待ち時間対策には「ゾーン分け」ストレスフリーの待合室はこうしてつくる!
クリニック・病院の待合室において、快適に過ごすための工夫は、患者満足度の向上には欠かせないもの。
そこで今回は、待ち時間を感じさせない「暇つぶし豊富な待合室」をつくるためのヒントを3つ、ご提案します!
目次
待合室の圧迫感は「ゾーン分け」で解放感に早変わり
待合室の広さは限られています。
特に、ビルのテナントなどにクリニックがある場合は、待合室として使えるスペースが非常に限られているため、どうしても狭く感じてしまいます。
そんな限られた空間で、椅子やテレビをただ無造作に並べているだけでは、患者さんにとって過ごしやすい待合室とはいえません。
そんなとき、ぜひお試しいただきたいのが、待合室内をゾーンごとに分ける方法です。
壁やパーテーションなどで囲われていなくても、おおまかに「テレビを見るゾーン」「書籍を読むゾーン」「会計待ちのゾーン」「子ども向けゾーン」といったように、待合室のなかをゾーン分けします。
そして、それぞれのゾーンに適した家具や用具の配置を行います。
- ●テレビを見るゾーンでは、テレビが見やすいように椅子を配置。
- ●書籍を読むゾーンでは、本棚を設置して、すぐに読めるように配慮。
- ●会計待ちのゾーンでは、名前を呼ばれたらすぐに会計へ行けるよう、動線を考慮して椅子を配置。
- ●子ども向けゾーンには、子どもが興味を示しそうなおもちゃや絵本を用意しておく。
- ●たったこれだけで、待合室が患者さんにとって「過ごしやすい」空間になります。
低コストで退屈を解消させる「デジタルフォトフレーム」
クリニックを運営していくうえで予算はつきものです。
待合室に置く物品を検討する際も、「テレビや子ども用のおもちゃなど、物品を新たに用意したいけれど、そういった予算が組みにくい」という先生もいらっしゃるかと思います。
そこでぜひご検討いただきたいのが「デジタルフォトフレーム」です。
デジタルフォトフレームは、比較的安価で購入でき、きれいな風景や動物の癒やされる写真などをスライドショーで流すことができます。
また、写真のスライドショーのほかに、クリニックのお知らせや患者さんへ役立つ情報も流すことができるため、待合室にはおススメのアイテムです。
スタッフ紹介や隠しキャラ、デッドスペース「壁」の有効活用
スペースが限られる待合室においては、壁もぜひ活用したい箇所となります。
ポスターを貼るなどの掲示板として活用しているケース以外の、壁の有効利用方法について2つご提案します。
●手作りのスタッフ紹介を掲示する
美容院やスーパーなどで、ときどき見かけるスタッフ紹介。
どんなスタッフがいるのかお知らせすることで、利用者に対して親近感を与えることができます。
これをクリニックにも応用し、手作りのスタッフ紹介を掲示してみてはいかがでしょうか。
受付や看護師など、クリニックで働くスタッフの顔写真とともに、名前や出身地、仕事に対する意気込みを紹介します。
あまり詳しく自己紹介をしてしまうと、スタッフさんたちに影響がでる可能性もあるので、あくまでも簡単な紹介にとどめます。
たとえば仕事に対する前向きなコメントを掲載することで、「このクリニックはやる気のあるスタッフさんが多い」と良い印象を持ってもらうことができます。
また、できる限りこのスタッフ紹介を手作りにすることで、掲示物全体により温かみを感じてもらうことができます。
●隠しキャラ探しで、待っている子どもたちを夢中に!
某人気テーマパークでは、各地に隠しキャラをちりばめることで、待ち時間にもちょっとしたわくわく感を入園者に提供しています。
そこで、クリニック内でもさまざまな場所に隠しキャラを配置してみるのも、一つの方法です。
筆者も以前、子どもと宿泊施設にて隠しキャラ探しを行ったのですが、子どもはもちろん、大人であっても「こんなところにコレがいた!」とわくわくし、とても楽しい時間を過ごすことができました。
また、実際にクリニックでこの隠しキャラ探しを導入したところ、主に子どもを持つ患者さんから良い評価を得たという例もあります。
隠しキャラは新たに作るのではなく、市販されているウォールステッカーでも構いません。
トイレや待合室の隅っこに、ぽつんとある隠しキャラを見つけることができたとき、患者さんの気持ちも和らぎ、「ほかにはどんなキャラがいるんだろう」とわくわくすることでしょう。
待合室の定番アイテム「雑誌・書籍」…ポイントは「新しさ」と「豊富な種類」
クリニック内の掲示物や置いてある雑誌・書籍は、長い期間そのままになっていないでしょうか。
初めて来た患者さんにとっては新鮮でも、通う期間が長くなればなるほど、患者さんを飽きさせてしまいます。
そこで、掲示物や雑誌や書籍は常に新しいものを用意し、患者さんに「新しさ」を提供することも、待つ時間をあっという間にする秘訣です。
書籍や雑誌は経費が掛かる、とお考えの場合には、毎日新しい新聞を置くだけでも、十分「新しさ」をだすことができます。
また、雑誌や書籍を来院される患者さんの年齢層に合わせて、適宜交換することも有効です。
午前中はお年を召した方や未就学児が多くなるため、幼児向けの本や新聞、週刊誌などを設置。
夕方からは学生や社会人が好むマンガ雑誌や男性向け雑誌を設置。
このように患者さん層に応じて設置する内容を変えることで、患者さんにより快適な空間を提供することができます。
まとめ
待ち時間は、患者さんにとっては「この場を離れるわけにもいかないし、だからといってただじっと座っているのも苦痛」な時間です。
こういった患者さんの細かい苦痛を軽減することが、クリニック全体の印象を上げることにつながります。
ぜひ「ゾーン分け」「わくわく」「新しさ」この3つをキーワードにしていただき、待合室を「あっという間に時間が過ぎる空間」にしていただけたらと思います。
待ち時間対策についてはこちら↓
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参考:
鈴木竹仁著:クリニック経営簡単実践アイデア集 院長先生のための173の知恵袋:プリメド社, 大阪, 2016,
鈴木竹仁著:クリニック経営簡単実践アイデア集2 院長先生のための170の知恵袋:プリメド社, 大阪, 2016,