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クリニック・治療院 OGメディック

  • 高木雪絵

    公開日: 2019年05月31日
  • 整形外科の悩み

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胸郭出口症候群とは?原因や症状、なりやすい人の特徴を徹底解説

「胸郭出口症候群」について、名前を聞いたことはあるけれど、原因やメカニズムがわからないという医療従事者も多いのではないでしょうか?
整形外科に勤務する新人スタッフや、ほかの診療科で働く医療・リハビリスタッフ向けに、胸郭出口症候群について解説していきます。
胸郭出口症候群の原因や症状、どんな人がなりやすいのか、この機会に確認していきましょう。

胸郭出口症候群の原因や症状、どんな人がなりやすいのか

胸郭出口症候群の原因とメカニズム

「胸郭出口」とは、主要な神経や血管が腕に通じている、肩や胸の間にある通路です。
この通り道は、神経や血管が通っているので、物理的に少し混み合った部位となります。
胸郭出口症候群は、この通路を走行している「腕神経叢」と「鎖骨下動脈」が圧迫されたり、牽引されたりすることが原因となって発症します。
これらの神経と血管は腕や手指にもつながっているため、症状が出るようになります。
腕神経叢と鎖骨下動脈は、次の3つのポイントを走行しています。

  1. 1.前斜角筋、中斜角筋の間
  2. 2.鎖骨、第一肋骨の間
  3. 3.小胸筋と肩甲骨の間

この3つの部位が狭窄部位として知られており、これらを総称して胸郭出口症候群といいます。
神経が圧迫されると神経障害が、血管が圧迫されると血流障害が生じます
神経や血管を、肋骨や鎖骨などの骨が圧迫している場合もあれば、それを覆っている筋肉が締め付けている場合があります。

胸郭出口症候群になりやすい人の特徴

胸郭出口症候群になりやすい人の特徴

胸郭出口症候群は、神経と血管の通り道が狭くなり、圧迫されることで生じます。
次のような人では、通り道が圧迫される状態になるため、胸郭出口症候群になりやすいと考えられています。

  • ●なで肩の人
  • ●首が長い人
  • ●重い荷物を運ぶ習慣がある人
  • ●事務仕事・デスクワークが多い人
  • ●腕を上げて仕事・作業をすることが多い人
  • ●姿勢が悪い人

特に、首が長く、なで肩の女性は胸郭出口症候群が多い傾向にあります。
首が長く、なで肩であれば、神経が引き伸ばされた状態になるため、もともと牽引のストレスがかかっているためです。
20代〜40代など、比較的若い年齢の女性に発症しやすいといわれています。
筆者も首が長く、なで肩であるため、もともと胸郭出口症候群になりやすい体型でした。
さらにデスクワークが長く、肩や肩甲帯が下がった姿勢をとっていたため、20代のときに診断がつきました。
ただ、男性の場合は首が短く、筋肉質で、仕事やスポーツで肩をよく動かす習慣のある人に胸郭出口症候群が生じることもあるといわれています。
このように、神経や血管の通路が圧迫されやすい体型、生活習慣をお持ちの場合は発症しやすくなります。

胸郭出口症候群の症状とは

胸郭出口症候群の症状とは

胸郭出口症候群では、神経と血管の圧迫によって、首から手指にかけてさまざまな症状が出現します。
最初のうちは「肩がこっているな」「なんとなく腕がだるいな」と自覚しやすいです。
状態によって程度や内容には違いがありますが、代表的な症状は次の通りです。

  • ●上肢・手指のしびれや脱力感、熱冷感
  • ●上肢・手指のむくみ、蒼白化
  • ●握力の低下、手指の運動麻痺
  • ●首・肩・肩甲帯の痛みやコリ

神経が圧迫されている場合には、痛みやしびれ、脱力感などの症状が生じます。
電車でつり革につかまる、ヘアドライヤーで髪を乾かす、洗濯物を干すなど、上肢を挙上する動作でしびれや痛みが生じやすいです。
痛みに関しては「うずくような痛み」、しびれに関しては「ビリビリするしびれ」などと形容されることが多いです。
実際に筆者も胸郭出口症候群と診断されたときには、肩甲骨の内側と肩にうずくような痛みを感じ、手や手指にピリピリとしたしびれを感じました。
また、握力が弱くなったり、巧緻動作がしにくくなったりと、運動障害の症状が出る場合もあります。
このような場合には、手内筋、母指球が萎縮するケースも存在します
また、血管が圧迫されているときには手指や腕の色が蒼白になり、青紫色になり、場合によってはむくみが気になることもあります。
血行が悪くなることで、このようなサインも現れるようになります。

胸郭出口症候群はリハビリで改善できるケースも

胸郭出口症候群の場合、ある動作や生活習慣が症状を憎悪させている可能性があるため、患者さんに生活指導をすることも欠かせません
程度によっては手術を行うケースもありますが、筋力強化やストレッチなどのリハビリで症状が改善される患者さんもいます。
ただ、あまり経験がない場合には、どのようにリハビリを進めていけば良いかわからない方もいるかもしれません。
リハビリにご興味をお持ちの方は、ぜひこちらの記事(胸郭出口症候群のリハビリとは?理学療法士・作業療法士が知りたい方法と注意点を解説)もご参照ください。

  • 執筆者

    高木雪絵

  • 作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
    勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。

    保有資格:作業療法士、作業療法学修士

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