乾式ホットパックで業務効率アップ!簡単操作なホットパックを整形外科クリニックに導入するメリット
ホットパックは整形外科クリニックで使用頻度の高い物理療法機器です。
そこで、ホットパックの作業効率を上げれば、リハビリ業務全体の効率化やコスト削減を図ることができます。
今回は、効率アップのための乾式ホットパック導入メリットを紹介します。
乾式ホットパックの種類と特徴
乾式ホットパックといっても、いくつかの種類があります。
そこで、乾式ホットパックの種類と特徴をOGウエルネスの乾式ホットパックを参考に紹介します。
◯温度の設定や時間の管理が可能なタイプ
乾式ホットパックには、スイッチひとつで温度の設定や時間の管理が可能な商品があります。
そのため、患者さんに合わせて温度や治療時間を変更することができます。
また、タイマー機能がついているため時間の管理が簡単です。
加温器を使用するホットパックでは、キッチンタイマーなどを用意して、患者さんごとにタイマーをセットして時間を管理する必要があります。
しかし、タイマー機能がついているタイプでは、そのような手間は必要なく、設定した時間が経過すれば、点滅と報知音で治療終了を知ることができます。
◯加温器を使用するタイプ
乾式ホットパックでも、湿式ホットパックのように加温するための機器にホットパックを入れて使用するタイプのものがあります。
基本的な使い方は、湿式ホットパックと同様ですが、水を使用しないため準備の手間は省けます。
また、温度や時間を管理するタイプと比較して、ひとつの加温器で多くのホットパックを加温できます。
乾式ホットパック導入のメリットは時間短縮とコスト削減
乾式ホットパックを導入することによるメリットは大きく2つあります。
新しいホットパックを導入するためには、メリットを十分に理解して、プレゼンテーションをすることが重要です。
◯ホットパック作成の時間が短縮できる
湿式ホットパックのように水切りやタオルに包む必要が無いため、ホットパックを作成する時間の短縮ができます。
以下に、湿式ホットパックの作成時間の目安を示します。
作成手順 | 取り出し | 水切り | ビニールに包む | タオルに包む | 完成まで 約60秒 |
---|---|---|---|---|---|
時間 | 10秒 | 15秒 | 25秒 | 10秒 |
乾式ホットパックでは、上記の中で水切り以降の手順が省けるため、少なくとも一人あたり50秒を節約できます。
これに加えて、実際の現場では、季節や湿度によって患者さんの体感温度が異なり、「いつもより熱いからタオル一枚増やして」などといった要望がでることがあります。
その都度対応をすると、「上記の目安+α」の時間がかかることも少なくありません。
その点、温度設定ができるタイプの乾式ホットパックでは、スイッチひとつで温度の変更をして対応できます。
以上のように作成時間が短縮できれば、ほかの業務に時間を割くことができます。
リハビリ専門職がホットパックを作成している場合、空いた時間に個別のリハビリをしたり、書類を作成したりすることができます。
物理療法のアシスタントがホットパックを作成している場合、アシスタントにほかの業務をしてもらうようにしましょう。
私の働く整形外科では、空いた時間で書類作成や環境整備を積極的に実施してもらうことで、リハビリ専門職の業務が効率よく進み、職場環境も整っています。
◯コストの削減ができる
湿式ホットパックでは、専用の機器で水を高温にした状態で保温して、ホットパックを温める必要があります。
一方、乾式ホットパックは水を一切使用しないため、水道代の削減ができます。
また、ビニールやタオルで包む必要がないので、ビニールの取替やタオルのクリーニングにかかるコストも削減できます。
もちろん、上記のホットパック作成の時間短縮は人件費の削減につながります。
以上のように、湿式ホットパックでかかるコストが削減できることも、乾式ホットパックの特徴です。
新しいホットパックを導入するための具体的な方法
乾式ホットパックの特徴やメリットを理解しても、高額なリハビリ機器を導入しにくいといった施設も少なくないでしょう。
そこで、具体的な数値で、ホットパック導入のメリットを提示することが重要です。
私が実践した例を参考に、施設に新しいホットパックを導入する方法を紹介します。
◯作業時間を実際に測定
ホットパック作成にかかった作業時間を実際に測定して、時間短縮の効果を具体的な数値で示します。
また、普段ホットパックを作成しない、事務職員や経営幹部のスタッフにもホットパックの作成をしてもらうことで、乾式ホットパックが作業時間や作業の手間の改善にいかに有効であるかを実感してもらうことも効果的です。
◯患者さん、職員にアンケートを実施
メーカーにホットパックのデモ機を借りて、患者さんに体験してもらいアンケートを実施しましょう。
私が働く職場で実施した、患者さんへのアンケート結果では、温度の設定ができるため、体感温度にムラがなく、好みの温度に変更できる点が好評でした。
使用した職員にもアンケートを実施することで、作業の手間が減り、ほかの業務に時間を割けるというメリットをより明確にすることができます。
◯ランニングコストを計算
乾式ホットパックのメリットである、コスト削減の効果をランニングコストとして計算しましょう。
ホットパックの種類により、かかるコストは異なるので、メーカーに協力してもらいながらランニングコストの計算方法を検討するとスムーズです。
測定したホットパック作成にかかる時間を参考にして、ホットパックを作成するスタッフの時間あたりにかかる人件費をコストとして算出する方法もおすすめです。
効率よくホットパックをしてリハビリ業務の質を上げよう
乾式ホットパックは湿式ホットパックとくらべて、手間が格段に少なくリハビリ業務全体の効率化ができます。
その結果、本来行うべき専門的な業務を行うことができるため、リハビリ業務の質を向上することにつながります。
コスト削減も含めて、機器の導入メリットを検討して、新しい物理療法の導入につなげましょう。
参考:
OGウエルネス OGパックス KT-621/641(2019年12月3日引用)
OGウエルネス 乾式ホットパック YIS-ST/S/K/N/STL-12(2019年12月3日引用)
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執筆者
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整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級