発達障害の作業療法でそろえておきたい道具・リハビリ器具6選
発達障害の作業療法を新規で開設する場合、リハビリ室の設備はどのように整えていけば良いのでしょうか。
最初からあらゆる遊具・リハビリ器具を用意することは難しいかもしれませんが、今回はオージーウエルネスで取り扱う商品の中から、いくつかピックアップしてご紹介します。
目次
1.定番だけど使い道が広がる「ボールプール」
ボールプールは、発達障害領域の作業療法でもよく用いる定番のアイテム。
ボールプールに入って遊ぶのが好きな子供は非常に多く、セラピーの中でも大活躍します。
宝探しやかくれんぼをして遊ぶこともできますし、使い方の幅は広がります。
そして、ボールの中に入ったときの触覚刺激を好む子供では、気持ちを落ちつかせる場所として活用し、活動に取り組む前の準備などに用いることも可能です。
ボールプールの使用については、こちらの記事(発達障害の子供のリハビリにおけるボールプールの活用方法|遊びの例を解説)でも解説しています。
2.体幹のトレーニングに使える「バランスボール」
バランスボールは、体幹の筋力を鍛えるなどの使い方ができます。
発達障害の子供では、体幹の筋緊張が低い傾向にあるため、運動機能の訓練をする前にウォーミングアップとして使うことも可能です。
筋緊張を高めてから、次に運動の訓練に入ることによって、運動学習も進みやすくなるでしょう。
トランポリンがあれば、その上にバランスボールを乗せてセラピストが支えながら使うと、揺れがダイナミックになり、遊びとしても楽しくなります。
3.机上で手先の訓練に重宝する「セラピーパテ」
セラピーパテは、成人のリハビリでもよく用いますが、小児を対象とした場合にも重宝するアイテムです。
粘土遊びが好きな子供は多いため、活動に対するモチベーションにつながります。
通常の粘土とは異なり、乾燥しないことや、繰り返し使えることや手が汚れないことも利点となります。
粘土の中に隠したビー玉を探す遊びや、両手でゆっくりと引き伸ばす遊びなどを通して、手先の巧緻性や両手動作の訓練につながります。
4.連結させて床に敷くことができる「ジョイントマット」
床に座って活動することもあるため、セラピー室にはジョイントマットを用意しておきましょう。
普段は隅に立てかけておいて、必要なときだけ並べて使用することも可能です。
ある程度の硬さと耐久性があるため、マットの上でジャンプなどの運動もできます。
発達障害領域では、臨床観察などの評価を行う機会もあり、背臥位や腹臥位で実施する項目もあります。
そんなときも、このジョイントマットがあればその上で実施できるなど、さまざまなシーンで重宝します。
5.バランス機能の訓練に役立つ「バランスビーム」
バランスビームは、マットのような素材でできた平均台です。
通常の平均台は硬く、床からも高さがありますが、こちらは幼児でも使いやすいという利点があります。
さらに、折りたたみ可能であるため、セラピー室のスペースに余裕がないときにも、簡単に取り出して設置できます。
バランス機能のトレーニングに用いることもできますし、ほかのものと組み合わせてサーキット活動をすることも可能です。
6.目と手の協調運動を育む「輪投げ」
輪投げは、立位でそのまま使うときに、上肢の協調的な運動を指導することが可能です。
叩きつけるように投げてしまう子供がいれば、力加減のコントロールを促すこともできます。
また、ホーススイングやフレキサースイングなど、感覚統合の遊具を設置できる環境にあれば、スイングに乗った状態で輪投げをして遊ぶ方法もあります。
自分が動いた状態で、的をめがけて輪を投げるとなれば、難易度は上がりますが、段階付けにつながります。
「何番の的を狙う?」などと声かけをしてから行えば、より的を注視して投げるようになるため、目と手の協調運動のトレーニングの側面が強まります。
子供が好む道具を選んでモチベーションを引き出そう
発達障害領域のセラピーでも、成人のリハビリと同じようなリハビリ器具を活用できます。
子供の場合は遊びをベースに介入していくため、使い方は成人の場合と異なりますが、基本の道具を使って応用していけます。
子供が好む道具を用意していれば、活動に対するモチベーションも高まります。
ボールプールやセラピーパテなど、子供が好きな道具を中心にそろえてみてはいかがでしょうか。
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執筆者
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作業療法士の資格取得後、介護老人保健施設で脳卒中や認知症の方のリハビリに従事。その後、病院にて外来リハビリを経験し、特に発達障害の子どもの療育に携わる。
勉強会や学会等に足を運び、新しい知見を吸収しながら臨床業務に当たっていた。現在はフリーライターに転身し、医療や介護に関わる記事の執筆や取材等を中心に活動しています。
保有資格:作業療法士、作業療法学修士