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クリニック・治療院 OGメディック

  • 桑原

    公開日: 2020年10月27日
  • リハビリと機器

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#診察・診断

バイオフィードバック、動作解析にも。リハビリスタッフが知っておくべき筋電図の基本知識について解説します

筋電図は主に、神経変性疾患や神経損傷がないかなどを調べるために通常行われる検査です。
筋肉の疲労度合いや筋電図の異常をどのようにして筋電図の結果から得るのかなど、リハビリスタッフが知っておくべき筋電図の基礎知識、筋電図とリハビリの関係について解説していくことにしましょう。

リハビリスタッフが知っておきたい筋電図の基礎知識

筋電図は表面筋電図と針筋電図の2種類。リハビリ分野ではフィードバックや動作解析に有用

筋電図は表面筋電図と針筋電図の2種類。リハビリ分野ではフィードバックや動作解析に有用

筋電図は主にその方法により、表面筋電図と針筋電図の2つに分けられます。
それぞれについて解説しましょう。

●針筋電図は主に診断に使われる。ほかの電極としてワイヤー筋電図は痛みも少ない

筋電図の中でも針筋電図は、注射針の先端に電極がついており、筋肉内に注入し使用します。
同様に筋肉内に注入する電極として、髪の毛ほどの太さのワイヤーを注射針を使って筋肉内に注入しワイヤーだけを留置して注射針を抜き取り、ワイヤー先端の電極を使用するものがあります。
針筋電図は主に手技の特性上、医師のみ可能であり診断に使われることが多い方法です。
主に筋ジストロフィー、ALS、手根管症候群、糖尿病性の神経障害、多発性筋炎や重症筋無力症などの診断に用いられます。
後述する表面筋電図とは異なりノイズが入りにくく、単一筋繊維からの電位を拾うことが可能です。

●表面筋電図は、侵襲が少なくリハビリにも応用可能

表面筋電図は針筋電図とは異なり体表に電極を貼り、筋肉の活動電位を計測します。
侵襲も少なく医師以外でも行えますが、皮膚と電極との摩擦、単一筋繊維ではなくほかの筋繊維の活動を拾ってしまいます。
しかし、リハビリでは動作解析やバイオフィードバック療法などで、こちらの表面筋電図が利用されます。

動作解析に筋電図を用いるメリットは動作と筋活動を照らし合わせたリハビリの評価が可能

動作解析に筋電図を用いるメリットは動作と筋活動を照らし合わせたリハビリの評価が可能

筋電図とリハビリを組み合わせた利用法の一つに、動作解析があります。

●動作解析に表面筋電図を利用するとリハビリの研究や臨床に効果大

表面筋電図は筋肉の活動電位を捉えることができるため、動作の際に筋肉の活動状況や持続時間による動作分析を容易に行うことができます。
筋肉の疲労度と動作の関係、また筋肉の収縮時間など、量や時間の観点からも筋肉と動作の関係を評価することができ、治療や指導に生かすことができます。

●オージー技研のEMGシステムはほかの分析装置を組み合わせることができ、多くの分野で活躍

オージー技研では、重さ20gのセンサーで導子からの活動電位を受信機に送ることができ、邪魔にならずに運動を行えるEMGシステムを取り扱っています。
このEMGシステムはほかの3次元動作解析システムや床反力計のデータを合わせて1台のパソコンに取り込むことが可能で、さまざまな動きに対応でき、複合的なデータを組み合わせることも可能です。
受信機は最大16チャンネルをつなげることができ、16つの異なる部位の活動電位を測定することが可能です。
動作解析の際の複雑な筋の活動を測定し、データとして集約することが可能となっています。

バイオフィードバックは筋電図という視覚を用いることで効果的なリハビリに

バイオフィードバックは筋電図という視覚を用いることで効果的なリハビリに

リハビリでの筋電図の利用方法のもう一つは、筋電図を使って視覚のフィードバックを利用するバイオフィードバック療法です。

●筋電図を用いた視覚のフィードバックを使ったリハビリは、筋収縮の促通や抑制に

表面筋電図は筋活動を視覚的に捉えることができるため、その特性を用いてリハビリのバイオフィードバック療法に利用されます。
対象の筋に貼り付けた導子によりモニターされた筋肉の活動を見ながら促進したり、抑制したりすることができ、リハビリの際の治療の一手段として用いられます。

●リハビリの対象疾患は中枢神経疾患や変性疾患、末梢神経疾患など

リハビリにおける筋収縮のコントロールは、収縮を促す促通と収縮を抑える抑制の両方が治療対象となります。
対象症例、リハビリにおける目的などについて以下に記します。

○促通トレーニング

MMT1以上の末梢神経麻痺、廃用性筋萎縮の予防、中枢神経疾患の神経筋刺激、肛門括約筋や骨盤底筋群に対する排泄コントロールなどに用いられます。

○弛緩(抑制)トレーニング

筋性斜頸などの不随意収縮抑制、中枢神経疾患における共同収縮の抑制や分離運動の再習得、頭痛や腰痛に対する疼痛抑制などに用いられます。

筋電図は有効なリハビリ機器。よく知り日々の治療に応用しよう

今回はリハビリ分野でも動作解析やバイオフィードバックの治療器具として使われる筋電図についてお話ししました。
筋電図は医師の診療器具だけでなく、リハビリの分野、スポーツ分野でも取り入れられ、バイオフィードバック療法は、中枢神経疾患や廃用症候群の予防などにも使われています。
治療の一手段としても利用価値のある筋電図は、リハビリ分野でも今後活躍するリハビリ機器といえるでしょう。

参考:
OG Wellness EMGシステム(表面筋電計)MM-3000(2020年10月25日引用)
国立循環器病センター病院 生理機能検査室(2020年10月25日引用)

  • 執筆者

    桑原

  • 1998年理学療法士免許取得。整形外科疾患や中枢神経疾患、呼吸器疾患、訪問リハビリや老人保健施設での勤務を経て、理学療法士4年目より一般総合病院にて心大血管疾患の急性期リハ専任担当となる。
    その後、3学会認定呼吸療法認定士、心臓リハビリテーション指導士の認定資格取得後、それらを生かしての関連学会での発表や論文執筆でも活躍。現在は夫の海外留学に伴い米国在中。

    保有資格等:理学療法士、呼吸療法認定士

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