復が安定した骨性支持に直結するものと考えられています。
そのためスクリューやネイルなどのインプラントを刺入する際でも支持性を高くするためにカルカに接するようにすることが望まれています。
術後のレントゲンで内側骨皮質にズレが生じている場合は、カルカも整復できていないと考えられ、荷重開始時期が遅れたりするなどの影響がでてきます

これらのほかにも

  1. 1)頚部は短縮していないか(cut out、脚長差)
  2. 2)頚体角はどうか(筋出力の低下、脚長差)
  3. 3)骨折部にある筋の付着や走行はどうか(不安定な骨片が転位する可能性)
  4. 4)正しい位置にインプラントが挿入されているか(インプラントによる痛み、荷重制限)

などを意識しながら読んでいくことが重要です。

ケース別に紹介。大腿骨頸部・転子部骨折のレントゲンの読み方

ここでは実際にどのように考えていくのかケースを分けて紹介していきます。
筋の付着、作用を想像しながらレントゲンを見ていくことがポイントです。

●ケース1 大腿骨頸部骨折(ガーデンⅣ)

大腿骨頸部骨折では、栄養血管の損傷により大腿骨頭壊死を生じる可能性があり、ガーデンⅢ、Ⅳでは人工骨頭置換術が施行されることが多いです。
ガーデンⅣで見かけるものとしては、骨頭に対し遠位骨片が上方へ大きく転位し、小転子、大転子の位置も高くなってしまうものです。
人工骨頭置換術の手術をする際はこのアライメントを元に戻すように行います。
人工骨頭の術後のアライメントは、大転子の先端が骨頭中心と同じ高さにあること、小転子の高さが坐骨結節と同じ高さにあることなど正常股関節のアライメントが参考になります

●ケース2 大腿骨頸部骨折(ガーデンⅡ)

ガーデンⅠ、Ⅱでは栄養血管の損傷の確率が低いことからCCHS(canulated cancellous hip screw)による骨接合術が選択されることが多く、荷重も早期から開始されます。
早期から荷重を始めるときのポイントとしては

  1. 1)骨粗鬆症の程度が軽度であること
  2. 2)主圧縮骨梁の走行が一致していること
  3. 3)CCHSの先端が骨頭皮質下まで達していること

などが挙げられます。
またCCHSのheadの部分が大きく飛び出している場合には頸部の短縮が疑われます。
頚部の短縮は脚長差や筋出力の低下にもつながり、また股関節の運動により筋膜と擦れることで運動時の疼痛を引き起こす原因にもなります。

●ケース3 大腿骨転子部骨折(type1 group2で小転子の骨片があるもの)

大腿骨転子部骨折でよく見られるものは、小転子の骨片が認められるものです。
小転子は腸腰筋の停止になるため、小転子が遊離している場合にSLRなどの腸腰筋を収縮させるような運動を行うと小転子が転位する可能性があります。
type1 group2の場合、内側の骨皮質は整復され安定しているように見えます。
しかし小転子が遊離しているにもかかわらず、荷重を進めてしまうと小転子が大きく転位してしまう可能性もあり、小転子骨折の合併は荷重開始時期に大きく影響してきます

レントゲンを上手に活用してリハビリに生かしていこう

レントゲンを上手に活用してリハビリに生かしていこう

レントゲンを読み取る力がなければ、患者さんへの治療も不十分なものになる可能性があります。
レントゲンを読めるようになれば正確な病態把握やレントゲンには写っていない筋、軟部組織の影響を考えることができ、日々の臨床に生かすことができます。
今回紹介したものも1つの例にすぎませんが、ポイントや考え方を参考にして、少しずつレントゲンを読む力を養っていきましょう。

参考:
青木隆明,浅野昭裕他:運動療法に役立つ単純X線像の読み方 第1版.メジカルビュー社,2017,pp.176-177,pp.187-188,pp.193-197.

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