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クリニック・治療院 OGメディック

  • 蔵重雄基

    公開日: 2019年12月27日
  • リハビリと機器

スポーツ現場で行う物理療法を紹介!受傷時期や治療部位に合わせて適切な治療法を選択しよう

スポーツ障害の受傷に対する物理療法は、受傷部位の疼痛や腫脹の損傷により低下した筋機能の回復に有効な方法です。
しかし、実施するには受傷部位や時期に合わせて適切な治療法を選択する必要があります。
今回は、スポーツ現場で遭遇する打撲などの外傷や筋の張りなどの障害に対する物理療法の実施方法について紹介します。

スポーツ現場で行う物理療法

打撲や捻挫などの受傷直後の治癒には超音波や微弱電流を活用

打撲や捻挫などの受傷直後の治癒には超音波や微弱電流

打撲や捻挫といったスポーツによる外傷で受傷直後の状態に対しては、炎症の長期化を防いで、スムーズに治癒するようにつなげる必要があります。
そこで、「微弱電流刺激(Microcurrent electrical stimulation:MES)」や「超音波療法(Ultrasound therapy:US)」といった急性期に適応できる物理療法の実施がオススメです。

●微弱電流刺激(以下MES)は急性期から使用でき腫脹を軽減できる

電気刺激療法の中で、MESは1000マイクロアンペア以下の微弱な電流を使用します。
組織が損傷するとそれを修復するために微弱な電流が流れますが、MESによりその微弱な電流の通電を補うことで、組織の修復を促す効果が図れます。
廣重らの報告では、足関節外側靭帯損傷の患者さんにMESを20分実施したところ、安静群と比較して腫脹の軽減が認められたとしています。
また、Yoshidaらは筋損傷に対してアイシングとMESを併用することで、治癒効果が得られたと報告しています。
そのため、腫脹の軽減のために、一般的な受傷直後の処置であるRICE処置と併用して、MESを損傷部位に用いることができます。

※微弱電流刺激についての詳しい記事は、「スポーツ現場で効果が認められている微弱電流を急性期病院でも取り入れよう!」で紹介しています。

●超音波(以下US)は非温熱作用で疼痛緩和や腫脹緩和が可能

超音波の効果は主に2種類あり、振動による機械的な刺激による効果と、振動で生じる熱エネルギーによる温熱効果に分けられます。
受傷直後の炎症期には温熱療法は禁忌ですので、温熱効果は期待できませんが、超音波の照射率を下げて非温熱設定にすることで、機械的刺激による腫脹や疼痛の軽減が期待できます。
※超音波治療については「超音波療法の特徴と効果。適正疾患と禁忌」で詳しく解説しています。

●複合器具であればコンビネーション治療もオススメ

フィジシステムCT-7

OGウエルネスの「フィジシステム」のような超音波療法と電気刺激療法の2つが同時に使える複合器具があれば、コンビネーション治療もオススメです。
コンビネーション治療では、MESによる電気刺激とUSによる機械的刺激の双方の効果が同時に見込め、受傷後に生じる腫脹や疼痛の改善に活用できます。

修復期は障害の部位によって治療方法を選択しよう

障害の部位によって治療方法を選択

修復期には修復を促進したり、炎症により生じた筋腱などの組織の硬さを改善したりすることが重要です。
そこで、疼痛や動きの制限を引き起こしているのが筋肉の張り(筋スパズム)なのか、筋腱移行部や骨の付着部に問題があるのかで治療方法を選択します。

●筋に要因がある場合

筋スパズムなどが要因で障害が起こっている場合は、深部の筋を刺激できる高電圧パルス電流(High voltage pulse current:HVPC)を実施することで筋の弛緩が期待できます。
また、肉離れ後に筋スパズムの改善とともに、損傷の修復促進を図りたい場合は、HVPCに加えて超音波による機械的刺激と温熱効果を併用することで、効率の良い治療を実施できます。

●腱や骨の付着部の損傷後の場合

腱や骨の付着部といったコラーゲン組織が多かったり、深部にある組織に関しては、コラーゲン組織に対して吸収率が良く、深部まで温熱効果が得られる超音波が活用できます。

使えていない筋肉の収縮は電気刺激がオススメ

電気刺激により筋収縮を促すことは、「受傷で低下した筋力回復」と「再発予防のため筋収縮促通」の効果が期待できます。

●受傷後の筋力低下に対して運動と電気刺激を併用

筋力低下に対して運動と電気刺激を併用

受傷による組織損傷や安静によって筋力低下が生じている場合に、トレーニングに加えて電気刺激を併用することで、効率の良い筋力向上が期待できます。

※運動と電気刺激の併用については、「変形性膝関節症の運動療法に低周波を組み合わせて効果の底上げをしよう」で紹介しています。

●再発予防には電気刺激を活用して機能不全を起こしている筋の再教育を実施

障害の再発を予防するために、うまく機能していない筋肉を効果的に動かせるようにして、正しい動作ができるようになる必要があります。
たとえば、テニス肘は肩甲骨の内転運動がうまく行われないため、手打ちになり肘へのストレスが増加することが要因になるケースがあります。
その場合、肩甲骨内転筋の収縮を練習しますが、普段うまく行えていない筋の運動をいきなり練習することは簡単ではありません。
そこで、内転筋に電気刺激を与えながら運動することで、内転筋の収縮を再教育させ、徐々に自力での運動ができるようにする方法もあります。

適切な物理療法を実施してスポーツ選手のパフォーマンスを保とう

物理療法は徒手療法や運動療法とうまく組み合わせていくことで、スポーツ選手の治療にとって心強い武器になります。
特に、受傷直後や治癒過程において適切な物理療法を実施できれば、その後の治療をより効率よく進めることができます。
普段あまり活用する機会のない方も、ご紹介した活用方法を参考にして、スポーツ現場で選手のパフォーマンス維持に物理療法を活用してみてはいかがでしょうか。

参考:
廣重陽介, 他:足関節外側靭帯損傷急性期の腫脹に対するマイクロカレント刺激の効果. 臨床スポーツ医学30(1): 99-103, 2013.
Yoshida A, Fujiya H, et al.:Regeneration of Injured Tibialis Anterior Muscle in Mice in Response to Microcurrent Electrical Neuromuscular Stimulation with or without Icing.J.St.Marianna University 6(2): 159-169, 2015.
坂口顕, 川口浩太郎:スポーツ障害に対する物理療法の臨床実践.理学療法35(7):631-641,2018.

  • 執筆者

    蔵重雄基

  • 整形外科クリニックや介護保険施設、訪問リハビリなどで理学療法士として従事してきました。
    現在は地域包括ケアシステムを実践している法人で施設内のリハビリだけでなく、介護予防事業など地域活動にも積極的に参加しています。
    医療と介護の垣根を超えて、誰にでもわかりやすい記事をお届けできればと思います。
    保有資格:理学療法士、介護支援専門員、3学会合同呼吸療法認定士、認知症ケア専門士、介護福祉経営士2級

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