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整形外科の患者になった看護師が伝える、「動けない」「痛みがある」患者が特につらいと感じた3つのポイント

看護師として日々患者さんの看護を行っている際、患者さんの目線にたって仕事をする、と頭では分かっていても、実際にはなかなか難しいものです。
そこで今回は、実際に整形外科病棟へ患者として入院した経験のある筆者(私)が、入院時「動けない」「痛みがある」からこそつらいと感じたことを3つ、ご紹介したいと思います。

ベッド同士がぶつかることで、さらに激痛が…!

入院したのは整形外科の6人部屋で、一人当たりのスペースはかなり狭い中、私以外、同室の方はベッド上安静の指示が出ていたのか、検査などすべてベッドで移動していました。
足の痛みが強く、じっとすることで痛みに耐えていたとき、隣の方が検査からベッドで戻って来たときのこと。
狭い病室へベッドを戻すため、複数の看護師たちがベッドを操作していたのですが、その際に何回も、私の寝ているベッドとぶつかってしまいました。
ぶつかった際の振動が足に伝わり、さらなる激痛に悶絶する私。
しかし私の声はスタッフの方々に届かず、そのまま何回もぶつかっては悶絶するを繰り返したのでした…。

●移動時は、少しの衝撃にも注意を!

車いすなどで移動する際、ベッドなどにぶつかるわずかな衝撃も、整形外科で入院している患者さんにとって、痛みを増悪させる因子となります。
自分で動く際などは、予測ができる分耐えられる痛みであっても、予期せぬ出来事から伝わる痛みは苦痛も大きくなります。
ぜひ移動の際には、そのことを理解し、ぶつけることで患者さんの苦痛を増悪させないよう、細心の注意を払ってもらえたら、と思います。

締め切られたカーテンに感じた、閉塞感

医師からトイレや洗面以外、ベッド上安静と指示されていた私は、一日の大部分をベッド上で過ごしました。
私のベッドは部屋の中央部に位置していたため、時間をつぶすために用意した本やタブレットから顔を上げると、前も左右も、カーテンで仕切られています。
壁以外すべてカーテンで仕切られているそのさまは、自分が狭いスペースに閉じ込められているような、強い圧迫感がありました。
同室者にどういった方がいらっしゃるのかも分からず、聞こえてくるのは認知症を患った方の大声と、同室者の生活音や排泄音のみ。
誰がお隣にいるかも分からず、狭い空間へ閉じ込められているかのような圧迫感に、私は大きなストレスを感じていました。
差額を出してもいいので部屋移動をしたい、と希望しましたが、満室であること、また万が一部屋が空いても重症ではないので部屋移動は難しい、と断られてしまい、結局約3週間ほど、三方向をカーテンできっちり閉められた生活が続きました。
退院するまで左右のカーテンは一度も開くことがなく、同室者がどんな方なのかも知ることはありませんでした。

●カーテンはぜひ、看護師の声掛けで開ける時間を!

カーテンは患者さんのプライバシーを守るうえで重要なものです。
一方で、終日カーテンを閉め切りにするということは、大きな閉塞感、そして圧迫感を生みます。
ずっとカーテンを閉め切っていることがどんなにつらいかを、私は自分の体験で思い知りました。
特に整形外科の場合は、多くの患者さんが自由に動くことができず、ベッド上で過ごす時間が圧倒的に長くなることから、閉塞感に対し苦痛を感じる患者さんは、他領域にくらべてもより多いのではないかと推測します。
患者側から同室者へ声を掛けてカーテンを開けるというのは、カーテンを開けることに対し否定的な患者さんもいるため、難しいのが現状です。
そこでぜひ、整形外科病棟として、看護師等病院スタッフの声掛けでカーテンを開ける時間を作っていただけたらと思います。

整形外科だからこそ、排泄場所は要検討

6人部屋だった病室へ、新たに下肢の疾患にて移譲に介助を要する方が入院しました。
その方は軽度の認知症もあったようで、1日に何回もナースコールを押しては、同じ要求を繰り返していました。
夜中のナースコールや、大声で看護師へ要求を伝えることに対してストレスを感じていた私ですが、特に強くストレスを感じたのが、排泄でした。
ある食事時、突然その方が「トイレ!」とナースコールで伝えていました。
コールを受けて駆け付けた看護師が持ってきたのは、あろうことかポータブルトイレ!
私をはじめ、患者が食事をしている中、響くポータブルトイレの音…。
その音で完全に食欲をなくした私は、珍しく食事を残してしまいました。

●動きたくても動けないからこそ、排泄場所は考えて

整形外科で入院している方の多くは、動きたくても動けないという状況です。
そんな中、排泄音を聞かされながら食事をしなくてはいけない、というのは精神的にとてもつらいものでした。
もちろん、整形外科病棟においていつもこのようなことが行われているとは思いませんし、実際に私がその場面に遭遇したときは、片づけが終わった後に看護師から謝罪がありました。
しかし、この謝罪を受けたとき、私は「悪いと思うのならば、ほかになにか対策を立ててほしい」と思ってしまいました。
そしてこの経験から数年たった今でも、あのときのつらかった思いは、よく覚えています。
排泄場所については、整形外科の看護師として、人や時間が足りないから今回だけはなどと考えず、私のような思いをする患者さんを今後増やさないでもらえたらと思います。

まとめ

私が入院した約3週間の間、看護師として学ぶべき点がたくさんありました。
患者さんはどんなときに看護師に対して我慢しているのかも、この経験から初めて知りました。
今回ご紹介した3つの出来事は、私が経験した中でも特につらかったものです。
この記事をご覧になった整形外科のスタッフさんが今後、患者さんに対して同じ思いをさせてはいけないと思ってもらえたら、うれしいです。

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