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整形外科で処方されるオーダーメイドインソール(中敷き)、その効果は?

整形外科では、膝関節疾患やアスリートの患者さんに対し、インソール(中敷き)を処方する病院が増えています。
しかし処方する整形外科によって、実はインソールの質も異なるのです。
今回は、筆者の実体験をもとに、インソールの処方ステップから技術習得方法までまとめました。

インソール処方は2通り!既製品とオーダーメイド、そのメリット・デメリットは?

インソールの処方方法は、2通りあります。
業者が作製した既製品を処方する場合と、医療機関で評価し、オーダーメイドで作製する場合とがあります。

1)既製品を処方する場合

既製品を処方する場合は、実際に患者さんの足のサイズを測定し、それに合ったインソールを選択します。
メリットとしては、患者さんに合わせて調整する作業が不要で、時間がかからないこと、医療機関の負担なく処方することが挙げられます。
デメリットとしては、すべての患者さんに適合するとは限らないということです。
足は、土踏まずの有無、タコのできる位置、足の形など、非常に個人差が大きくなる部分です。
このため、医療機関で既製品を処方されても、適合しない患者さんがいるというデメリットが生じます。

2)オーダーメイドで処方する場合

オーダーメイドは、患者さんの足の形や特徴を踏まえたうえで、片足立ちや歩行の様子などさまざまな評価を実施し、その結果をもとに作製します。
メリットとしては、評価してから作製するため、どの患者さんにも適合させることができます。
また、一度作製してしまえばその型をもとに複製できるため、複数の靴で使用することができます。
デメリットとしては、評価に時間を要すること、既製品にくらべて価格が高いことが挙げられます。
実際に評価に要する時間は、40分〜60分程度かかる場合があります。
詳細な評価を実施することでより良いインソールになりますが、デメリットについては必ず事前の説明が必要となります。
このように手間と時間をかけ作製するため、費用も高くなります。

整形外科のオーダーメイドインソールの効果は?年齢によって違いも

オーダーメイドインソールの効果は2つにまとめると、足関節を安定させること、バランス能力や筋力を発揮しやすい環境を整えることです。
年齢に伴い競技パフォーマンスが向上する、動きの質が向上していくように、インソールを導入する患者さんの年齢や、運動能力によって適時処方していきます。

1)学童期の場合

学童期におけるポイントは、足の発達を促すことと、発達を阻害しないことです。
たとえば、インソールは正しく評価されたものを使用していても、靴が小さくてつま先があたっていたりするとその効果が薄れてしまうので、サイズに合った靴を使用することも重要になります。
また、近年足裏の筋肉が低下している児童が多く、原因として足の使い方が問題視されています。
この問題を解決する手段としてもインソールは大きな役割を果たします。

2)アスリートの場合

アスリートの場合は、何といってもパフォーマンスを向上させることに尽きます。
さらには、捻挫などの障害を予防するためにもその機能をインソールで補えることが重要となります。
特にその競技の特異性を踏まえたうえでインソールを処方する必要性があるため、作製の難易度が高くなります。
筆者の経験上、アスリートの患者さんは、インソールの効果が即時的に得られやすいように感じます。
具体的には、少し調整しただけでもタイムが激的に伸びる、記録が向上するといった良い結果が得られやすい傾向にあると感じます。
逆にいうと、意図せず悪い方向に誘導してしまうと、当然結果も逆になるということです。
このため、特に繊細な調整が必要となってくるのが、アスリートの特徴といえます。

3)高齢者の場合

高齢者の場合、一番怖いのが転倒してしまうことなので、バランス能力を向上させるようなインソールが適切になります。
特に加齢に伴い足底の感覚が鈍くなるケースが非常に多くなります。
適切なアーチサポートをつくり、荷重パターンを調整することで、転倒予防につなげていくのが高齢者におけるインソールの目的となります。

このように、利用する人によってインソールの調整方法は異なりますので、これらに留意してインソールを処方することを強くオススメします。

難しそうだけど、どこで学べばいい?

インソールの作製技術を身に付けるには、独学で行う方法と、各インソール協会の講習会に参加し、技術を身に付ける方法の二通りがあります。

1)独学で身に付ける方法

インソール自体は、足関節の機能や解剖学を追求することで、どの位置にどの程度の厚みがあると、足関節が安定するかなどの知識を得ることができます。
そのため、ある程度の領域までは、独学でも対応することができます。
しかし、インソールを入れることで、足関節のみならず全身のバランスや状態は変化するので、足関節ばかりに注目していても、患者さんの満足度を向上させることにはつながりにくいでしょう。

2)各インソール協会の講習会で身に付ける方法

インソールを入れる目的は、足関節の機能を向上させ、その結果として全身のバランス能力や、筋力の発揮しやすさを引き出すことです。
こうした視点を身につけるためには、やはり講習会に参加し、評価方法や作製に際した技術を身に付けるべきではないでしょうか。
資格取得に必要な費用と期間は、各協会によって異なりますが、おおよそ3日~12日の講習期間、費用は7万円~35万円と幅があります。
決して安い費用ではありませんが、自己研鑽とともに結果のだせるインソールを作ることができますので、興味のある方はぜひトライしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

インソールの実情から、患者さんの年齢に合わせた処方のポイント、技術を身に付ける方法についてまとめてみました。
既製品だけでなく、オーダーメイドで作製することで患者さんの満足度を向上させることにもつながります。
また、即時的な効果を実感できるものだからこそ、初期診療におけるラポールを築くための有用なツールにもなります。
患者さんの正しい評価を実施し、適切なインソールを処方するためには、講習会に参加して技術や知識を身に付けることが重要ですが、最も大切なのは多くの患者さんを経験することに尽きます。
患者さんの笑顔のために、正しいインソールの知識や技術をぜひ身につけてみてはいかがでしょうか。

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