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CPX第1弾「基礎編」心肺運動負荷試験(CPX)とは?リハビリ場面での活用方法をご紹介します

心臓リハビリでは定番となっている心肺運動負荷試験(CPX)ですが、どう活用すればいいかわからない方もいるでしょう。
CPXは体力を評価するイメージが強いですが、実施する目的はそれだけではありません。
本記事ではCPXからどんな情報が得られるか、また具体的な活用方法を解説します。

心肺運動負荷試験(CPX)とは?

ここではCPXとはどういう検査なのか、検査からなにがわかるのかについて解説します。

●呼気ガスモニターを用いて運動能力を評価する

CPXとは、呼気ガスモニターと呼ばれる機器が空気の流量やガス濃度を感知し、体にどのくらいの負担がかかっているかを調べる検査です。
医療やスポーツ分野では、体力や運動能力を運動耐容能(うんどうたいようのう)と呼び、運動をする上で適切な強さを調べることが重要になります。
ヒトのからだでは、活動に必要なエネルギーを産生する場合、有酸素性の代謝と無酸素性の代謝が行われます。
有酸素運動や無酸素運動という言葉を耳にすることが多いですが、これらは酸素を吸う吸わないということではありません。
簡単にいえば、酸素を消費してエネルギーを作るか否かが、有酸素運動と無酸素運動の違いとなります。
無酸素運動では血圧や心拍数が上昇するため、心臓や血管への負担が強くなります
よって、心疾患をはじめ循環器系に過度な負担をかけたくない方の場合、CPXで運動強度を評価することが有用です。

●CPXでは最大体力と有酸素運動能力がわかる!

有酸素運動と無酸素運動の境目は一人ひとりで異なりますが、CPXではその境目を評価することができます。
無酸素運動が優位となる運動の強さは嫌気性代謝閾値(AT)と呼ばれており、呼気に含まれる二酸化炭素の量が多くなることが特徴です。
そこから運動強度が上がると、血圧や心拍数の増加が著しくなり、心臓・血管系の負担や呼吸苦が強くなってきます。
さらに運動を続けると、これ以上運動が継続できない限界点がおとずれますが、その時点で体内に取り込める酸素量は最高酸素摂取量と呼ばれます
CPXでは、安全に運動ができる嫌気性代謝閾値、最大の運動強度である最高酸素摂取量を求めることができます。

関連記事:心臓リハビリという言葉を聞いたことがありますか?

CPXに必要な機器と実施する際の注意点

ここでは、オージーウエルネス社の呼気ガスモニター(Cpex-1)の特徴をご紹介し、CPX実施の際の注意点について解説します。

●Cpex-1の特徴

寸法 重量 測定法 補償機構 付属品
本体
200(W)× 300(D)× 185(H)
専用カート
644(W)× 660(D)× 912(H)
本体
7kg
専用カート
28kg
ブレス・バイ
・ブレス法
ガス輸送時間
自動補償
温度補償
計測・解析用コンピュータ
(OS windows)
カラーモニター
プリンタ
呼気マスク
呼気チューブ
など

◯省スペースでの設置

Cpex-1は専用カートにモニターやパソコンなどの周辺機器が設置されています。
約65cm四方の省スペースに加え、カートにはキャスターが付いているため持ち運びも簡単です。

◯ガス輸送時間自動補償による正確な測定結果

Cpex-1は国内初となるガス輸送時間自動補償機構が搭載されているため、フロー(流速)とガス濃度(O2 CO2)を感知するためのラグが生じにくくなっています。
この新システムによって、より信頼性の高い検査結果を得ることができます。

●検査実施における注意点

CPXは被検者に負担をかける検査であり、場合によっては危険が伴います。
実施前には以下の注意点について理解しておきましょう。

◯事前の説明

検査の目的や手順だけでなく、エルゴメーターなら一定の回転数を維持すること(目安は50回転)、気分が悪くなったら中止することなどを伝えておくことが大切です。
マスクを装着するだけで不快感を訴える方もいるため、病歴などに加えて事前の体調確認もしておく必要があります。

◯緊急時に対応できる体制

最高酸素摂取量を求めるには、息切れや下肢の倦怠感により運動の持続が困難になるまで検査をします。
胸痛や不整脈、運動後の血圧低下などが生じた場合は楽な姿勢で状態を観察する必要があります。
万が一に備えて救急カート(AED・用手換気マスク・各種薬剤)を常備し、緊急時対応ができる環境を整えておきましょう

リハビリ現場における3つの活用方法

リハビリ現場におけるCPXの活用方法について、具体例を挙げてご紹介します。

●安全な運動強度を見極める

心疾患や腎疾患の患者さんでは、血圧や心拍数が過度に上昇する運動は避け、中等度の運動強度が望ましいです。
CPXでは、実際にどの強度で体に過度な負担がかかるのか、そのときの心拍数はどの程度なのかを評価することができます。
正確な運動強度を決定したい場合、CPXに勝る検査はないといってもよいでしょう。

●胸痛など危険な症状が出現するかを評価する

CPXでは、検査中の心電図を記録しているため、運動によって誘発される胸痛や不整脈の評価にも有用です。
腎疾患や糖尿病をもっている高齢者では全身の血管の狭窄が進んでいることが多く、運動中に狭心痛が出現する可能性もあります。
どの程度心拍数が上がれば胸痛が出現するのか、運動強度が上がると不整脈が出現するのかをあらかじめ評価しておくことで、普段の活動量を調整することができます。
また、酸素摂取量はエネルギー代謝の指数であるMETs(メッツ)に換算することができるため、自宅での活動量や中止するべき運動を指導することができます

●運動療法の効果を検証する

「リハビリで体力をつけましょう」という言葉を耳にすることがありますが、実際に体力がついたかどうかを確認できているでしょうか?
CPXでは運動耐容能=最高酸素摂取量を求めることができるため、トレーニング前後での効果をしっかりと検証することができます
またCPXは高齢者に限らず、スポーツ選手や部活動に復帰する学生に対して実施することで、競技への復帰時期を検討したり、現在のトレーニングメニューを見直す機会にもなります。

CPXを活用して安心安全な運動療法を

CPXはリハビリ場面における体力評価だけでなく、トレーニング効果の検証や安全な運動負荷量のチェックなど活用方法はさまざまです。
また検査料が1920点と高額であり、ルーチン化すると収益面でもプラスになるでしょう。
ただし、心疾患や糖尿病など内科系の疾患のかたを対象にした場合、胸痛や不整脈など危険な症状が出現することもあります。
運動生理学や検査手順についての理解を深めるとともに、必ず医師の監視下のもとでおこなうようにしましょう。

関連記事:
CPX第2弾「実践編」!検査の実施から運動処方までの流れをご紹介します
CPX第3弾「応用編」!運動耐容能低下の原因を考える際のポイントとは?

参考:
オージーウエルネス デジタルカタログ(2018年10月16日引用)

  • 執筆者

    奥村 高弘

  • 皆さん、こんにちは。理学療法士の奥村と申します。
    急性期病院での経験(心臓リハビリテーション ICU専従セラピスト リハビリ・介護スタッフを対象とした研修会の主催等)を生かし、医療と介護の両方の視点から、わかりやすい記事をお届けできるように心がけています。
    高齢者問題について、一人ひとりが当事者意識を持って考えられる世の中になればいいなと思っています。
    保有資格:認定理学療法士(循環) 心臓リハビリテーション指導士 3学会合同呼吸療法認定士

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