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優秀な看護師を採用するには面接とアンケートの「ダブル評価」がポイント

2018年、看護師の有効求人倍率は一般職にくらべて高い状態にあり、看護師側が職場(病院や施設など)を選べる売り手市場となっています。
そこで今回は、優秀な看護師確保に有効な「面接とアンケートのダブル評価」をご提案します。

看護師の離職率は上昇の一途!「辞めさせない方法」より「辞めない人の採用」が求められる

看護師の新規雇用を考えたとき、まず知っておいていただきたいのが、「看護師の離職率の高さ」です。
厚生労働省の2015年度雇用動向調査によると、医療・福祉業界では毎年14.7%もの職員が退職しています。
この離職率の高さは、運輸業や情報通信業よりも高く、全業種中7番目に高くなっています。
その結果、有効求人倍率も他職種にくらべて高い傾向が続いており、2017年度の保健師、助産師、看護師の有効求人倍率は2.61倍となっています。
2014年には年間71,000人もの新たな看護師が増えているにも関わらず、急性期病棟での7対1配置や、介護施設にも一定の看護師配置が求められていることもあり、慢性的な看護師不足は依然として解消されないままとなっています。
そのため、求職者としては「より条件の良い仕事」を選べる状態にあり、優秀なスタッフを確保することはより難しくなっているのが現状です。
しかしこういった状況だからこそ、「選考はより慎重に行うべき」です。
人手不足により、応募してきてくれた人はすぐに採用したくなってしまいます。
しかし、すぐに採用したいがあまりに選考をおろそかにした結果、採用後「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうリスクは非常に高くなります。
また、採用者の指導を既存のスタッフに任せた結果、それまで頑張ってくれていたスタッフの負担が増えてしまい、結果として採用者と既存のスタッフ双方が辞めてしまう、という最悪のケースも想定されるのです。
看護師不足はどこも深刻です。
だからこそ、ここはしっかりと選考を行うことが重要となります。

履歴書ではわからない。簡単な「アンケート」で人柄と作業効率をみる

採用にあたって、応募者と直接面接をするまえにぜひ行っていただきたいのが、「簡単なアンケート」です。
このアンケートは、先生方が応募者に対して知りたいことを事前に聞き、それを参考に面接を行うための資料にするためのものではありません。
重要なのは、アンケートへの回答内容よりも、アンケートに対する応募者の意欲や要領の良さを測ることにあります。
アンケートに対し、具体的なことをたくさん書いてあるか否か、それによってその人の求人にかける意欲を測ることができます。
また同時に、アンケートへの回答時間をあえて短くすることで、全問をうめるための工夫など、その要領の良さを測ることもできます。
アンケート内容については、先生ご自身が事前に聞いておきたいことはもちろんのこと、クリニックにおいて起こりやすい問題を提示することで、応募者がどのようにクリニックで働いてくれるかを具体的に知るツールにも成り得ます。

面接は応募者の素顔を探るチャンス!想定外の質問を投げかける

先ほどもお伝えした通り、看護師は売り手市場が続いています。
そのため、応募者のなかには「数件押さえておいて、より条件の良いところへ就職しよう」と考えている方や、「ここは本命じゃないけれど、仮押さえとして受けておこう」と考えている方もいらっしゃいます。
こういった方々は、
「なぜ、このクリニックを選んだのですか?」
「このクリニックにおいて、あなたはどのように活躍したいと思いますか?」
というような一般的な面接時の質問に対しては、事前にしっかりと準備をして臨んでいます。
そのため、たとえ先生のクリニックが本命でないとしても、すらすらと印象の良い返答がくることが考えられます。
そこであえてここでは、「応募者が事前に想定できないであろう質問をすること」をお勧めします。
では、どういった質問をすることで、応募者の素顔を探ることができるでしょうか。
そのヒントをご提示します。

●具体的な状況対応をその場で考えてもらう

クリニックでは、少数精鋭です。
そのため、一人スタッフが休むとほかのスタッフがフォローしなくてはならないため、要領よく状況に対応することができなければ、クリニックにおける全体の仕事が回らなくなってしまう恐れがあります。
そこで以下のような質問をします。
「Aさんから、子どもの体調不良につき、当日の朝になって突然休むと連絡がありました。
ほかに当日出勤予定の看護師スタッフはあなたしかいません。
しかし、看護師の配置場所は診察室と検査室の2カ所あります。
この場合あなたは、どのように仕事を回そうと思いますか?」
このように、実際起こりうる具体的な状況を提示したうえで、スタッフとしてどう立ち居振る舞うかを答えていただくことで、その方の仕事に対する意欲や考え方を見ることができます。

●コミュニケーションスキルを測る

看護師の離職理由としてよくあげられるのが人間関係です。
せっかく新たに看護師さんを採用しても、その方が周囲と十分なコミュニケーションを取ることができなかった結果、スタッフ全体の人間関係が崩れてしまっては、元も子もありません。
そこで、面接において
「看護スタッフのAさんと事務担当のBさんが、仕事内容について口論となりました。
休憩時間、Aさんが席を外すとBさんからAさんについてBさんが正しいと意見するようにいわれてしまいました。
あなたはスタッフの一員として、どう対応しますか?」
というような、コミュニケーション力を測る質問をします。
この質問の回答内容によって、既存のスタッフとの相性もある程度想定することができ、採用後の人間関係についてもおおまかな見通しがつけられるようになります。

人手不足は選考方法によって解消される

クリニック経営において、優秀なスタッフに長く働いてもらうことは重要です。
なかなか看護師が集まらない状況だからこそ、より優秀なスタッフに入職してもらうための選考が重要となるのです。
選考においては、人手不足解消だけに重きを置かず、ぜひアンケートと面接に重点を置いていただくことで、優秀なスタッフを選考していただけたらと考えます。

参考:
小松大介:診療所経営の教科書 第2版:日本医事新報社、東京、2017,pp42-49
船井総合研究所:40の困った!をスッキリ解決 診療所経営助っ人ツール;日経BP社;東京;2015
渡邉滋巴:診療所のための開業マニュアル 最新版;創英社/三省堂書店;東京;2017

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