整形外科・リハビリ病院が抱える課題(ヒト・モノ・カネ)をサポート

  • Facebook

クリニック・治療院 OGメディック

スポーツ現場で効果が認められている微弱電流を急性期病院でも取り入れよう!

微弱電流はなじみの少ない言葉ですが、スポーツ現場では頻繁に使用されている低周波治療の1つです。
微弱電流は受傷直後の腫脹や疼痛を抑え、可動域制限の改善などに効果があると認められており、スポーツ現場だけではなく急性期病院での使用でも効果を発揮することが期待されます。
今回は、微弱電流のメカニズムと取り入れるメリットについて解説していきます。

微弱電流が組織修復を早める!

微弱電流はマイクロカレントとも呼ばれており、μA(マイクロアンペア)という電流を使用します。
一般に使用されている低周波治療器の電流はA(アンペア)であり、これはその1/100万の強さという非常に弱い電流になります。

●弱い電流が組織の修復を活性化!筋肉の再生促進にも効果が!

微弱電流の主な作用は組織修復です。
もともと人間には生体電流とよばれる非常に弱い電流が流れていますが、組織が損傷するとそれを修復するために損傷電流と呼ばれるμAほどの電流が流れます。
損傷電流が流れることで体内のミトコンドリアを活性化し、ATP(アデノシン三リン酸)の産生を促すことがわかっています。
また、ATPはタンパク質の合成を促し組織の再生を早めるとされており、微弱電流はこの損傷電流と同じような電流を流すことができるので組織の修復・回復を早めることができるとされています。
横山らによると、微弱電流を使用することで損傷によって低下した筋肉のタンパク量の回復を促進することが認められており、微弱電流刺激が損傷した筋肉の治癒を促進する効果があると確認されています。

●長時間の使用で効果は高まる!

微弱電流を流している間は損傷した組織の治癒を促進させるということから、微弱電流の使用時間は長ければ長いほど効果があるとされており、練習や試合終了後から翌日朝まで使用する方もいます。

報告からわかる微弱電流の効果!

微弱電流はスポーツ現場では積極的に取り入れられています。
2002年にイングランド代表のベッカム選手が骨折したときに微弱電流を取り入れ、短期間で復活したことは有名です。
ここでは微弱電流にどのような効果があり、使用ができるのか、報告も交えながら述べていきます。

●スポーツ現場では外傷後だけではなく普段のケアから使用!

まずはスポーツ外傷の報告から述べていきます。

  • ○廣重ら:足関節外側靭帯損傷後72時間以内の患者に微弱電流を20分間使用する前後の足部の体積を計測したところ、微弱電流使用群の体積が有意に減少した。
  • ○宮﨑ら:膝内側側副靭帯損傷の患者に微弱電流を1日5時間以上使用し、早期から疼痛の緩和や膝関節靭帯損傷の総合評価が行えるLysholm scoreの改善に効果的であった。

このように外傷後の腫脹の軽減や疼痛の緩和には効果があったという報告があります。
また今回、筆者の知り合いでサッカーチームのトレーナーをしている方に聞いたところ、
「微弱電流、みんな使ってますね。外傷のあとに使用する場合もありますが、ケガをしていなくても普段のケアの1つとして疲労の蓄積しやすい場所に使用しています。」
と言っていました。
スポーツ現場では微弱電流を外傷後の治癒促進だけではなく

  • 疲労の回復
  • 普段からのケア

という目的にも使用していることがわかります。

●整形外科では術直後の報告が多い!

次にスポーツ現場以外からの報告をみてみましょう。

  • ○坂口ら:足関節骨折術後の患者に対して術後翌日より1日12時間、3~4週微弱電流を使用したところ、術後の腫脹の抑制や関節可動域制限の進行を抑制できた
  • ○井上ら:THA術後の患者さんに毎日20分使用したところ、疼痛に関しては有意差はないものの実施群が低値を示した。また股関節外転筋力に関しても実施群が高値を示し、特に術後2週の時期では有意差が認められた

これら4つの報告は実施時間などの条件は違いますが、微弱電流を取り入れることで腫脹や疼痛の緩和、運動機能の改善や関節可動域制限の進行の抑制に効果があったことがわかります。
また、先ほど長時間使用するほうが効果があると述べましたが、廣重らの報告のように20分で効果が認められていることは非常に興味深く、20分という短時間で効果があれば病院にも取り入れやすくなります。

実践してわかった微弱電流を取り入れるメリット!

筆者が勤務する病院では、先に述べた報告を参考にして整形外科術後の方やスポーツ障害で来院された患者さんに対して微弱電流を使用しています。
微弱電流のメリットは腫脹、疼痛を軽減できることとなによりも不快感が少ないことが挙げられます。

●報告の通り腫脹、疼痛の緩和に有効!しかし個人差もある

ここでは話を聞くことができた患者さんやセラピストの感想をみてみましょう。

患者Aさん(足関節周囲骨折)

「ずっと張ったような痛みがあったんですが、使用するようになってからは痛みがどんどん楽になっていきました。熱も引いてきて、思った以上に効果があったと感じました。」

患者Bさん(アキレス腱断裂)

「電気が流れている感じは全然ないので期待していませんでしたが、使用した次の日には足の腫れがかなり引いていてすごいなと思いました。家でもできるように自分でも購入しました。」

患者Cさん(前十字靭帯損傷)

「治療しているという実感がなく、効果があったかどうかもよくわかりませんでした。」

セラピストAさん(趣味:フルマラソン)

「自分がマラソンを走った次の日がとても楽になった。」

患者さんによっては効果を感じられた場合とあまり感じられなかった場合と効果に個人差はあるものの、実感された方の術後の腫脹、疼痛は緩和されています。
術後の腫脹、疼痛が緩和されると患者さんの活動度も向上し、関節可動域練習(ROMex)なども効率よく進めることができるため可動域制限が生じにくく、治療期間の短縮につながることもメリットになります。

●低周波治療器独特のピリピリ感は感じられない

低周波などの電気治療器ではピリピリする刺激を嫌がる患者さんが多いですが、微弱電流ではピリピリ感はほとんど感じられませんし、筋肉が収縮してピクピク動くこともありません。
当院で使用した患者さんでも「電気が流れているかどうかわからない」という感想を持つ方がほとんどでしたし、筆者自身が使用しても電流が流れている実感はありませんでした。
しかし1名だけですが、電極パッドの影響で数日使用した後に皮膚が少し赤くなる方があり、皮膚が弱い方や長時間電極を貼り付ける場合などは注意する必要があります。

まとめ

微弱電流は、スポーツ選手や術後急性期の患者さんに腫脹の軽減や疼痛の緩和などの効果が徐々に認められてきています。
急性期の腫脹、疼痛がコントロールできると、その後のリハビリテーションを効率よく進めることができるため、微弱電流は急性期治療での有効な手段の1つとなります。
一度試してみてはいかがでしょうか。
オージー技研ではフィジシステムという製品があります。

参考:
公益社団法人 日本理学療法士協会 横山 真吾他:マイクロカレントによる損傷骨格筋再生促進メカニズムの検討 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集).(2018年8月18日引用)
公益社団法人 日本理学療法士協会 廣重 陽介他:足関節外側靭帯損傷急性期の腫脹に対するマイクロカレント刺激の効果.(2018年8月18日引用)
公益社団法人 日本理学療法士協会 坂口 顕他:交流微弱電流刺激が足関節骨折術後に与える影響ー第2報ー (第47回日本理学療法学術大会 抄録集) .(2018年8月18日引用)
宮﨑 誠司他:微弱電流刺激(MENS)の臨床的効果.(2018年8月18日引用)
井上 貴仁他:全人工股関節置換術後早期におけるマイクロカレント療法の有効性 第46回日本理学療法学術大会 抄録集.(2018年8月23日引用)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)